東工大ニュース
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東京工業大学 科学技術創成研究院 全固体電池研究ユニットの菅野了次教授が、電気化学会の2021年度学会賞(武井賞)を受賞しました。受賞テーマは「新しい電気化学材料の創製と蓄電デバイス開発」です。表彰式は、3月22日から24日までオンラインで開催された電気化学会第88回大会で行われました。菅野教授は3月23日、同大会で受賞講演を行い、次世代の蓄電デバイスについて話しました。
電気化学会によると、電気化学会賞(武井賞)は、電気化学および工業物理化学の進歩・発展に寄与する優れた研究を行い、その業績を電気化学会会誌ならびに関連学協会誌に発表した者が対象となります。
このたび、電気化学会賞(武井賞)を受賞することになりました。受賞対象となった物質開発から電池開発に至る研究成果は、ひとえに、一緒に研究を行ってきた非常に優秀な共同研究者・技術者の方々、さらに苦労と発見の喜びを共にしてきた研究室の学生の方々の努力があってのことです。この場を借りて厚く御礼申し上げます。私の研究テーマは、蓄電池そのものを固体にするというものです。蓄電池が発明されてからほぼ200年がたちましたが、電池を構成する電解質には液体を使用するのが常識でした。幸いにも物質探索の過程で、固体であってもイオンが非常に速く動き回る物質を見いだすことができ、この物質を電解質に用いると蓄電池そのものの特性が向上しました。この発見を契機に、実用化に向けたデバイス開発が猛烈な勢いで進展していることは、材料研究に携わる基礎研究者として嬉しい限りです。
電池を固体にするという、無謀にも見える研究に取り組むことができたのは、この夢のような研究課題を1960年代に設定した諸先輩方の先見の明によるものです。この受賞のテーマとなった技術が、社会に大きく貢献するまでに育つには、さらなる技術開発の進展が必要です。そのための一層の努力をする所存です。