東工大ニュース
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公開日:2013.07.22
東京工業大学応用セラミックス研究所セキュアマテリアル研究センターの林克郎准教授らの研究グループは、新タイプの金属―空気電池である「ナトリウム‐空気電池」を試作し、放電容量などの特性がリチウムイオン電池の10倍以上であることを確認した。近年、開発が盛んになっているリチウム‐空気電池の諸課題を解決し、内燃機関並みの航続距離の電気自動車実現につながる成果だ。
同研究グループは高い反応性を持つ金属ナトリウムを化学的に安定なセラミックス・セパレーターで保護し、陰極側の水性電解質に放電生成物を溶解させることで、放電生成物の堆積による放電停止を避け、高い放電容量を実現した。具体的にはナシコンと呼ばれる高速ナトリウムイオン伝導性セラミックスを挟んで、金属ナトリウム陽極と有機電解液および空気極と水溶液電解液を分割する構造を用いることで、1グラム当たり約600ミリアンペア時(mAh/g)の放電容量と1平方センチメートル当たり10ミリワット(mW/cm2)の出力を得た。今後は二次電池化と性能の向上を目指す。
この研究は文部科学省元素戦略プロジェクト研究拠点形成型の支援によって行われ、成果は米国電気化学会誌(Journal of The Electrochemical Society)の電子版(doi: 10.1149/2.067309jes)に公開された。また成果の基になった技術は特許を申請中である。
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