東工大ニュース

新しい規則性を持つペロブスカイト型酸化物超伝導体を発見

RSS

公開日:2014.03.04

要点

  • 新規ビスマス酸化物超伝導体(Na0.25K0.45)(Ba1.00)3(Bi1.00)4O12を発見した。
  • A-サイトオーダーダブルペロブスカイト型構造における初めての超伝導物質である。
  • 高温超伝導体の探索や超伝導メカニズムの解明の新たな指針となる。

概要

山梨大学クリスタル科学研究センターの熊田伸弘教授、同センター田中 功教授、東京工業大学応用セラミックス研究所の東 正樹教授、広島大学大学院理学研究科の黒岩芳弘教授らの研究グループは、新規ビスマス酸化物超伝導体(Na0.25K0.45)(Ba1.00)3(Bi1.00)4O12を発見しました。この超伝導体はバリウムとナトリウムおよびカリウムが規則的に配列するA-サイトオーダーダブルペロブスカイト型構造であり、高温超伝導体探索およびメカニズムの解明に新たな指針を与えるものです。

この研究成果は、ドイツの科学誌「Angewandte Chemie International Edition(応用化学誌 国際版)」のオンライン版で2月27日(日本時間)に公開されました。

ペロブスカイト型構造

一般式ABO3で表される元素組成を持つ、金属酸化物の代表的な結晶構造。本研究で発見されたA-サイトオーダーダブルペロブスカイトは二つのAサイトを持ち、A‘A‘‘3B4O12で表される。

掲載雑誌名、論文

掲載雑誌
Angewandte Chemie International Edition
表題
“Superconducting double perovskite bismuth oxide (Na0.25K0.45)(Ba1.00)3(Bi1.00)4O12 prepared by a low-temperature hydrothermal reaction”
「低温水熱反応より合成されたビスマス酸化物ダブルペロブスカイト超伝導体 (Na0.25K0.45)(Ba1.00)3(Bi1.00)4O12
DOI

合成された新規超伝導体の磁化率曲線

図1. 合成された新規超伝導体の磁化率曲線。27 Kでの超伝導転移が確認できる。

ペロブスカイト構造とA-サイトオーダーダブルペロブスカイト構造の模式図

図2. ペロブスカイト構造とA-サイトオーダーダブルペロブスカイト構造の模式図。ペロブスカイトは一種類のAサイトを持つが、A-サイトオーダーダブルペロブスカイト構造ではAサイトがA‘とA“サイトの二種類のサイトを持つことで、二倍の周期構造を持つ。本研究で発見された超伝導体では、A'サイトにはナトリウムとカリウム、A“サイトにはバリウムが占有している。

お問い合わせ先
応用セラミックス研究所 教授 東 正樹
Tel: 045-924-5315, Fax: 045-924-5318
Email: mazuma@msl.titech.ac.jp

※3月4日、論文情報を追加いたしました。

RSS