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東工大・チュラロンコン大学合同の2019年度異文化課題解決型学習

第5回のテーマはAI

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2020.02.10

タイのチュラロンコン大学から計18名の学生と教員が1月8日から17日までの10日間、東京工業大学を訪問し、東工大グローバル理工人育成コースの学生とともに「AI」をテーマに、サイトビジットと合同プレゼンテーションを行いました。

グローバル理工人育成コースでは、東工大とチュラロンコン大学の合同で、異文化課題解決型学習 GATI(Global Awareness for Technology Implementation in the Solving of Social Issues)プログラムを、毎年実施しています。2019年度は第5回目(GATI 5)となります。同コースの東工大生が超短期海外派遣プログラムにより8月末にタイ・バンコクを訪問、第3・第4クォーターに両大学をポリコムシステムで繋いだ遠隔授業を行い、その後、1月にチュラロンコン大生が来日してサイトビジット及び最終発表と、約半年にわたって行われました。

2019年度のテーマは「AI」

GATIでは、両大学合同のグループを作り、その年度のテーマに関連するトピックを各グループで決定し、グループワークを行います。2019年度のテーマは「AI」です。東工大から9名、チュラロンコン大から18名の学生達が参加し、6グループに分かれて活動しました。8月末に東工大生がタイに滞在した期間に、AIについて専門家による講義を聞き、AIを活用している企業を訪問しました。6つのグループは、「自動運転車」「AIを活用した農業」「個人情報への意識」「AI活用による失職」「自律型兵器」「災害後の支援」のトピックをそれぞれ取り上げることを決定しました。東工大生が日本に帰国した後は、週1回の遠隔授業に加え、授業時間以外にグループごとで調査・共同研究を重ね、最終発表で提案するプレゼンテーションの準備を進めました。

遠隔学習の様子(東工大にて)
遠隔学習の様子(東工大にて)

スクリーンに映るチュラロンコン大生
スクリーンに映るチュラロンコン大生

1月にチュラロンコン大生が来日し、東京工業大学 工学院 機械系の葭田貴子准教授が、AIテクノロジーにおける倫理面での課題について講義しました。葭田准教授は人工知能を有するロボットが起こした事故に対して、誰が責任を負うべきか、ユーザーなのか、メーカーなのか、それともロボットなのか、といった責任の所在について、ディスカッション形式で学生からの意見を聞き取りながら、講義を進めました。学生達の関心はこれまで最新の技術に対して向かっていましたが、想像を超えたAIの発達により生じるELSI(倫理的・法的・社会的な課題)について新たな視点を与えられました。将来的に世界の技術革新に携わることになる両大学の学生にとって、有意義な時間となったようです。

人工知能を有するロボットが起こした事故を想定したビデオを観る学生
人工知能を有するロボットが起こした事故を
想定したビデオを観る学生

葭田貴子准教授(1列目左)と学生たち
葭田貴子准教授(1列目左)と学生たち

NEC サイバーダイン 企業訪問

来日したチュラロンコン大生と東工大生は、AI分野での世界のトップ企業の一つであるNECouter(東京都港区)を訪問し、NEC AI・アナリティクス事業部シニアマネージャーの秋元一郎氏・同担当の茂刈春華氏より「NECのAI事業への取組」について、NECクロスインダストリー事業開発本部主任の片岡宏輔氏より「データ流通」、長谷川明彦氏より「自動運転」について説明を受けました。その後、学生が進めているグループごとのトピックを発表し、アドバイスや意見を伺いました。さらに、NEC Future Creation Hubouterを英語で案内され、AIを使用した日本の最先端技術について学びを深めました。

NECでのトピック発表
NECでのトピック発表

NEC Future Creation Hubを見学する学生たち
NEC Future Creation Hubを見学する学生たち

最終日には、大型バスで茨城県つくば市へ行きました。まず産業技術総合研究所のショールーム「サイエンス・スクエアつくば」を訪問しました。最新の日本の科学技術の研究展示について、英語で詳細な解説があり、学生たちは熱心に聞き入っていました。

その後、同市内のCYBERDYNE(サイバーダイン)株式会社本社を訪問しました。同社のCEO(最高経営責任者)であり、筑波大学大学院の教授でもある山海嘉之氏から、世界各国の医療関連機関などで導入されている装着型サイボーグHAL®(Hybrid Assistive Limb®)製品の開発過程や、医療分野へのAIの適用で未来を変える構想など、貴重な講義を聞きました。穏やかで明快でユニークな山海教授の語り口に、両大学の一同はすっかり魅了されてしまいました。

サイエンス・スクエアつくばで解説を聞く学生たち
サイエンス・スクエアつくばで解説を聞く学生たち

チュラロンコン大・プロードプラン教授と山海教授
チュラロンコン大・プロードプラン教授と山海教授

腕タイプのHAL®の体験をするタイの学生
腕タイプのHAL®の体験をするタイの学生

最後にCYBERDYNEスタジオで、HAL®やCYBERDYNE製品について紹介するツアーに参加しました。装着型サイボーグの展示には、参加者全員が胸を躍らせました。人が体を動かそうとすると、運動意思は、脳から神経を通じて筋肉に信号が伝わり、その際、微弱な生体電位信号が体表に漏れ出してきます。HAL®は、装着者の生体電位信号を皮膚に貼付したセンサーで検出し、意思に従った動作をサポートするので、装着者は体を動かす意思をもつことによってHAL®を動かすことができます。参加者全員が、腕タイプのモデルを操作して感覚を体験することができ、味わったことのない感覚に驚きの声を上げていました。

グループの最終発表

1月16日には東工大大岡山キャンパスレクチャーシアターで最終発表を行い、6グループが遠隔ワーク及びタイ・日本滞在中に進めてきたグループワークの成果を発表しました。

「農業」グループの発表の様子
「農業」グループの発表の様子

「データプライバシー」グループの発表
「データプライバシー」グループの発表

各グループともタイと日本の文化による意識の違いをふまえ、Webでのアンケート調査や、自ら開発したアプリを提案するなど、それぞれが課題に対する取り組みを英語で発表しました。

発表終了後には、東工大グローバル人材育成推進支援室長の須佐匡裕教授が双方の学生代表に修了証を授与しました。

学生たちは半年近く密接に交流し文化の違いを意識しながらも、共同で共通の課題に取り組んできました。2019年度も英語でのコミュニケーション力向上にとどまらず、異文化を理解し、友情を育みながら自分の強みをアピールしつつ同じ目的に邁進する、という実践的な意味でのグローバルな能力を大きく向上させることができました。

グローバル人材育成推進支援室長 須佐匡裕教授から修了証を授与される本学とチュラロンコン大学の学生代表
グローバル人材育成推進支援室長 須佐匡裕教授から
修了証を授与される本学とチュラロンコン大学の学生代表

すべてのプログラムを終えて集合写真(担当教員:国際教育推進機構 村上理映特任准教授=前列左から2番目)
すべてのプログラムを終えて集合写真
(担当教員:国際教育推進機構
村上理映特任准教授=前列左から2番目)

お問い合わせ先

グローバル人材育成推進支援室

E-mail : ghrd.info@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3520

2月12日10:00 本文中に誤りがあったため、修正しました。

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