研究

東工大ニュース

低励起エネルギーにおける核分裂の動的様相

2015.08.24

概要

東京工業大学原子炉工学研究所の千葉教授は、有友特任准教授、Ivaniuk客員教授と共同で低励起エネルギーにおけるウラン領域原子核の核分裂を記述する動的模型をランジュバン方程式に基づいて構築し、そのメカニズムの探求を行った。

研究の背景

低励起エネルギーにおけるウラン領域原子核の核分裂は基礎・応用両面から重要であるが、いまだそのメカニズムには定説がなく、定量的な予測も困難な状況にある。

研究成果

  • 核分裂で生成する二つの原子核の質量数が等しくない非対称核分裂の二つのピーク値はサドル領域で決定され、分布の幅は断裂時近辺におけるランダム力によるものであることを見いだした。
  • 核分裂メカニズムの解明は原子核の大振幅集団運動の理解と原子力エネルギーの安全な利用に直結する。

今後の展開

現在の模型で置かれているいくつかの制限を緩和し、より現実的なシミュレーション計算を可能とすることで、広い領域の原子核に対する定量的予測を行い、原子力開発に必要な核データを提供する。

ランジュバン軌道の例(赤線)。横軸は原子核の伸びに対応し、縦軸は質量非対称度を表す。

図1. ランジュバン軌道の例(赤線)。横軸は原子核の伸びに対応し、縦軸は質量非対称度を表す。

論文情報

掲載誌 :
Physical Review C 90, 054609-1-8(2014).
論文タイトル :
Fission dynamics at low excitation energy.
著者 :
有友嘉浩、千葉敏、F. Ivaniuk
DOI :

問い合わせ先

原子炉工学研究所
教授 千葉敏
Email : chiba.satoshi@nr.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3066 / Fax : 03-5734-2959