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南洋理工大学との関係強化に向けた合同ワークショップを開催

2016.04.28

2月29日と3月1日の2日間、シンガポールの南洋理工大学(NTU:Nanyang Technological University)で、第1回NTU―東工大合同ワークショップが開催されました。このワークショップは、2014年に文部科学省のスーパーグローバル大学創成支援事業に採択された東工大が、事業の一環として国際的視野から教育・研究を推し進めるために実施したものです。

東工大からは、三島良直学長、水本哲弥副学長(教育運営担当)、大竹尚登副学長(研究推進担当)に加え、今回のテーマとなった環境工学、分子化学、界面科学などの関連分野から9名の研究者が参加しました。

NTUでは、今回学長の代行を務めたアレキサンダー・ゼンダー教授を筆頭に、ラム・キンヨン副学長、本ワークショップの企画・運営担当の学長室リサーチディレクターのティム・ホワイト教授のほか、関連部門のディレクターや若手研究者、イベントオフィスのスタッフの方々の歓迎を受けました。

ラム副学長
ラム副学長

三島学長
三島学長

ワークショップ初日は、開会の辞として、ラム副学長から本ワークショップ開催までの経緯とNTUの概要が紹介されました。後者では、NTUの国際化の歩み、人材に対する考え方、多国籍企業との共同研究に触れ、東工大と連携することで、日系企業との結びつきが強まることを希望すると語りました。

続いて三島学長が、2016年4月から実施の教育改革を中心に東工大の紹介を行いました。改革の柱となる組織の再編成、学修の仕組みの刷新、国際交流について具体例を交えて説明し、研究大学として世界トップレベルの地位を獲得するまで、挑戦的に前進する決意を表明しました。

ワークショップの様子
ワークショップの様子

次に、「University Presentation(大学紹介)」と題し、それぞれの大学の特徴や最新動向に関する説明がありました。NTUのホワイト教授は、シンガポールの国情を考慮しつつ時代の要請に応えるには、産学官のさらなる連携強化と多様な研究分野における柔軟でグローバルな結びつきが必須であると述べ、キャンパス全体を実験モデルとした国家事業である再生可能エネルギープロジェクトを紹介しました。

岡崎特命教授
岡崎特命教授

東工大の研究活動については大竹副学長が担当し、世界的に高い評価を受けている幅広い分野の研究実績とそれを代表する研究者をプロフィールと共に紹介しました。東工大が「世界の研究ハブ」として資するために不可欠な研究環境整備の施策や、グローバル水素エネルギーコンソーシアムを例に、先端研究分野を強化する研究ユニットの設置構想についても説明しました。また、国際化が課題であるとしながらも、本ワークショップがその推進に役立つことに期待を寄せました。

休憩をはさんで行われた基調講演では、前述のグローバル水素エネルギーコンソーシアム代表の岡崎健特命教授が演壇に立ちました。自動車産業や家庭で水素エネルギーが利用されている日本の現状や、海外の未使用エネルギーを水素に転換して輸送する大規模なサプライチェーン構想などを詳述し、聴衆の興味を引き付けました。

スボード教授
スボード教授

NTUからも、エネルギー分野の専門家が登壇しました。スボード・マサルカ教授は、南国の都市国家シンガポールにおけるエネルギー消費の沿革と、国土の特徴を踏まえた再生可能エネルギーへの転換施策について、具体的な数字を示しながら説明し、地球温暖化回避に取り組む姿勢をゼロ・エミッション(消費による廃棄物をゼロにすること)実現への熱意とともに語りました。

同日午後の時間は分科会が行われました。A: 環境工学、B: 分子化学、C: 界面科学の3つの分科会で、NTUと東工大の研究者が3名ずつ参加して発表を行い、共同研究の可能性を探りながら活発な意見交換が行われました。分科会後に連携の具体的方策と研究内容の検討に進んだグループも複数あり、今後の展開に大いに期待が寄せられました。また、今回テーマとして取り上げられなかったロボティクスも、共同研究対象として大いに期待の持てる分野であることが明確になりました。

BMWに試乗する三島学長
BMWに試乗する三島学長

 ジオラマを使ってのキャンパス案内
ジオラマを使ってのキャンパス案内

2日目午前に行われたキャンパスツアーでは、企業との共同研究に関する説明を中心に、広大な敷地内に点在するロールスロイス、BMW、シンガポール開発庁、STエンジニアリングの各企業と連携した研究施設を訪れ、設備や機材、研究員の様子などを見学しました。

グルーエン教授
グルーエン教授

キャンパスツアーから全員が戻ったところで、医師でもあるラッセル・グルーエン教授がNTUに2013年に新設された李光前医学院の概要について説明し、基調講演を締めくくりました。

ワークショップの最後に、前日の分科会の報告が行われ、短時間の話合いにもかかわらず、両大学間での共同研究の協力体制が既に築かれつつあることが示され、次回につながる大きな収穫となりました。

分科会と並行して経営陣による話合いも行われ、両大学の交流をさらに深めるために、第2回の合同ワークショップを、2016年11月14日・15日に東工大で開催することが決まりました。

閉会の辞としてホワイト教授と水本副学長がそれぞれ所感を述べ、東京での再会を約束してすべての日程を無事終了しました。

センダー教授(中央)、ラム副学長と懇談する三島学長
センダー教授(中央)、ラム副学長と懇談する三島学長

次回の合同ワークショップでは、ロボティクスなど新たな研究分野での研究者交流の拡大を目指すとともに、NTUとの関係をより一層深め、東工大の国際化をさらに推し進める重要なイベントとなることが期待されます。

集合写真
集合写真