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木賀大介准教授が第12回日本学術振興会賞を受賞

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公開日:2016.03.03

大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻の木賀大介准教授が、第12回日本学術振興会賞を受賞しました。

授賞式に出席した木賀准教授(左)とお母様
授賞式に出席した木賀准教授(左)とお母様

日本学術振興会賞とは

同賞は、独立行政法人日本学術振興会が、優れた研究を進めている若手研究者を見い出し、早い段階から顕彰してその研究意欲を高め、独創的、先駆的な研究を支援することにより、我が国の学術研究の水準を世界のトップレベルにおいて発展させることを目的に2004年に創設されたものです。

受賞対象者は、人文・社会科学及び自然科学の全分野において、45歳未満で博士又は博士と同等以上の学術研究能力を有する者のうち、論文等の研究業績により学術上特に優れた成果をあげている研究者となっています。 受賞者には賞状、賞牌及び副賞として研究奨励金110万円が贈呈されます。記念受賞式は2月24日に日本学士院にて開催されました。

受賞理由

合成生物学による人工生命システムの構築

生命システムは構成単位の組み合わせによって、様々な特性を持ちます。構成単位の組み合わせの場合の数が非常に大きいことが天然の生物の多様性の根源であり、人類が生物を改良して人工的に活用できることの担保でもあります。

木賀准教授は、生化学のバックグラウンドをもとに、物理学、情報科学やシステム科学の知見を活用し、試験管内や細胞内に生体分子を組み合わせた人工生命システムを具現化してきました。また、20種類のアミノ酸が鎖状に連なって構成されるタンパク質に対し19種類や21種類のアミノ酸を使用するタンパク質の合成系や、試験管内での生体分子による論理演算系、生きた細胞間の相互作用によって多様化を維持する人工遺伝子回路、などの構築を行いました。

これらの成果は国際的にも高い評価を受けており、木賀准教授は合成生物学という新しい分野において日本のキーパーソンとして認識され、人工生命や生命の起源に関する研究者の一人として、今後も世界をリードする幅広い活躍が期待されています。

木賀准教授のコメント

遺伝子工学の発展版として様々な応用が期待されている合成生物学の本質は、wetと称される生物実験と、dryと称されるシステム科学・情報科学を適切に融合することにあります。このため、私の研究の根源は生命の起源に関する理学的な問いから発していますが、研究の実践のためには、様々な科学を融合することが必要であり、東工大着任前の私一人の力では何も成すことはできませんでした。現在所属する、知能システム科学専攻の山村雅幸教授をはじめとする皆様や、融合組織としての情報生命博士教育院、地球生命研究所、およびこれらで育ってきた学生と共に一連の研究を楽しんでこれたことを光栄に思い、恩師や共同研究者、各種研究資金の提供元皆様へと合わせ、深く感謝します。今後も、さらなる学際融合研究・教育に精進します。また、私事にて恐縮ですが、私の基盤を形づくった父、父亡き後私たち兄弟を育て上げてくれた母、経済面のサポートを下さった学術振興会をはじめとする各種団体や出身高校と大学に、そして現在の生活を豊かにしてくれている家族に深く感謝します。

お問い合わせ先

大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻
木賀大介

Email : kiga@dis.titech.ac.jp

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