研究

東工大ニュース

「OPLによる大学院教育の展開~世界から必要とされる人材育成を目指して~」開催報告

2016.02.24

1月27日、東京工業大学大岡山キャンパスにて、シンポジウム「On the Project Learning※1(以下OPL) よる大学院教育の展開~世界から必要とされる人材育成を目指して~」を開催しました。このシンポジウムは情報環境学専攻が2011年度より実施しているプロジェクト「高度専門教育のためのOPLを核とした情報環境教育・研究システムの展開」の関連行事で、企業関係者、教員、学生、一般参加者をあわせて、およそ70名の参加があり活発な議論が行われました。

会場の様子
会場の様子

はじめに、情報環境学専攻の廣瀬壮一教授より開会の挨拶として、本プロジェクトが企業と学生が密に連携する先進的な事例であること、そして本シンポジウムがプロジェクト5年間の集大成となることを述べました。

久村氏による基調講演

久村氏による基調講演

第1部では初めに、日産自動車株式会社フェローの久村春芳氏が「企業に必要な人財の能力と人財の育成-企業競争力の視点から-」と題して、基調講演を行いました。産業に関する世界の中心都市の変遷を概観し、そして、日本の産業構造が過当競争の時代になっていきていることを説明しました。そこで、企業として競争力を高めるためには、Innovative(革新的であること)とReliable(信頼できること)がともに重要であることを述べました。その中で、学生が企業から求められている能力として、Vision(将来の構想)を作り、戦略を作り、そして実行するリーダーシップが重要と強調しました。日産自動車株式会社における人財育成では、マネジメント力、技術力、人間力の3要素を鍛えていき、自律人財を目指していること、例として新興国に赴任し現地の社会課題を解決する取り組みを紹介しました。最後に、単位取得の条件を全てプロジェクト遂行としている海外の大学の事例を紹介し、OPL教育が推進しているプロジェクト型教育の重要性を述べました。

角方氏による基調講演

角方氏による基調講演

次に、株式会社リアセックキャリア総合研究所所長の角方正幸氏が「OPL教育システムの可能性と限界-企業が求める課題解決力育成の視点から-」と題して基調講演を行いました。先ず、自身の経験から、KJ法(カードを用いたブレーンストーミングによる発想法)が仕事をする上でスキルとして役立っていること、また仕事をすることとは課題を解決することという考え方を学んだことを紹介しました。次に、社会構造の変化とともに求められる人材要件も変わり、企業から求められる能力で「専門性」は減少傾向にあり、相対的価値が薄れてきていることを話しました。一方で、方法論や物の考え方、探究心といった事柄が重要さを増してきており、OPL教育における博士力の育成という目標は、企業の求めている課題解決力育成に合致していると評価しました。また、OPL型の教育スタイルの導入により、経験から身に着く行動特性、対人基礎力や対課題基礎力を引き上げることが大切であると指摘しました。その実現のためには、企業など社会との連携とともに、教職員同士が、学生の能力向上などの教育成果について頻繁に話題に挙げることのできる環境が重要と強調しました。

第2部では、本学情報環境学専攻修士1年の学生が行ってきた情報環境学プロジェクトの成果報告会が行われました。国内企業連携班が6班と、海外からの留学生と本専攻学生との混成チームによる国際班が2班の合計8班に分かれ、口頭報告を実施しました。タイトルと連携企業は下記のとおりです。

国内企業連携班

  • 1班
    「混ンドル ~飲食店の混雑状況確認アプリ~」 連携企業 清水建設
  • 2班
    「振り込め詐欺防止装置 ~おばあちゃんプロテクタ~」 連携企業 JR東日本
  • 3班
    「Pinch Shopper ~買い物代行マッチングサービス~」 連携企業 NTTデータ
  • 4班
    「Share Stand ~スポーツ応援ツール~」 連携企業 NEC
  • 5班
    「Assist Best Coordinate ~服装提案アプリ~」 連携企業 ベクトル総研
  • 6班
    「地域犯罪予防アプリ」 連携企業 富士通

国際班

  • 国際1班
    「Autonomous Music Technologies」
  • 国際2班
    「Impact Detection Technology ~衝撃検知~」

各班がそれぞれの問題意識に取り組み、連携企業として協力頂いた方々から多くのアドバイスを頂き、プロジェクトとして成果をまとめ上げました。学生からは、周囲を説得するためのスキルなど、実社会で必要なことを学び、視野を広げられたといった意見が出ました。また、企業の方々からは、学生の考え方をダイレクトに知ることができ、議論を通して企業側でも多くの気づきが得られたなどの意見がありました。

学生発表の様子
学生発表の様子

最後に、情報環境学専攻の笹島和幸教授より、2008年度から始まったPBL(Project Based Learning※2)大学院教育プロジェクトから数えて8年に及ぶプロジェクトの経緯、そして今後の大学院教育において目指したい「創造課題解決能力育成」という方向性を紹介しました。また、学生に向けて、研究力として、自分自身でどう考えどうアプローチしたか、問題設定から解決までを含むPDCAサイクル※3を体得して欲しいと述べました。

※1
On the Project Learning : 企業等と連携したPBL型学修やプロセスメモ、オフラボディスカッションなどを配置した課題解決能力を育成する大学院教育。
※2
Project Based Learning : グループで問題発見・解決を行い、グループワークやマネジメント、課題解決の総合を学習する教育方法。
※3
PDCAサイクル : Plan-Do-Check-Actの頭文字で、計画・実行・評価・改善という一連のプロセスのこと。考試省(考える・試す・省みる)とも呼ばれ、これを繰り返すことにより、より良いものへ進化させることが出来る。

お問い合わせ先

OPL事務局

Email : opl@mei.titech.ac.jp