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細野秀雄教授が2016年日本国際賞(Japan Prize)を受賞

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公開日:2016.01.29

材料科学の世界的研究者として知られる細野秀雄教授に、この度、2016年日本国際賞(Japan Prize)を授与されることが決定しました。

今回受賞した細野秀雄教授(左)とスティーブン・タンクスリー博士(右)
今回受賞した細野秀雄教授(左)とスティーブン・タンクスリー博士(右)

日本国際賞(Japan Prize)とは、「国際社会への恩返しの意味で日本にノーベル賞並みの世界的な賞を作ってはどうか」との政府の構想に、松下幸之助氏が寄付をもって応え、1985年にはじまった国際賞です。この賞は、全世界の科学技術者を対象とし、独創的で飛躍的な成果を挙げ、科学技術の進歩に大きく寄与し、もって人類の平和と繁栄に著しく貢献したと認められる人に与えられるもので、毎年、科学技術の動向を勘案して決められた2つの分野で受賞者が選定されます。また、授賞式は、天皇皇后両陛下ご臨席のもと各界を代表する方々のご出席を得、盛大に挙行されます。

細野秀雄教授は、2016年の授賞対象分野の一つである「物質、材料、生産」分野の受賞者として選ばれました。

受賞理由

ナノ構造を活用した画期的な無機電子機能物質・材料の創製

細野秀雄教授は、ナノ構造を活用することによって元素や化合物の固定概念を打ち破る数々の電子材料や物質を創り出しました。たとえば、電気伝導性を示さないとされていた透明アモルファス酸化物を使って半導体を開発。そのひとつであるIn-Ga-Zn-O(インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素)系薄膜トランジスタ(IGZO-TFT)は省エネ性の高い液晶ディスプレイとしてパーソナルコンピューターやタブレットなど、現代のごく身近な生活の中に実用化されています。さらに、大型の有機ELテレビにも実装が開始されています。この他にも、セメント材料から電気伝導性をもつ化合物を創り出したり、超伝導には有害とされる鉄を含む高温超伝導体の発見など、ユニークな視点から材料科学の新領域を開拓し、産業にも大きく貢献してきました。

コメント

細野秀雄教授

細野秀雄教授

受賞の対象となった成果は、1993年に本学で始めた透明酸化物の電子機能開拓の研究で得られたものです。当時の応用セラミックス研究所の「大きな構想を描けないなら、ここにいる資格はない」という凄まじい活力と緊張感に後押しされて始めた研究が、1999年にJSTのERATOプロジェクトに採択され、構想を思い切って展開できるチャンスを与えられたことが飛躍の契機になったと思います。恩師、共同研究者、研究室の学生の方々などのお蔭です。厚く御礼申し上げます。

物質には思いもよらない機能が潜んでいるようです。私たちはそのほんの一部分しか未だ知らないようだという感を深くしています。2012年の設立された「元素戦略研究センター」は、物質の可能性を開拓し、材料にまでジャンプさせる研究を強力に推進することが目的です。このセンターを中心に一層 物質・材料の開拓研究に精進したいと思っています。

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