東工大ニュース
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公開日:2013.11.08
二酸化炭素は地球上に無尽蔵に存在する炭素資源であり、二酸化炭素の有用物質への化学変換は持続可能な社会の構築のために必要な技術の一つである。しかしながら、二酸化炭素は安定な分子であるため、他の物質への変換は容易ではない。
化学環境学専攻の本倉健講師、馬場俊秀教授らの研究グループは、銅ジホスフィン錯体が二酸化炭素のヒドロシリル化反応に高い活性を示す触媒となることを見出した。ヒドロシリル化反応の生成物であるシリルホルメートは、様々なカルボニル化合物へ変換することができる。
ジホスフィン配位子として1,2-bis(diisopropylphosphino)benzeneを用いると、1気圧の二酸化炭素を用いる反応において、触媒回転数 (turnover number; TON) と触媒回転頻度 (turnover frequency; TOF) は、それぞれ最高で70000および10300 h-1に達した。これらの値は、これまでに報告されている二酸化炭素のヒドロシリル化反応の触媒と比較して、一ケタ以上高い。新たな触媒の発見によって、二酸化炭素を有用物質へ効率よく変換するための新たなプロセスの実現を目指す。
銅ジホスフィン錯体を触媒とする二酸化炭素と
ヒドロシランからのシリルホルメートの生成