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地震工学論文誌の「最も引用された論文」に選出

2015.02.25

トロント大学のDeepak R. Pant研究員、東工大のAnil C. Wijeyewickrema准教授らが発表した論文が、地震工学の論文誌Earthquake Engineering and Structural Dynamicsで、2012年から2013年にかけて最も引用された論文の一つに選ばれました。Deepak R. Pant研究員は東工大で修士・博士課程を修了しています。以下はその論文の概要です。

RC造免震構造物の隣接構造物との衝突に関する応答の解析的研究

Anil C. Wijeyewickrema准教授

Anil C. Wijeyewickrema准教授

地震による構造物被害は多くの死傷者や経済的損失を生む。それゆえ地震工学では、そのような構造物被害を減らすような革新的な技術を開発する研究が行われてきた。免震技術は実績のある技術の一つであり、構造物基部にベアリングやアイソレータなどの装置を取り付けたものである。これらの装置は、地震による変形をベアリング部分に限定し上部構造物の損傷を小さく抑えるために、あえて水平方向に剛性が低く設計される。しかしこの技術は、大地震下での基部の変形により構造物が隣接する構造物と衝突する可能性をはらんでいる。このような衝突により、構造物は大きな損傷を受けてしまう。構造物の衝突は複雑な現象であるため、その数値シミュレーションは挑戦的な課題とされている。多くの先行研究では、構造物の弾性モデルとシンプルな衝撃力モデルを想定した簡易的方法を用いている。この研究論文は、RC造(鉄筋コンクリート構造)免震構造物の応答に対する衝突の影響が、衝突する構造物の違いと構造物間の間隔の影響を評価することにより調べられている。その目的から、基部に擁壁を有する典型的な四階建てRC造免震構造物と四階建てRC造耐震構造物の衝突挙動が、新たな衝撃力モデルを用いて調べられた。構造物と免震システムの非線形性を考慮した三次元の数値解析シミュレーションが、様々な地震動レコードを用いて行われている。この研究により複雑である構造物の衝突に対する洞察を得ることができ、また免震構造物の応答において構造物の衝突は重要な影響を持っていることがわかった。近接した耐震構造物との衝突では免震構造物に大きな損傷が見られないが、免震構造物と擁壁間のみの衝突では構造物の崩壊が起きることが示された。この研究論文の成果は、より良い免震構造物を設計するための次世代のガイドラインに有益な情報となるだろう。

論文情報

著者:
Pant, D. R. and Wijeyewickrema, A. C.
論文タイトル:
Structural performance of a base-isolated reinforced concrete building subjected to seismic pounding
掲載誌:
Earthquake Engineering and Structural Dynamics, 41: 1709-1716.
DOI: