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RU11「自由な発想に基づく独創性豊かで多様な研究を継続的に支援することの重要性について」(提言)

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公開日:2015.11.06

学術研究懇談会(RU11)は、日本における最先端の研究・人材育成を担う、国立・私立という設置形態を超えたコンソーシアムです。北海道大学、東北大学、筑波大学、東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学、東京工業大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学の11大学で構成されています。

このたび、RU11の総長・塾長・学長は、自由な発想に基づく独創性豊かで多様な研究を継続的に支援することの重要性について提言をまとめました。

平成27年11月6日

自由な発想に基づく独創性豊かで多様な研究を継続的に支援することの重要性について(提言)

学術研究懇談会(RU11)

北海道大学総長
山口 佳三
東北大学総長
里見  進
筑波大学学長
永田 恭介
東京大学総長
五神  真
早稲田大学総長
鎌田  薫
慶應義塾長
清家  篤
東京工業大学学長
三島 良直
名古屋大学総長
松尾 清一
京都大学総長
山極 壽一
大阪大学総長
西尾 章治郎
九州大学総長
久保 千春

学術研究懇談会(RU11)は、設置形態を超えた11の大学による学術の発展を目的としたコンソーシアムであり、研究及びこれを通じた高度な人材の育成に重点を置き、世界的にも独創性豊かで多様な研究成果を発信し続けています。また、これまで学術研究の重要性を訴え、数多くの提言を社会に発信してきました。

このたび、大村智北里大学特別栄誉教授がノーベル医学生理学賞を、また梶田隆章東京大学教授がノーベル物理学賞を、それぞれ受賞されましたことに、心よりお祝い申し上げます。これで、日本人のノーベル賞授賞者は(米国籍の2人を含め)24人となり、2001年以降の自然科学分野での受賞者数については、世界2位となっています。ノーベル賞の受賞テーマの多くは、自由な発想に基づく独創性豊かな研究であり、当初は価値の定まっていない研究を忍耐強く長い年月をかけて深めていった帰結として、知の地平を拡大し、さらに人々への福祉に資する社会的価値を生みだすことで、人類社会全体に大きな貢献を果たしたものです。今回の両博士の受賞においても、個人の自由な発想を起点とする独創性豊かで多様な研究を大学において推進することが如何に重要であるかを示すものとなりました。こうしたノーベル賞の受賞テーマをはじめ、多様な分野にわたる学術研究は、社会・経済の長期的・持続的な発展に大きく寄与しており、この意味からも学術研究の振興は重要であります。

しかし、研究においてグローバル化が急速に進展し国際競争が激化する中で、日本の大学をとりまく環境は厳しさを増し、とりわけ研究を支える財政的基盤は年々縮小しています。このままでは将来に渡ってノーベル賞を生み出し続ける状況を維持できるか、強い危惧を抱かざるを得ない状態となっております。

RU11としては、今回のノーベル賞受賞を受け、日本の独創性豊かで多様な研究をより一層発展させる環境を整備するために、以下の研究支援策について提言致します。

1. 基盤的研究費(国立大学運営費交付金ならびに私学助成の確保)

独創的な研究成果の源泉は、自由な発想に基づく多様な研究を粘り強く進めることであり、それを生みだす土壌を支えることは最優先されるべきです。国立大学法人の運営費交付金は、法人化以降毎年減額され続け、平成27年度の10,945億円は平成16年度と比較して1,470億円(13.4%)の削減となりました。私立大学についても、経常費補助金における補助割合は50%が目標のところ、昭和55年度の29.5%をピークに減り続け、平成27年度は推計で10.1%にとどまっております。

これら交付金あるいは私学助成は、独創的な基礎研究を下支えするとともに、教育、運営、施設の維持・管理等の必須の財源として活用されてきました。各大学においては、運営の効率化を進め、外部資金の獲得を拡大する等様々な対策を講じ、厳しい財務状況に対応して参りました。しかし、新たな発想に基づく研究への支援、若手人材の雇用などの未来への投資や、施設の安全確保など、基盤的研究にとって不可欠な安定した財源が枯渇しています。RU11は、運営費交付金ならびに私学助成のこれ以上の削減は行わず、文部科学省が要求しているこれらの確保を確実に実現するよう、強く要望するものです。

