東工大ニュース
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12月2日~5日の4日間、西9号館 ディジタル多目的ホールとコラボレーションルームにおいて、本学原子炉工学研究所と中国・上海交通大学との共催による国際シンポジウム「第3回日中大学間核燃料サイクル学術討論会(ASNFC2015)」が開催されました。日本側の議長は東工大 小澤正基 教授、中国側の議長は上海交通大学の韦悦周(ウェイ ユェヂョウ)教授が務めました。
このシンポジウムは、原子力の最終段階である、核燃料サイクル※の基礎科学を主題としています。上海交通大学で開催された、2011年の第1回、2013年の第2回では、核・放射化学、再処理(湿式、乾式)、分離変換工学、先端分離技術などの基本的トピックスを取り上げました。それらに加えて今回からは、放射性廃棄物、除染・廃炉、材料、熱流動・熱化学及び安全性など、今日的課題や周辺技術にも議論の幅を広げています。その結果ASNFC2015には、日本の44名と中国の35名を含め、アメリカやロシアなど世界9カ国から90名の参加者と77報の投稿論文が集まり、核燃料サイクルの科学技術に対する世界的注目度を裏図けるものとなりました。
開会式では、本学から三島良直 学長、岸本喜久雄 大学院理工学研究科工学系長、矢野豊彦 原子炉工学研究所長が、歓迎のあいさつを行いました。続く本会議では、柴之芳 中国科学院院士(中国側名誉議長)、山脇道夫 東大名誉教授(日本側名誉議長)の講演がありました。
続いて開催された討論会について特筆すべきは、日本からは東工大を始めとして東大、近大から13名の学生が、中国からは上海交通大学を始めとして清華大、四川大、蘭州大などから10名の学生が出席したことです。また、全ての論文が口頭発表されました。
閉会式では、当該分野での日中双方の若手研究者の育成の一助になることを願い、日本7報、中国5報の論文発表に対して、優秀学生論文発表賞とウランガラスで作成した記念品が授与されました。
原子力は、エネルギーの安定的な供給確保、および、地球温暖化対策として重要な役割を担っており、核燃料サイクルは原子力の持続可能な発展に必要不可欠です。本シンポジウムを通じて、日中双方の大学における燃料サイクル基礎分野の目覚ましい学術的レベルアップが確認されました。
なお、討論会の合間を縫って毎夕、初日は歓迎会、2日目は晩餐会、3日目は招待講演者会合が催され、参加者一同始終和やかな雰囲気で活発な議論と交流が交わしていました。さらに最終日には、中国、アメリカ、ロシア、ポーランド、韓国などから総勢40名の参加を得て、山梨県北杜市と甲府市へのツアーが挙行されました。抜群の天候にも恵まれ、三澤ワイナリーから晩秋の富士山遠景や南アルプス・甲斐駒ケ岳の絶景を臨むことができました。山梨大学のワイン科学研究センターでは奥田徹センター長から発酵生産に関する講義と試飲も行われ、12時間弱に渡る強行日程にもかかわらず、一同大満足な様子でした。
これらの成果を踏まえ、次回のASNFCは、2017年に中国・蘭州大学で開催される予定です。
お問い合わせ先
原子炉工学研究所
Email : asnfc2015-local@nr.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2962