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劉岸偉教授が「和辻哲郎文化賞」を受賞

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公開日:2013.02.06

 外国語研究教育センターの劉岸偉教授が,第25回和辻哲郎文化賞を受賞しました。
同賞は、哲学者・和辻哲郎(1889年~1960年)にちなんで、姫路市が設けている賞で、劉教授が受賞した一般部門では、 文化一般における優れた著作に対し、賞が与えられます。

劉岸偉教授

 今回の受賞は、劉教授の著作「周作人伝 ある知日派文人の精神史」(ミネルヴァ書房)に対するものです。日中近代の激動の流れの中に生きた稀代の作家・周作人(しゅう さくじん1885年~1967年)の82年に及ぶ波乱の一生を丹念に追った大作で、来日して初めて周作人の著作を手にした劉教授は、同じ日本留学の先輩であり、近代中国屈指の大作家の生涯を、日中の百年史において考察してみたいと考え、爾来、二十年の歳月をかけてこの望みを結実させました。

今回の受賞を受けて、劉教授は次のようにコメントしています。

 1989年の秋、博士論文の公開審査も終わり、帰国に備えて将来の研究資料をなるべく多く集めようと、私は神保町の古本屋街にやってきた。二、三軒回ったところ、ある店頭に並べた岩波書店版『和辻哲郎全集』に目がとまった。決して安くはなかったが、奮発してそれを買うことにした。購入を決めるきっかけと言えば、むろん周作人とも関わっている。彼は「日本の人情美」というエッセイにおいて、日本の国民性の長所は「忠孝」にではなく、むしろその反対の方向、つまり和辻哲郎が『日本古代文化』の中で指摘した「湿やかな心情」――人情の美しさにあると述べている。「古事記」の芸術的価値を論じた和辻の言葉は、私には作家の息吹を感じさせる、とても個性的、印象的なものであった。全集を買おうとしたのは、他の名作『古寺巡礼』や『風土』などもまとめて読みたかったからである。あれから二十数年後、中国屈指の知日家周作人の生涯を描いた拙著は和辻賞に選ばれたことに、大変光栄に思うとともに、あらためてある運命的な巡り会いを感じている。

なお、授賞式(記念講演)は、3月3日(日)に、姫路市市民会館にて開催されます。

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