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アーティストとアートを体験するセミナー(2019年度前期) 開催報告

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2019.07.22

セミナー風景

セミナー風景

東京工業大学 学生支援センター修学支援部門では、アーティストとアートを体験するセミナーを、5月9日、6月13日に本学大岡山キャンパス80年記念館2階会議室で開催しました。専門、国籍がさまざまな本学の学士・大学院生達が5月9日は23名、6月13日は19名参加しました。講師には、ベルリン国立芸術大学出身、現在はベルリンや東京を創作拠点としているアーティストのZuse Meyer(ツーゼ・マイヤー)氏をお迎えしました。5月9日はヴァン・ゴッホ、6月13日はパヴロ・ピカソがテーマで、両日とも、マイヤー氏によるレクチャー(英語及び日本語)のあと、学生達がアートの実習を行い、最後に全員でお互いの作品を鑑賞し、マイヤー氏による一人一人の作品への講評がありました。

このセミナーの目的は、芸術家の作品を現役アーティストが解説する講義を通して芸術への知識と洞察を得、その後、実習を通して参加者それぞれが独自の表現力を発見することです。マイヤー氏のお話をもとに先日行われたセミナーの様子をご紹介します。

5月9日:ヴァン・ゴッホ

両手でのデッサン
両手でのデッサン

レクチャーでは、ゴッホの短い伝説的な生涯が、それぞれの時期の作品や彼が過ごした場所の写真のスライドとともに紹介されました。とくに最後の2年間のゴッホのパワー、集中力はどこから生まれたのか、アーティストならではの解釈・解説がありました。その後、参加者たちは、ゴッホの風景や彼が過ごした南仏の写真にインスピレーションを得ながら、利き手、利き手でない手、最後は両手でデッサンと絵の制作を行いました。

利き手で描く絵は、意識的に制御され、テクニカル・スキルが勝る傾向が強くなりますが、利き手でない手で描くことによって、意識の制御がはずれ、描く人が持っている本来のパワーやアクティブさが絵に表れてきます。また、両手で描くことは右脳と左脳を同時に使うことになります。「アート、創造という観点で本質的に重要なことは、何かを真似たりテクニックを学んで商品をつくることではなく、自分を信じ、心で見て、新しい表現を創り出すことです。」とのマイヤー氏の言葉に参加者全員が惹き込まれました。

南仏の風景写真を見ながらクレヨンで作品作り
南仏の風景写真を見ながらクレヨンで作品作り

同じ写真を見て描いても、隣の人とは全く表現が異なることが分かる製作中の作品達
同じ写真を見て描いても、隣の人とは全く表現が
異なることが分かる製作中の作品達

6月13日:パヴロ・ピカソ

マイヤー氏によるパヴロ・ピカソについてのレクチャー

マイヤー氏によるパヴロ・ピカソについてのレクチャー

レクチャーの中では、パヴロ・ピカソの肖像画の紹介を通して、ピカソが、ある技法に留まり熟練するのではなく、常に新しく変化し、新しい表現を生み出し続けようとしたことが強調されました。多くのスライドの紹介を通じて、ピカソの類い稀な想像力、エネルギーと自由さにインスピレーションを得た参加学生達は、自らが自画像と肖像画の世界を旅しデッサンと絵を制作しました。

参加学生の作品(自画像、肖像画。それぞれ、鉛筆、クレヨン。右手で描かれたもの、左手で描かれたもの、両手で描かれたもの。)

参加学生の作品(自画像、肖像画。それぞれ、鉛筆、クレヨン。右手で描かれたもの、左手で描かれたもの、両手で描かれたもの。)

講評の様子
講評の様子

上の写真が、作品制作開始から2時間後の作品です。3時間前にここは何もない場所で、参加学生の彼や彼女が何を創造できるのか誰にも全くわかりませんでしたが、これだけのcreation(創作物)が生まれました。

「アートはオリンピックではないので全員が違っていて良いし、それぞれの作品にはそれぞれの良さがある」というお話に引き続き、全員の作品にマイヤー氏より、丁寧にコメントが加えられました。1枚の絵を全員が見て、アーティストのコメントを聞くことで、参加者全員が作品を見る新しい視点を得て、個人の多様性の豊かさに気づくことができました。

セミナー終了後のアンケートには、多くの「楽しかった」「有意義だった」「マイヤー先生への感謝」のコメントに加えて、以下のような感想がありました。

  • 自分の作風に自信が持てました。
  • いろいろ学んでから、実際にやってみるという流れがとても良かった。
  • セミナーの中では、両手と頭脳を使い続けた。両手と頭脳のすべてを使うことを学んだ。
  • 全員が活発にセミナーに参加し、美しい作品を創りあげた。
  • 同じ課題をこなしても、人によってまったく異なるタイプのアート作品になることを目の当たりにするのはすばらしい。
  • 参加する前は絵を描くのが得意でないことが心配だった。参加してみると、マイヤー先生はとても親切で、セミナーを通じて自分の認識を大きく変えることができた。
  • 新しいものの見方が増えたことが良かった。コメントしていただけるのがありがたかった。
  • 自分にとって今まで経験したことがない、全く新たな取り組みだった。
  • 自分の考え方、取り組み方に新しい発見があった。
  • 時間というか、描く時間で変わっていくのが楽しい。
  • 計画するよりも、やってみることを通じて創造を生み出されることが素晴らしい!
  • アートというコンセプトのセミナーのおかげで、自分の創造性を表現できたことに感謝します。
  • 講師の先生が、我々に、様々な方法で、自由にアートすることを促してくれることがうれしかった。
  • アートについて、自分自身について、考え、感じる機会は貴重。
  • 一人一人、違った見え方をしているのが面白い。

1回目の集合写真(テーマ:ゴッホ)
1回目の集合写真(テーマ:ゴッホ)

2回目の集合写真(テーマ:ピカソ)
2回目の集合写真(テーマ:ピカソ)

研究者個人の創造性の発揮は理工系の研究において重要な要素です。将来研究者や技術者になる学生達が、さまざまな切り口でそれぞれの創造性を涵養していけるよう、学生支援センター修学支援部門では、今後もこのような課外セミナーを積極的に開催していく予定です。

お問い合わせ先

学生支援センター修学支援部門

E-mail : concierge.info@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2760

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