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齋藤優太さんが第3回日本オープンイノベーション大賞「内閣総理大臣賞」を受賞

人工知能によるアルゴリズムの評価技術を開発、無償公開

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公開日:2021.04.06

授賞会場の齋藤さん
授賞会場の齋藤さん

東京工業大学 工学院 経営工学系の齋藤優太さん(学士課程4年、中田和秀研究室)が、第3回日本オープンイノベーション大賞・内閣総理大臣賞を受賞しました。2月25日に虎ノ門ヒルズ(東京都港区)で開催された授賞式で、賞状と記念品が贈られました。

受賞したプロジェクト「社会的意思決定アルゴリズムのオープンソース開発&実装基盤」は、齋藤さんが2020年に米国イェール大学の成田悠輔助教授らと起業した半熟仮想株式会社と、株式会社ZOZOとの産学連携プロジェクトです。齋藤さんと成田助教授ら計4人が受賞しました。齋藤さんは半熟仮想の共同創業者科学統括です。

日本オープンイノベーション大賞

日本オープンイノベーション大賞を主催する内閣府のサイトによると、同賞はオープンイノベーションを推進するために、今後のロールモデルとして期待される先導性や独創性の高い取り組みを称えるもので、2019年から実施しています。オープンイノベーションの取り組みで、模範となるようなもの、社会インパクトの大きいもの、持続可能性のあるものについて、9省庁の大臣・長官賞、経済団体、学術団体の会長賞などの表彰を行い、最も優れたものを内閣総理大臣賞として表彰します。

AIアルゴリズム

あらゆる産業にAIが導入されている現在、AIアルゴリズムを適切に評価することが求められます。従来の技術による評価は、ある程度の規模でアルゴリズムを実際に運用する必要がありました。齋藤さんらは、機械学習や因果推論などの技術を組み合わせることにより、実地検証に頼らずこれまで自然に生成されたデータのみで意思決定アルゴリズムを評価できる技術を開発、ZOZOが運営するファッションサイト「ZOZOTOWN」(ゾゾタウン)にてその有効性を検証しました。

この技術により、ファッション推薦アルゴリズムの性能(クリック率)を従来のアルゴリズムより40%以上改善するとともに、アルゴリズムの継続改善をすすめていくための工数も30%削減しました。用いられているデータとソフトウェア開発基盤は公開されており、世界中の実務家や研究者が利用できます。

(1)若手によるグローバルな産学連携活動の成果であること
(2)卓越した技術の社会実装事例であり、今後も様々な産業での活用が期待できること
(3)ソフトウェア基盤やデータの公開によりオープンイノベーションの推進に貢献していること
などが評価され、内閣総理大臣賞を受賞しました。

内閣府は日本オープンイノベーション大賞のサイトで「若手研究者による意欲的な取組。昨今の人工知能研究においては米中の少数の大企業によるデータと技術を占有しているなか、データ及びソフトウェア開発基盤を世界中の実務家や研究者に公開。人工知能技術の公共化と民主化という社会的ニーズに応えている」と評価しています。

齋藤優太さんのコメント

この度は、チームメンバーと協力して1年以上前から継続して取り組んできた研究成果が「第3回 日本オープンイノベーション大賞 内閣総理大臣賞」に選出され、大変嬉しくまた光栄に思います。受賞に繋がった研究プロジェクトに取り組むにあたっては、大学の授業や研究活動を通じて得た基礎知識、また有志団体での活動によって得た人との繋がりが大きな役割を果たしました。ちょうど学士課程を卒業する節目のタイミングで、大学生活で行ってきた活動や研究を総合的に評価していただく機会に恵まれ、自信を持って先のステップに進めそうです。今回我々のチームが開発・公開した技術やデータ、ソフトウェアは汎用的であり、様々な領域に応用可能です。今回のプロジェクトでは、通販サイトにおけるファッションアイテム推薦アルゴリズムの安全な運用に応用しました。今後は、医療や教育などの公共性が高い領域への技術応用にも取り組んでいきたいと思っています。さらに、国際的な学会などでも積極的に成果を発表して海外での評価や認知を高めたり、関連技術の基礎研究にさらに邁進する所存です。

内閣総理大臣賞を受賞した齋藤さん(右から2人目)ら受賞者

内閣総理大臣賞を受賞した齋藤さん(右から2人目)ら受賞者

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