東工大ニュース
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本学が加盟しているASPIREリーグ※1が毎年7月に開催している「ASPIRE フォーラム」が7月9日~15日に南洋理工大学(NTU、シンガポール)で行われ、加盟大学から副学長およびシニアスタッフ、シンポジウム講演者、ワークショップの参加学生ら総勢62名が参加しました。
本学からは、丸山俊夫理事・副学長(教育・国際担当)を団長とした8名の代表団が7月13日~14日に行われたシンポジウムと副学長会議に出席しました。関口秀俊副学長(国際連携担当)、ASPIRE事務局から三原久和生命理工学院長、ASPIREリーグ運営チームより環境・社会理工学院の西條美紀教授、シンポジウム講演者として、学術国際情報センターの青木尊之教授、生命理工学院の上野隆史教授が同行しました。
ASPIREフォーラムは、テーマに沿った研究成果を各大学の研究者が発表する「シンポジウム」や学生向けの「ワークショップ」、加盟大学の副学長やシニアスタッフが各大学のリーグ内での活動について報告する「副学長会議」で構成されています。今年のテーマは「Sustainable and Livable Cities(持続可能で住みよい都市)」でした。
各大学の副学長およびシニアスタッフが出席した副学長会議では、リーグ内の学生交流や研究交流活動の報告と今後の活動に関する提案がなされ、活発な意見交換が行われました。
7月13日に開催されたシンポジウムでは、加盟大学の研究者がフォーラムテーマに沿った研究活動について発表を行いました。
本学からは、青木教授が、「Green Super Computer TSUBAME and Large-scale Applications on Computational Fluid Dynamics(グリーンスーパーコンピュータTSUBAMEと大規模数値流体シュミレーション)」というテーマのもと、学術国際情報センターが運用しているスーパーコンピュータTSUBAMEの特長とTSUBAMEを活用し、開発した計算手法によるシミュレーション事例を紹介しました。本年8月に運用を開始した「TSUBAME3.0」は、2017年6月期の世界のスパコン省エネ性能ランキングGreen500 Listにおいて1位を獲得しました。電力比性能とハイパフォーマンスを兼ね備えた同システムは、理工学の様々な最先端研究のシミュレーションを可能としています。青木教授は津波の建物に与える衝撃、都心部の気流、水と空気が激しく入り混じる流れ、複雑な形状の固体粒子を多数含んだ流れなどのTSUBAMEを使った大規模シミュレーションの事例を紹介しました。
東工大が創設した研究グラント(助成金)をもとに2011年から東工大の研究代表者とASPIREリーグ加盟大学の研究者との間で実施している、共同研究についても報告がありました。今年のシンポジウムでは、上野教授が持続可能なバイオ材料の創成を志向したタンパク質ケージの新しい精密機能化法の確立を目指している共同研究について報告をしました。上野教授の共同研究グループには、香港科技大学からグアン・ジュ教授、韓国科学技術院(KAIST)からヨン・スンナム准教授、清華大学からディエナン・ルー准教授、NTUからシャーリン・リム准教授およびケリン・シア助教が参加しています。
学生ワークショップには、ASPIREリーグおよびIDEAリーグ※2から30名の学生が参加し、本学からも修士、博士課程の学生5名が参加しました。学生たちは、約1週間にわたって、NTUおよび他機関の講師による講演を受講し、シンガポールにある、ソーラーエネルギーソリューションをリードする企業RECのソーラー生産設備、下水をリサイクルするための浄化施設「NEWater」、Royce-Rolls社のシンガポール工場を訪問しました。
最終日には、学生たちが各大学の副学長の前でワークショップ期間中にグループワークで作成したプレゼンテーションを発表する場が設けられました。大学混成5チームに分かれてのプレゼンテーションでは、発表賞がチームおよび個人に授与されました。本学大学院総合理工学研究科 物理電子システム創造専攻 博士課程2年の大橋匠さんが参加したチームは、「グリーンエネルギー」をテーマに、熱帯のシンガポールにおける人々の生活の質を向上させるため、環境やライフスタイルに応じた再生可能エネルギーや、効率的にエネルギーを制御できるスマートグリッド、明るさや眩しさを制御するスマートウインドウを導入したライフスタイルを提案し、最優秀グループ発表賞を受賞しました。
大橋さんは、「非常に良い雰囲気の中、学びや楽しみも多い、素晴らしい1週間を過ごすことができた。また多様なバックグラウンドを持つ学生との繋がりや、世界を舞台に働く自信を持ち帰ることができた」と話し、友人たちと健闘を称えあいました。
フォーラム開催中、リーグ加盟大学の副学長およびシニアスタッフも、下水をリサイクルするための浄化施設「NEWater」や持続可能で住みやすい都市の実現を目指し、調査研究・人材育成・情報発信を行う「Centre for Liveable Cities」を訪問しました。
2018年のASPIRE Forumは7月上旬にNTUで開催される予定です。
本学が発案し、2009年に設立された科学技術の発展と人材の開発を通してアジアにおけるイノベーションのハブを形成することを目的とした、アジア地域における理工系トップ大学のコンソーシアムです。加盟大学は、清華大学(中国)、香港科技大学(中国)、NTU(シンガポール)、KAIST(韓国)と東京工業大学の5大学。東工大は、設立当初より事務局を務めています。
デルフト工科大学(オランダ)、スイス連邦工科大学チューリッヒ校、アーヘン工科大学(ドイツ)、シャルマーズ工科大学(スウェーデン)、ミラノ工科大学(イタリア)のヨーロッパ理工系大学5大学で構成されたコンソーシアム。両リーグでは、2011年より各サマープログラムに学生の相互派遣を行っています。