東工大ニュース
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公開日:2014.06.23
東京工業大学資源化学研究所の宍戸厚准教授、赤松範久大学院生、東京大学大学院新領域創成科学研究科の竹谷純一教授、九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所藤川茂紀准教授らの研究グループは、機能性フィルムの簡便な表面歪み計測法を開発した。光を回折するグレーティング(用語1)をフィルム表面にラベル化することにより、フィルムの曲げによる表面歪み(用語2)を簡単に定量計測できることを明らかにしたもの。
さらに、光応答性を有するフィルムやシリコーンゴムからなる積層フィルムが従来の固体力学から大きく乖離した変形挙動を示すことを見いだした。これは、柔軟な材料の力学(ソフトメカニクス)が、硬い材料を扱う従来の固体力学とは大きく異なることを表すものである。ソフトメカニクスの進展に伴い、ウェアラブルデバイスやフレキシブルディスプレイ開発に弾みがつくと期待される。
ウェアラブル端末やフレキシブルディスプレイの開発には機能性を有する柔軟なフィルムの積層化が必要だが、これまでは変形や破壊を防ぐ鍵となる表面歪みの簡便な計測法がなかった。
この成果は、20 日に英国の科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」(電子版)に掲載される。
用語説明
(注1) グレーティング: |
光を回折する回折格子。屈折率の周期構造体により形成される。内部に周期的な屈折率変化を有するものと、表面に周期的な凹凸を有するものがある。表面ラベルグレーティング法では、いずれのグレーティングも利用可能である。 |
(注2) 表面歪み: |
表面の変形状態を表す尺度であり、初期状態の長さに対する変位の比で定義される。フィルムの曲げに伴い表面が膨張するため、デバイスの破壊や疲労の原因となる。表面歪みの簡便な定量計測手法が望まれていた。 |
フィルムの曲げ変形に伴う表面の膨張と収縮。
同じフィルムでも異なる外部刺激によって表層の歪みは全く異なる。柔らかい材料特有の力学が存在することを明らかにした。
論文情報
Facile strain analysis of largely bending films by a surface-labelled grating method, Norihisa Akamatsu, Wataru Tashiro, Keisuke Saito, Jun-ichi Mamiya, Motoi Kinoshita, Tomiki Ikeda, Jun Takeya, Shigenori Fujikawa, Arri Priimagi, & Atsushi Shishido, Scientific Reports, 4, 5377/1-5377/6.
DOI: 10.1038/srep05377
お問い合わせ先
資源化学研究所 准教授 宍戸厚
TEL: 045-924-5242
Email: ashishid@res.titech.ac.jp