2. 科学研究費補助金の充実

前述のように、大学には、自由な発想に基づく独創性豊かで多様な研究の推進が求められます。このような研究には、研究者の自由な発想によるテーマ設定と研究の進展状況に合わせた柔軟な研究進捗管理が重要となります。今回のノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章教授らのカミオカンデ、スーパーカミオカンデにおける一連の研究では、当初の目的である陽子崩壊の観測において、雑音とされていた大気ニュートリノの観測データの解析が、受賞理由であるニュートリノ振動の発見につながりました。この一連の研究は、約25年に渡ってほぼ継続する形で文部科学省の科研費による支援を受けております。また、大村智特別栄誉教授も科研費の助成を受けており、科研費は研究者を支える基盤的な研究支援制度として、他の競争的研究費にはない極めて重要な機能を果たしています。

また科研費は、研究者からの提案をピアレビューに基づく評価で厳正に審査し、大学の優れた研究を支える中核的な財源であるとともに、制度的にもいち早く基金化を導入し、研究の進捗に合わせた費目間流用も認めるなど、研究者にとって使い易く柔軟性の高いものとなっています。このように科研費は、独創性豊かで多様な研究を進める上で、極めて重要かつ有効な研究資金制度となっています。

しかし、この科研費でも、平成24年度以降予算額の横ばい状態が続いています。ノーベル賞受賞テーマに限らず、社会において大きな価値創造につながった研究についても、研究者の自由な発想に基づく提案型の研究が発端となったものは枚挙にいとまがありません。研究成果の指標である論文生産の質と量の向上の観点では、他の競争的研究費と比べても科研費が特に役立っていることを示す具体的なデータもあります。RU11としては、科研費の予算額が拡充されることに加えて、その本来的な機能が今後も十分に維持されるとともに、研究者が、継続的に、独創性豊かな多様で挑戦的な研究を粘り強く推進できるように、より充実した優れた制度へと展開されることを、強く望むものです。

3. 競争的研究費における間接経費の適切な措置

各研究者は研究費確保のため、各種競争的研究費の獲得に努力しています。競争的研究費は、基本的に、申請時に設定された具体的なテーマに固有で直接必要な物品の購入や、旅費、研究に直接関わる人件費等に充当されます。一方、個々の研究課題を遂行するためには、大学が自ら積み上げ維持してきた研究環境や設備機器も活用しています。学術文献の拡充、光熱水費、設備や建物の維持管理費、研究を支援する多様な人員の配置等、大学で研究活動を遂行する際に必ず必要とする、これら間接的な研究環境の整備も必須となります。これらは、一般に競争的研究費で直接措置することは難しい為、運営費交付金、私学助成、ないしは寄付金等で賄うこととなります。しかし、前述のように、削減される基盤的研究費でこれらを賄うことは、極めて難しい状況にあります。競争的研究費を獲得したとしても、大学は研究を支える財政的余裕がない状況が生じています。

このような問題を改善するためには、競争的研究費への間接経費の適切な措置が不可欠です。RU11ではこれまでも例年、間接経費を拡充するよう提言してきました。RU11の提言に応えて、文部科学省も間接経費の拡充を検討しています(「研究成果の持続的創出に向けた競争的研究費改革について(中間取りまとめ)」平成27年6月24日)。RU11は、文部科学省のこのような方針を強く支持するとともに、平成28年度予算において、全ての競争的研究費について直接経費に外付けされる形で、30%の間接経費が措置されることを強く要望するものです。

日本の基礎研究を中核的に担うRU11では、こうした研究支援策の拡充を求めるとともに、「世界的にも独創性豊かで多様な研究成果を発信し続ける」ことに加えて、国際共同研究の拡大、人事交流、留学生の派遣・受入れの促進、教育体制の改善などにもより一層努め、それら成果の正確な分析ならびに評価指針の構築を進めることにより、自らを革新する努力を進めて、国民の皆様の期待に応えて参ります。

お問い合わせ先

研究推進部研究企画課研究企画グループ
Email : pro.sien@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3803

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