東工大ニュース
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科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の細野秀雄教授(元素戦略研究センター長)が、米国材料学会(Materials Research Society、以下MRS)の最高位の学会賞であるフォン ヒッペル賞(Von Hippel Award)を受賞することが決定しました。表彰式と受賞記念講演「材料研究における元素戦略(Element Strategy in Materials Research)」は、2018年11月28日(水)、米国ボストンで開催されるMRSの秋学会で行われます。
MRSは、材料に関する学際的研究を促進することを目的に1973年に創設された世界最大の材料学会です。90以上の国・地域から集まる会員のうちの半数以上が米国以外の研究者で構成されており、その分野は化学、生物学、物理学、工学等多岐にわたります。
フォン ヒッペル賞は、アーサー・R・フォン ヒッペル教授(Arthur R. von Hippel, 1898-2003)を記念し、分野を横断した材料について際立った研究業績を挙げた研究者(会員・非会員を問わない)1名に毎年授与されています。本賞は今回で第42回を数えますが、日本人が受賞するのは初めてです。
受賞業績は「鉄系高温超伝導体の発見と透明酸化物半導体と無機エレクトライドの創出」です。
銅酸化物と並ぶ高温超伝導物質の新大陸となった鉄ニクタイド系超伝導物質、有機ELテレビなどに応用されているIGZO(イグゾー)等の酸化物半導体、そして温和な条件下でのアンモニア合成触媒への道を開いた無機エレクトライドの創出といった開拓的研究の業績が評価されたものです。
フォン ヒッペル先生は、多くの学際的テーマで歴史に残る先駆的業績を挙げた方で、私の学生時代から著名でした。かなり前から分野横断を意図した研究を行ってきたので、今回の受賞は大変に嬉しいものです。材料科学は日本が世界で強い分野の一つなのに、これまで受賞者がいなかったことに驚きました。多くの共同研究者と支援を頂いた大学、科学技術振興機構(JST)、日本学術振興会(JSPS)などのスポンサー、そして推薦を頂いた方々に感謝いたします。
ここ10年くらいの間に日本の材料研究の存在感が世界の中で急速に失われつつあり、変革が必要なことは多くの方が指摘しています。卓越大学院に採択された本学の提案のように、伝統的な枠組みを超越した独創性の明確な研究を強力に推進する必要があります。個人的には、広い領域を俯瞰して、未開でポテンシャルの高いテーマについて、独自のコンセプトに基づく、新物質・材料の創出とその応用を拓く研究に精進したいと思います。