東工大ニュース
東工大ニュース
東工大は、教育改革の取り組みのひとつとして、オンライン学習環境を整備し充実した学修の機会を増やすためにMOOCs(Massive Open Online Course(s))※1のコンソーシアムであるedX※2に2014年10月から参加しました。また、2015年夏の東工大発のコース開始に向けてオンライン教育開発室(OEDO : Online Education Development Office)を中心にコンテンツ開発を進めており、学内への取り組みの周知並びに、近年の世界のオンライン教育の潮流を学ぶためにシンポジウム「MOOCs for Science & Engineering Education」を開催しました。
OEDOでは教員とTAが一緒にMOOCsコンテンツの開発を行っている
edX本部があるボストンから、教育担当シニアディレクターのシェリー・ヘフナー氏を含む4名のスタッフ、講演者として香港科技大(HKUST)からティン・チュエン・ポン教授、大阪大学から竹村治雄教授らが参加し、TTFロイヤルブルーホールにて開催しました。東工大卒業生など学外者10名を含む約51名が参加、講演やパネルディスカッション等を通じて活発な意見交換を行われました。
シェリー・ヘフナー氏(edX)
当日は三島学長の挨拶の後、ヘフナー氏より、「Empowering Learning in the Classroom and Around the Globe」として、現代社会におけるオンラインコースの存在意義及び活用事例、edX参加大学並びに利用者のデータ分析に基づく取り組み状況の紹介、及び今後の展開などについての講演がありました。
ティン・チュエン・ポン教授(香港科技大)
次に香港科技大(HKUST)のポン教授による「New Education and Research Opportunities offered by MOOCs」の講演がありました。ポン教授はedXを通じて工学系の教授としての講義に加え、自らMOOCsによって世界中に講義を配信し、ブレンデッド・ラーニング※3を実践しています。既存の講義形式から、アクティブ・ラーニング※4、ブレンデッド・ラーニング、特にオンラインコースを使ったフリップドラーニング※5を用いた学習者中心のスタイルによる新しい学びの効果や流れに関して報告しました。また、ポン教授はMOOCとオンキャンパスによるプロジェクトベースドラーニング※6を融合させた講義を実現したほか、MOOCコースで優秀な成績を収めた海外の学習者を夏休みを利用して香港科技大の学生と共にフォローアッププロジェクトを受けてもらうなど、様々な新しい取り組みを実践しています。
講演の最後として、東工大のジェフリー・スコット・クロス教授から東工大のMOOCsへの取組状況、特に、昨年12月より活動を開始したオンライン教育開発室(OEDO)を通じた学生との協働によるコンテンツ開発の状況などについて報告がありました。
竹村治雄教授(大阪大学)
TAの田川翔さんによる活動の紹介
休憩の後は、大阪大学の教育学習支援センター長竹村治雄教授、edXプロダクトディレクターのルー・ワン氏、東工大で現在建築に関するコンテンツを企画中のデビット・スチュワート特任教授、そしてOEDOのTA※7として、本学最初のMOOCコンテンツである「Deep Earth Science(DES)」の開発に参加している東工大の学生 田川翔さんを交え、クロス教授の進行によりパネルディスカッションが行われました。会場のアンケートでは、参加者のほぼ全てから「満足した・良く理解できた」などの高い評価をいただきました。また「オンラインコースウェアにかぎらず、学生の学習に対する動機づけが重要であることへの気付き」、「通常の講義にも役に立つようなことが得られた」、「他大学や他機関の先進的な取り組みを知ることができた」などのコメントが寄せられました。また当日参加していた複数の教員から、自分の講義でオンラインコンテンツを作ってみたいという相談や、OEDOの活動に対する賛同の意見なども寄せられました。
パネルディスカッションの様子
本学でスタートしたオンライン教育への新たな取り組みを広める機会として、本シンポジウムは大変意味のあるものになりました。今後は、4月1日に開設された教育革新センター(CITL: Center for Innovative Teaching and Learning)の中の組織としてOEDOの活動と共にMOOCsへの取り組みを含めた教育の質向上、充実した学修環境の整備が進められていきます。