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ノーベル化学賞受賞者 白川英樹先生の「中高生のための東工大公開講座」を開催

第5回Gateway to Science「プラスチックに電気が通った日 ~ノーベル賞の発見はいかにして生まれたのか~」

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公開日:2022.02.28

東京工業大学国際フロンティア理工学教育プログラムは、1月22日に第5回「中高生のための東工大公開講座Gateway to Science プラスチックに電気が通った日」を開催しました。

リモートで講義される白川英樹先生
リモートで講義される白川英樹先生

講師は、2000年に「導電性高分子の発見と発展」でノーベル化学賞を受賞した、本学卒業生でもある筑波大学名誉教授の白川英樹先生です。昨年に続き新型コロナウィルスの影響のため、オンラインの講座となりました。当日、白川先生はリモートで講義し、大岡山キャンパスのレクチャーシアターでは白川先生の指導により実験をし、講義と実験の映像を同時に配信しました。あらかじめ送られた導電性高分子のポリピロールのフィルムと実験キット「トオル君」を使い、参加者は家で実験をすることができました。

益学長のあいさつ
益学長のあいさつ

講座は工学院 機械系の齊藤卓志准教授の司会のもとに始まりました。益一哉学長があいさつをし、この講座の意義と理工科系大学としての東工大が社会に対して果たす役割について話しました。また、学生時代の白川先生との共同実験について懐かしい話として触れました。

実験の様子
実験の様子

白川先生の講演は、ノーベル賞の対象になった導電性高分子としてのポリアセチレンの発見の経緯に触れるとともに、その背景にある化学研究について解説しました。その実験としては、導電性高分子のポリピロールをレクチャーシアターの化学実験設備を使って実際に作成しました。実験材料の紹介から始まり、溶媒中への材料の溶解、基材となるフィルム上への塗布工程を経て、最終的にポリピロールの薄膜が合成されるまでを実演し、各工程を白川先生が解説しました。得られたポリピロールにトオル君を用いて電気が通ることが確認できた時、オンライン参加者からも驚きと喜びの書き込みがたくさん寄せられました。追加の実験として水の通電実験を行った後、参加者が家庭で行った通電実験を披露しました。2人の学生が観葉植物やマーカーインクを対象としたトオル君による実験を紹介し、そのユニークさに白川先生も感心していました。

基材だけでは光らないトオル君
基材だけでは光らないトオル君

ピロールの重合により作成したポリピロールにより光るトオル君
ピロールの重合により作成したポリピロールにより光るトオル君

超純水では光らず、塩を混ぜたら光ったトオル君
超純水では光らず、塩を混ぜたら光ったトオル君

次に齊藤准教授の司会により、それまで寄せられていた質問に白川先生が答えるコーナーが設けられました。回答を通して、白川先生が科学研究に興味を持ったきっかけや、研究に対して真摯な姿勢で向き合う先生の言葉に、中高生も熱心に聞き入っていました。

配布したトオル君キット
配布したトオル君キット

最後に白川先生があいさつをし、その中で改めて科学の大切さと研究者になることの素晴らしさを自身の経験を踏まえて伝えました。今回の講演会は、中高生を中心とした小学生から社会人までの幅広い年齢層、また参加者の居住地が北海道から沖縄に及び、総勢900人以上が参加した全国規模の講座となりました。

お問い合わせ先

ものつくり教育研究支援センター 国際フロンティア

E-mail : kokusais@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3190

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