東工大ニュース
東工大ニュース
東京工業大学の香川利春名誉教授が令和4年度「産業標準化事業表彰」の経済産業大臣表彰を受賞しました。表彰式は10月24日に都市センターホテル(東京都千代田区)で行われました。
産業標準化推進活動に優れた功績を表彰する産業標準化事業表彰は、毎年10月の「産業標準化推進月間」に経済産業省が実施しています。受賞者の功績に応じて、内閣総理大臣表彰、経済産業大臣表彰および産業技術環境局長表彰が行われます。
香川名誉教授に授与された経済産業大臣表彰は、標準の策定や適合性評価活動(製品やサービスが標準に適合していることを評価する活動)等、産業標準化に顕著な功績があった方や組織に対する表彰です。20名、4組織が表彰されました。
1970年代に入り、空気圧機器は半導体産業などにおいて必須要素として小型化と動作の高速化が進んでいる。空気圧技術は各種産業界で利用されている。香川氏の技術はこの空気圧機器とシステムに関するもので空気圧機器の産業標準化に大きな影響を与えている。特にJIS B 8390-2(空気圧-圧縮性流体用機器の流量特性試験方法)では空気の状態変化を巧妙に抑えて特性を計測する等温化圧力容器技術を実用化しISO 6358(空気圧-圧縮性流体用機器の流量特性試験方法)に制定後JIS B 8390に制定された。同氏が委員長を務めたJIS原案作成委員会での規格は70件以上あり、日本の標準化事業への貢献は大。
令和4年度「産業標準化事業表彰」の経済産業大臣表彰を図らずも頂戴しました。東京工業大学に40年間奉職しましたが、正に出会いと幸運のおかげです。
東京工業大学工学部制御工学科を1974年に卒業し、北辰電機製作所(現在の横河電機株式会社)技術部に所属していたところ、卒業した研究室からの依頼で大学に戻ることになりました。
大学での研究では圧縮性流体の計測制御のテーマの下で、日本の高度成長に伴って自動化機器である電磁弁の特性計測などを行いました。空気は圧縮性流体であるために体積変化に伴って大きく温度変化が発生する、その変化を抑制する等温化圧力容器を考案して実験の手間を大幅に軽減しました。この技術をISO、JIS化して多くの原案作成委員会を切り盛りし、国際標準とすることができたわけです。JIS委員会では約70の委員会の主査を行ったことを評価の対象としていただきました。また1983年に立案された「留学生10万人計画」で全国の大学に留学生担当講師のポストが割り振られ、東工大の講師として留学生の宿舎に関する仕事を主に担当しました。20年の大岡山、20年のすずかけ台勤務を終えて、空気圧を応用するボランティア会社の運営を行っているのは正に幸運というしかないと言えます。