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「日本再生:科学と技術で未来を創造する」プロジェクト開催報告

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公開日:2015.04.21

「日本再生:科学と技術で未来を創造する」プロジェクト -半導体微細加工プロセス体験を通じた知的創造力の育成- が2015年3月12日に開催されました(開催責任者:理工学研究科電子物理工学専攻・小寺哲夫 准教授)。本プロジェクトの目的は、日本の未来を担う進学校の高校生が最新の科学技術を体験することで、その重要性を実感し、さらに知的創造力を育むことにあります。具体的には、半導体微細加工プロセスの体験、また最先端の半導体やナノテクノロジーに関する研究についての紹介を行いました。さらに学部4年生、大学院生との議論を通じて、理解を深めました。

半導体微細加工体験は、南9号館4階半導体実験室で行いました。ここは、電気電子工学科の学生実験で使用している部屋となります。高校生全員がクリーンウェアを着用し、クリーンルームにおいて作業を行いました。まず、アルミニウム金属の真空蒸着を体験しました(写真1)。金属が真空チャンバー内で加熱され、半導体基板に蒸着される様子を見ると、高校生からは歓声があがりました。「どのような力で金属が半導体に付くのか」など、活発に質問が出ました。

写真1 アルミニウムの蒸着体験
写真1 アルミニウムの蒸着体験

写真2 フォトマスクのデザイン

写真2 フォトマスクのデザイン

次にフォトリソグラフィ※1を体験しました。デザインは東工大と開成高校の校章や漢字が入ったものです(写真2)。レジストを半導体基板に塗布し、予め準備したフォトマスクを用いて、フォトリソグラフィを行いました。感光しないようにイエロールーム※2でフォトリソグラフィを行うことなどを、大学院生が説明しながら、体験しました(写真3、写真4)。高校生たちは、「半導体微細加工プロセスでは様々な化学薬品を用いていることがわかり、物理の研究にも化学の知識が必要になるということを初めて知った、とても楽しかった」といった感想を述べました。

写真3 フォトリソグラフィ体験

写真3 フォトリソグラフィ体験

写真4 サンプル作製結果

写真4 サンプル作製結果

微細加工体験を終えた後、南9号館3階と1階にあるナノテクノロジーに関係する実験装置の見学を行いました。金属をオングストローム単位※3の膜厚で制御して蒸着できる電子線蒸着装置や、ナノ材料を形成するためのCVD装置、ナノ構造を観測するための走査電子顕微鏡等を紹介しました。

写真5 EEI棟実験室見学風景

写真5 EEI棟実験室見学風景

さらに、環境エネルギーイノベーション棟(EEI棟)に移動し、見学を行いました。太陽電池に囲まれたビルに大興奮の様子でした。内部では、研究室のダイヤモンド成長装置の見学を行いました(写真5)。「どのくらいの大きさのダイヤモンド薄膜が形成されるか、またどのような応用が期待されるか」など、多くの質問が出ました。対応した大学院生らは、「活発に質問が出て、また説明に対するリアクションが多くあり、とても楽しく刺激をもらった」と感想を述べました。日本の未来を担う進学校の高校生らとの交流は東工大生にとっても知的創造力を共に育むことができる有意義な時間になったようです。その後、高校生と案内役を務めた東工大生、教員の記念撮影が行われました(写真6)。

写真6 高校生・TA・教員での記念撮影
写真6 高校生・TA・教員での記念撮影

※1
フォトリソグラフィ : 感光性の物質を塗布した物質の表面を、パターン状に露光することで、露光された部分と露光されていない部分からなるパターンを生成する技術。
※2
イエロールーム : クリーンルーム内で特に感光性物質が扱われるフォトリソグラフィー工程のために蛍光灯の特定の波長領域(紫外線)をカットしたエリアの事。
※3
オングストローム単位 : 原子や分子、可視光の波長など、非常に小さな長さを表すのに用いられる。

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