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東工大・チュラロンコン大学合同の異文化課題解決型学習プログラム開催

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公開日:2019.02.06

12月17日から21日までの1週間、タイのチュラロンコン大学から計15名の学生と教員が東京工業大学を訪問し、東工大グローバル理工人育成コースの学生とともに「スマートシティ」をテーマに、サイトビジットと合同プレゼンテーションを行いました。

グローバル理工人育成コースでは、東工大とチュラロンコン大学の合同で、異文化課題解決型学習GATI(Global Awareness for Technology Implementation in the Solving of Social Issues)プログラムを毎年、実施しています。2018年の第4回目(GATI 4)は、夏休みに同コース学生が超短期海外派遣プログラムによりタイを訪問、第3クォーターと第4クォーターに両大学で遠隔ワーク、12月にチュラロンコン大学が来日し、サイトビジット・グループワーク・最終発表、と約半年にわたって行われました。

トピックはスマートシティ

GATIは、双方の学生が加わるグループをいくつか作り、その年のトピックに関連するテーマを各グループが選んでグループワークを行います。2018年のトピックは「スマートシティ」で、東工大から11名、チュラロンコン大学から14名の学生が参加しました。東工大生のタイ滞在中に様々な専門家による講義や施設訪問を行ったのち、各自の興味に基づいて、交通問題(2グループ)、観光・エネルギー、ヘルスケアの計4つのグループに分かれました。東工大生の帰国後は、グループごとに遠隔ワークを行って、最終発表で提案するプレゼンテーションの研究を積み重ねてきました。

スマートタウンや企業を訪問

12月17日から来日したチュラロコン大の学生と東工大の学生は、まず柏の葉スマートシティ(千葉県柏市)や藤沢サステナブルスマートタウン(神奈川県藤沢市)を訪問しました。IoTを活用しながらエネルギー、セキュリティ、モビリティ、ウェルネスなどの様々な角度から住民の快適性や地域特性、未来のくらしを考えたスマート・コミュニティライフ、およびスマートライフに最適な家や施設など街全体をスマート空間として設計した事例を見学しました。

藤沢サステナブルスマートタウンを見学

藤沢サステナブルスマートタウンを見学

続いて、パナソニックセンター(東京都江東区)等を訪問し、日本の最先端IoT技術が人々の生活にどう関わっているかの事例を学び、各自の考えるアイデアのヒントを得ました。また、都市の様々な人・モノのビッグデータを収集・解析し、都市における様々な課題の解決に役立てる研究を行っている東京大学生産技術研究所の関本義秀准教授の講義を聞き、災害時や道路補修から街づくりまで多岐にわたる社会基盤づくりのデータ活用事例を学びました。

その後、国内外で多くのスマートシティプロジェクトを手掛けるNEC(東京都港区)を訪ね、未来都市づくり推進本部及びグローバル事業開発本部の方々から、交通、ヘルスケアに関わるプロジェクトについて詳しく伺いました。そのうえで、交通、観光、ヘルスケアに関する専門家の方々を囲むグループに分かれ、フリーディスカッション・意見交換の場を設定していただきました。双方の大学生から多数の質問が出され、予定の2時間を超えて3時間に及ぶ充実した訪問となりました。

NECでの合同グループディスカッションの様子

NECでの合同グループディスカッションの様子

NECでの合同グループディスカッションの様子

NECでのディスカッションを終えて

NECでのディスカッションを終えて

4グループの最終発表

12月21日は東工大大岡山キャンパスレクチャーシアターで最終発表を行い、4グループが遠隔ワーク及び日本滞在中に進めてきたグループワークの成果を発表しました。2つの交通問題グループのうち、バンコクの交通渋滞を扱った第1グループは、交通信号の自動化に失敗しマニュアルで稼働している経緯を踏まえ、どのようなデータが必要かを考え、そこから信号の最適なアルゴリズムを見つけ、再び自動化することを提案しました。

最終発表の様子
最終発表の様子

バンコクの交通問題をドライバーのマナーから見た第2グループは、飲酒運転やスピード違反が多く交通事故の主な要因になっていることから、市内に多く設置されている監視カメラによって取り締まるほか、報奨金制度を導入し、第三者がいつでもスマートフォンアプリから報告できる仕組みを提案しました。

観光・エネルギーのグループは、沖縄の石炭火力発電からの脱却と外国人観光客のさらなる誘致を取り上げました。沖縄が台風の通り道であるため風力発電の拡充が難しいので、海水冷房システムを導入し、ホテルなどで活用する案を提示しました。また、プーケットや日本国内の観光地を参考にし、観光客が多い国の言語の表記を取り入れた表示板やアプリケーションの導入を提案しました。

ヘルスケアのグループは世田谷区の高齢者のための効率的なヘルスケアシステムを検討しました。バンコクでも高齢化が近い将来、問題となることを踏まえ、日本国内や世界各地で導入されている医療データのクラウド化などを通じて、診療時間短縮、在宅遠隔診察と独居老人の様子伺い、救急医療の際の速やかな患者情報の提供を呼びかけました。さらに、患者の健康状態に関する継続的なデータに基づく最適な運動・訓練メニューなど予防医療のシステムとそのビジネス化を提案しました。

発表終了後には、東工大グローバル人材育成推進支援室長の須佐匡裕教授が双方の学生代表に修了証を授与しました。学生たちは半年近く密接に交流し文化の違いを意識しながらも、共通の課題に共同で取り組んできました。英語でのコミュニケーション力向上にとどまらず、異文化を理解し、チームワークを保ちながら自分をアピールし同じ目的に邁進する、という実践的な意味でのグローバルな能力を大きく向上させることができました。

グローバル人材育成推進支援室長 須佐匡裕教授から修了証を授与される本学とチュラロンコン大学の学生代表
グローバル人材育成推進支援室長 須佐匡裕教授から
修了証を授与される本学とチュラロンコン大学の学生代表

最終発表までのすべてのプログラムを終えて
最終発表までのすべてのプログラムを終えて

お問い合わせ先

グローバル人材育成推進支援室

E-mail : ghrd.info@jim.titech.ac.jp

2月7日11:50 関連リンクを追加しました。

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