東工大ニュース

グローバルシステム開発研修2017 実施報告

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公開日:2017.10.23

8月20日~9月2日までの2週間、フィリピンのセブ市で、東京工業大学 情報理工学院 IT特別教育プログラムが主催する「グローバルシステム開発研修」が行われました。この研修は2015年から毎年実施しているもので、グローバルな環境でのシステム開発が当たり前のようになっている現代において、異文化理解を深めながらシステム開発のコラボレーションスキルを習得することを目的としています。セブシティにある日系企業の現地エンジニアとチームを組み、情報サービス企画(市場調査・要求分析から試作開発とプレゼンまで)を体験するものです。全学から参加者を募集し、今年は3名の大学院生(修士課程)が参加しました。

チームメンバーと打ち解けた様子の参加学生

チームメンバーと打ち解けた様子の参加学生

具体的な研修内容は、1週目に英語コミュニケーション研修、2週目にリーンスタートアップ研修となっています。

まず1週目は、現地の英会話学校の協力を得て、1日10時間のコミュニケーション研修が行われました。マンツーマンレッスンや小グループでのディベートなど、コミュニケーションがあまり得意でない学生には刺激的な5日間となりました。週末には翌週の研修の準備として、セブ市内の視察を行いました。地元の人との交流を通して、フィリピンの歴史やセブ市民の生活について理解を深めました。

2週目はいよいよ、この研修のメインメニューであるリーンスタートアップ研修です。NECテレコムソフトウェア フィリピンの協力により、数々の有名 IT 企業がオフィスを構えるセブ市内のビジネス地区「ITパーク」で研修を行います。リーンスタートアップ研修は、デザイン思考とリーンスタートアップ手法を組み合わせた内容で、リサーチ・問題の特定・仮説の組み立てと仮説検証サイクルを行います。参加学生は、NECテレコムソフトウエア フィリピンやローカル企業の現地エンジニアとチームを組みます。日本人は各チーム1名ですが、さっそく1週目のコミュニケーション研修の成果が出ているようでした。

今年の開発テーマは「セブの子どもの貧困をサポートするITサービス」です。日頃あまり意識したことのないテーマに最初は戸惑っていた学生も、現地エンジニアの積極性に巻き込まれるように熱心に取り組んでいました。初日は、チームビルディングのあと、現地調査を行いました。都市貧困問題の解決に向けて企業活動をしているワクワーク・ファウンデーション(WAKUWORK FOUNDATION,INC.) の協力を得て、貧困エリアであるロレガ地区のリサーチを行いました。インタビューや施設の見学などからさまざまな問題意識を持ち帰ったチームは、自分たちが取り組みたい課題について熱い議論を交わしました。

貧困エリアであるロレガ地区でインタビュー
貧困エリアであるロレガ地区でインタビュー

チームで仮説を議論
チームで仮説を議論

2日目~4日目は、仮説の組み立てとその検証をデザイン思考の手法を用いながら行いました。また、ITサービスのデモンストレーションも開発し、最終日には、NECテレコムソフトウエア フィリピンのマネージャーのみなさんと、ワクワーク・ファウンデーションの社員のみなさんの前で、提案プレゼンテーションとITサービスのデモンストレーションを行いました。

チームの提案内容は、

  • 子どもの学習意欲を引き出すための学習アプリ
  • ボランティア活動とボランティア地域を結ぶサービス
  • 支援して欲しい人と支援したい人を結びつけるサービス

と、さまざまな角度からテーマに取り組んだことが分かるものでした。どのチームの提案も真剣に取り組んでいて素晴らしいと、見学者より高い評価をいただきました。

サンプルアプリ開発の様子
サンプルアプリ開発の様子

提案プレゼンテーションの様子
提案プレゼンテーションの様子

帰国後の報告会では、「チームでの信頼関係の作り方や積極的なコミュニケーションの必要性が分かった」「文章を頭で考えるより、まず話してみる」「英語でのコミュニケーションは思っていたほど怖くない」と、一回りたくましくなった参加学生の姿がうかがえました。

チームビルディング:チーム成果を引き出すためのエクササイズを含む、関係性づくりのプロセス

無事にプレゼンテーションを終えリラックスするメンバー
無事にプレゼンテーションを終えリラックスするメンバー

優勝チーム
優勝チーム

参加者による記念撮影

参加者による記念撮影

お問い合わせ先

IT特別教育プログラム事務局

E-mail : jimu@itpro.titech.ac.jp

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