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工系学生国際交流基金派遣 実績報告会および留学報告会 開催報告

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公開日:2018.03.12

2月14日、大岡山キャンパス本館の講義室において、工系学生国際交流基金派遣の実績報告会および工系留学報告会が開催されました。

工学院、物質理工学院、環境・社会理工学院の3学院は、国際的感覚を持った工学を専門とする高度技術者を養成するため、合同で所属学生を海外の大学等に派遣しています。この学生国際交流プログラムは海外で様々な国の研究者や学生と共に研究を行うことで自身の専門性を深め、さらには、より広範な先端科学技術・知識を学びながら、異文化に触れることで、学生自身の修学意欲の一層の向上と国際意識の涵養を図ることをねらいとして独自に実施しています。このプログラムは、(1)海外大学との交流協定締結などを通じた学生相互派遣のための環境整備、(2)各種基金等を利用した所属学生の海外派遣支援制度の運営等を目的としています。

工系国際交流委員会主査の竹村准教授による実績報告会
工系国際交流委員会主査の竹村准教授による実績報告会

前半に行われた実績報告会では、工系国際交流委員会主査の竹村次朗准教授(環境・社会理工学院 土木・環境工学系)がプログラムの概要ならびにここ数年の派遣大学や人数などの傾向について報告を行いました。

また、後半には工系留学報告会が行われました。これは、当プログラムにて2017年夏季に短期留学した学生が履修対象となっている講義「国際研究研修」の一環として実施されたものです。

派遣先大学と発表者(計4名)は以下の通りです。(発表順、敬称略)

派遣先大学
発表者(所属・学年は発表当時)
留学期間
アーヘン工科大学(ドイツ)
渡邉 翔太郎(工学院 機械系 修士課程2年)
2017年6月~12月
サウサンプトン大学(イギリス)
管原星弥(物質理工学院 材料系 修士課程1年)
2017年8月~11月
ソウル国立大学(大韓民国)
濱上大基(物質理工学院 応用化学系 博士後期課程2年)
2017年7月~9月
アメリカ・カトリック大学(アメリカ)
緑川美桜(物質理工学院 材料系 修士課程1年)
2017年6月~11月

報告会では、留学経験者が留学生活について英語で発表を行いました。

留学経験者のコメント

アーヘン工科大学に留学した工学院 機械系の渡邉翔太郎さん(修士課程2年)

研究室の仲間と(写真左が渡邉さん)
研究室の仲間と(写真左が渡邉さん)

研究室の様子
研究室の様子

自分は妙な衝動から修士2年の中途半端な時期に在学期間を伸ばしてまで留学しようと決心しましたが、自身の中では得られたものの方が多くあったので全く後悔はしていません。実際行ってみて、自分と同じ年齢の学士課程学生も多数いたことから意識が変わりました。またドイツ語が全くわからないため、友人と呼べる人を作ることは非常に大変でした。そのため、留学してすぐの時期は英語圏に留学すればよかったと後悔しましたが、全く馴染みのない環境と言語的にも少数派(ドイツ人も、ある程度の人は英語圏のネイティブスピーカーと遜色無いくらいの綺麗な英語を使いますが)である環境に飛び込むことで、日本の言語的な特殊な環境と、当人になって初めて分かる言語的少数派の感覚を味わえたことは非常に良い経験になりました。加えて、自身の帰国後、またそれ以降の在日外国人への接し方を考え直すきっかけとなりました。

また、英語に嫌悪感を抱いていた中学・高校時代や、全く留学のことを考えていなかった修士1年のころは、自分が留学するなんて考えられませんでしたが、今は当時からは信じられないほど海外経験を積みたいと考えています。

ドイツという国は、その国柄から工業的にも国としても面白い国だと思います。行きたいと考えている人は本などで多少勉強してから行ってみることをおすすめします。得た知識に加え、間違っていた認識も含めカルチャーショックを受けると思います。休暇が取りやすいことは非常に魅力的に感じました。

サウサンプトン大学に留学した物質理工学院 材料系の管原星弥さん(修士課程1年)

誕生日にフラットメイトとピザ店で(写真最左が管原さん)
誕生日にフラットメイトとピザ店で(写真最左が管原さん)

