東工大ニュース
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公開日:2013.06.20
1. 北島康介選手をはじめ、世界で活躍するトップスイマーは効率よく水中で高い推進力を生み出しているはずだが、その推進メカニズムはこれまで明らかにされてこなかった。
2. ヒト型水泳ロボットを用い、流体力・圧力分布計測、流れの可視化を世界で初めて同時に実施し、ヒトの推進メカニズムを多角的に解明した。
3. 高い推進力発揮には、昆虫の飛翔などと同様に渦の発生が関与しており、非定常な力が作用することにより通常より大きな力が発生することが確認され、今後トップスイマーの泳技術改善への応用が期待される。
国立大学法人筑波大学【学長 永田恭介】(以下「筑波大学」という)体育系【系長 中川昭】高木英樹教授らの研究グループは、水泳におけるヒトの推進メカニズムを世界で初めて多角的に解明しました。
北島康介選手をはじめ、世界で活躍するトップスイマーは、効率よく水中で高い推進力を発揮していると思われますが、その推進メカニズムはこれまで明らかにされて来ませんでした。その理由は、ヒトが泳いでいる時に手や足が生み出している推進力を正確に測る方法がなかったからです。加えて推進メカニズムを解明するためには、生み出された力だけでなく、その発生源となる手や足に作用する圧力の分布や周りの水の流れの状態を精緻に把握すること必要ですが、ヒトを対象とした実験では再現性のある正確なデータを得ることは困難でした。
そこで本研究では、ヒト型水泳ロボットを用い、回流水槽でヒトの水泳動作を再現させ、流体力・圧力分布計測、流れの可視化を同時に実施することによって、水泳におけるヒトの推進メカニズムを明らかにしようとしました。分析の結果、手部の角度や速度を適切に変化させることで、手部周りに一対の渦が発生し、その渦の効果により非定常な力が惹起され、通常よりも大きな推進力が生じる過程が明らかにされました。この知見は、トップスイマーの泳技術のさらなる改善に向けて応用されることが期待されます。
本研究は、東京工業大学の中島求准教授および筑波大学システム情報工学系松内研究室との共同研究で、イギリスのエルゼビア・グループが発行する学術研究誌 Journal of Biomechanics2013年6月12日号に掲載されました。
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