東工大ニュース
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東京工業大学 情報理工学院 数理・計算科学系の梅原雅顕教授と理学院 数学系の山田光太郎教授が一般社団法人日本数学会の2020年度日本数学会賞秋季賞を共同で受賞しました。
受賞対象となった業績は以下の通りです。
業績題目
特異点をもつ曲面およびローレンツ・ミンコフスキー空間内の曲面の微分幾何学
(英訳:Differential geometry of surfaces with singularities and surfaces in Lorentz-Minkowski space)
日本数学会賞秋季賞は、日本数学会会員で優れた研究を行った数学者またはグループに年齢の制限なく毎年贈られる数学の学術賞であり、日本数学会において最も権威を持つ賞の一つです。
東工大からは2011年に二木昭人教授(受賞当時。現在は名誉教授)、2016年に森田茂之名誉教授が受賞しています。
授賞式と受賞講演は例年、日本数学会の秋季総合分科会で行われますが、2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響からオンラインで9月23日に行われ、日本数学会会員限定のウェブサイトで配信されました。
受賞した梅原雅顕教授と山田光太郎教授の業績の紹介は、雑誌「数学」で行われます。
専門は微分幾何学ですが、特に、ガウス曲率一定曲面あるいは平均曲率一定曲面と、その高次元化について研究しております。曲面は目に見える対象ですので一見扱いやすく見えますが、実はとても奥が深く、研究テーマに窮することはありません。例えば極小曲面(平均曲率が零の曲面)は古くから針金に張る石鹸膜の作る曲面として知られ、関数論などと深く結びついております。なかでも特に、そこに生ずる特異点に着目すると面白い問題が数多く生じてくるのです。さらに、特殊相対性理論の舞台であるローレンツ・ミンコフスキー時空に目を向けると、平均曲率一定曲面には特異点が実に頻繁に現れます。そのような曲面がある特別に退化した点をもつと、それは、1つの光の軌道を補足してしまう、という形の定理を山田さんとの共同研究で証明し、数学的に面白い応用を与えたことが、評価された一つの成果だと思っております。
長年共同研究をさせていただいている梅原さんとの仕事を、このような形で評価されたことを大変うれしく思います。実は1995年に、梅原さんと共同で「日本数学会幾何学賞」をいただいたのですが、その当時、国内における数学の共同研究はそれほど盛んではありませんでした。
翻っていまの数学研究を眺めますと、さまざまなグループが共同研究により豊かな成果を挙げており、研究の幅もますます広がっているようで、隔世の感があります。
ありがたいことに、私達も数多くの皆さんとの共同で研究を進めてくることができました。しかし、まだやるべきことがたくさんあるようです。今後ともよろしくお願い申し上げます。