東工大ニュース
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1月12日、大岡山キャンパス西9号館ディジタル多目的ホールにて、昨年本学に就任した磯﨑憲一郎教授による講演会「私の考える小説とは」が、本学リベラルアーツセンター主催で開催されました。磯﨑教授は現在、大学院社会理工学研究科価値システム専攻に属しており、小説生成論を担当しています。客席には一般の方を含め100人以上の聴衆が集まりました。
講演会ポスター
磯﨑教授
自己紹介の様子
磯﨑教授はまず最初の自己紹介で、学生時代は競艇部で活躍し体育会系の根性を持っていたこと、就職は商社に入社し若いうちに北米デトロイトなどで7年間の貴重な海外経験を積んだことなどを説明しました。磯﨑教授にとって人生で一番身になったのがこの7年だったそうで、若いうちに海外に行って世界に触れてみることの面白さを伝えました。
小説執筆について
小説については、プロット(事前の設計図)は一切なしに、あるのは最初の一文だけで書いていく、磯﨑教授ならではの書き方を紹介しました。一行書いて、そこまで書いた部分と相談しながら次の一行をひねり出していく、ひねり出すことが小説を書く推進力になっているそうです。また、ストーリーをたまに断ち切ることもメリハリをつけるために必要ということなど、小説を生み出す工程について「もしかしたら小説家としては変わった書き方なのかもしれない」と客席とやりとりをしながら話しました。
会場の様子
磯﨑教授の著書を展示
また、手元資料の自身の著書「世紀の発見」やカフカ作「変身」などの抜粋を用いて、文章の表現やストーリーの展開を説きました。自身の小説を書くひらめきや展開は、寝ているときに見る夢(どんな突拍子もないありえない設定でもすんなりと受け入れてしまう)と同じような感覚であるとのことです。これが自分の小説の原理と例えられるのではと考え、誰にでも経験がある「夢」での出来事が小説を書くひらめきにつながる可能性があると述べ、会場の興味を引きました。
講演会の前後の期間中、東工大附属図書館で磯﨑教授の著書の特別展示が行われ、たくさんの学生が手に取っていました。当日の会場内にも展示されました。今後の磯﨑教授の執筆にもどうぞご注目ください。
最新著書「電車道」