東工大ニュース
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1月7日、公益社団法人日本化学会が、2019年度各賞(日本化学会賞、学術賞、進歩賞、女性化学者奨励賞、化学技術賞、技術進歩賞、化学教育賞、化学教育有功賞、化学技術有功賞)受賞者を発表しました。
東京工業大学からは、物質理工学院 応用化学系の田中克典教授が、第37回学術賞を受賞しました。
同学会によると、学術賞は「化学の基礎または応用の各分野において先導的・開拓的な研究業績をあげた者」を表彰する賞です。
授賞式は、2020年3月23日(月)に行われます。
受賞テーマ
生体分子の化学修飾法による機能解明と治療への応用
受賞理由
生体分子のアミノ基を利用した効率的な化学標識・複合化法を実現し、分子イメージングや治療戦略を改革する独創的研究を展開した。さらに、タンパク質に複数種の糖鎖を均一に複合化させて、標的の細胞上で「パターン認識」を効果的に発揮させることにより、がん細胞を自在にターゲティングするとともに、その細胞内で触媒的に抗がん活性分子を合成して治療することを可能とした。これら「低毒性・高効率な万能標識法」、「糖鎖パターン認識」、ならびに「生体内合成化学治療法」の一連の成果は国際的にも高く評価されており、日本化学会学術賞に値するものと認められた。
今回の受賞について田中克典教授は次のようにコメントしています。
今回、日本化学会学術賞をいただき大変光栄に存じます。10年前には無駄だと言われ、不可能と言われてきた動物体内での天然物合成や創薬研究がやっと可能となってきました。これまで黙って見守ってくださり、ご指導くださった先生方やクレイジーなアイデアに付き合って実現してくれた共同研究者の皆さまに心からお礼申し上げます。ただ、これで研究は終わりではなく、私は医療診断の現場で使っていただいて初めて意味のある研究になると考えています。私達の一部の研究は国内外の診断法として使用され始めています。東京工業大学物質理工学院応用化学系では現場の治療にも展開して、社会に役立つ有機合成化学を実現したいと決意しております。