旅行で訪れたドイツのハンブルク港で
旅行で訪れたドイツのハンブルク港で

もともとは、海外になんて行きたくないとすら思っていましたが「学生のうちに一度は」と東工大の超短期留学プログラムに応募したことをきっかけに海外に対する印象が変わり、今回のプログラムにも応募しました。留学前は留学予定先からの返信がなかなか得られず、不安と焦りでいっぱいでしたが「自分にとって全部未知、できないことが当たり前、困りに行くんだ」という気持ちで向かったため、トラブルにも前向きに対処していくことができました。3ヵ月で身に付いたことは少ないかもしれませんが、できないことに対して今までより抵抗なく「やってみよう」と思えるようになったと感じています。今後の僕の考え方に大きく影響する非常に貴重な経験ができました。帰国して終わりではなく、感じたこと、経験したことを自分に活かして、自分のものにしていきたいと思います。

本留学に対する僕のモチベーションは「英語が不得意だからこそ、英語ばかりの空間に身を置いてみたい」「海外の大学の研究や教育を体験したい」「専門とは異なる分野を学ぶことで視野を広げたい」そして「学生のうちに海外で生活する経験をしたい」というものでした。皆さんの中でももし何か興味を惹かれることがありましたら、ぜひ応募してみてください。

ソウル国立大学に留学した物質理工学院 応用化学系の濱上大基さん(博士後期課程2年)

研究室の仲間と(写真前列左から2番目が濱上さん)

研究室の仲間と(写真前列左から2番目が濱上さん)

研究室で
研究室で

私は、今回の留学を通して、化学生物学の研究の理解を深め、ソウルの文化に触れることが出来、また素晴らしい韓国の友人に恵まれました。

所属研究室では、合成化学だけでなく、生化学や分析化学に精通している学生がおり、彼らから実験方法を学ぶことができました。研究室の外では、活気ある市場や漢江のほとりにある公園などを訪れ、平和なソウルを楽しむことができました。これらの充実した経験はすべて、3ヵ月間共に過ごした研究室の友人が私に与えてくれたものであり、彼らと出会ったことが私の大きな財産です。

後輩へのメッセージとして、アジア圏への留学を選択の一つとしてお勧めします。アジア圏へ留学することは、将来、科学者または技術者として働くことを志望している学生には良い選択だと思います。今後、科学技術を生かせる最大のフィールドは、世界最多の人口を有し、いまだ発展の途上にあるアジアにあると思うからです。留学を通して、その国の人と文化を知っておけば、その国で仕事もしやすいでしょう。また、地理的に近いため、留学で築いた交流関係は、仕事でもプライベートでも続けることができると思います。

アメリカ・カトリック大学に留学した物質理工学院 材料系の緑川美桜さん(修士課程1年)

報告会の様子

報告会の様子

研究室の仲間と(写真右から2番目が緑川さん)
研究室の仲間と(写真右から2番目が緑川さん)

留学先は1887年にアメリカのカトリック司教によって創立された大学で、学部は1904年に開設されましたが、それまでは大学院と研究機関で運営されていました。私は硝子体の専門研究機関に留学したので所属研究室というような概念はなく、様々な分野の人と交流できました。留学先は、放射性廃棄物固化ガラスに関連した研究機関として世界でもトップクラスです。こちらでインターンシップ生として研究させていただきました。

研究テーマはボロシリケートガラス中のRe溶解度測定とその構造解析でした。自分で測定するのではなく、試料作製後に依頼して、測定結果をまとめて分析しました。ただし細かい条件を伝える必要があったため、自分で自由にできない点では最後まで苦労しました。自分ですべてする必要がないため同時に分析することが可能で、研究のスピードとしては一人でするよりも速かったです。また指導教員は私以外に受け持つ学生がおらず、また成果を5ヵ月間で必ず出すために惜しみなく指導してくださいました。

文法が間違っていようが、発音がおかしかろうが、どうにかして伝えるという根気があれば正直英語は通じます。

本イベントは、留学プログラムについての理解を深めるとともに、帰国して間もない留学経験者からの新鮮な現地情報や感想に触れることができる機会でもありました。2018年夏季派遣が決定している学生も参加し、発表者に直接英語で質問し、情報を収集していました。また、本プログラムは、受入・派遣の双方向プログラムであることから、その特徴を生かし、受入留学生との交流イベントも企画・運営されています。

お問い合わせ先

工系国際連携室

E-mail : ko.intl@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3969

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