東工大ニュース
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東京工業大学オープンイノベーション機構(以下、OI機構)と研究・産学連携本部イノベーションデザイン機構(以下、Id機構)は、11月10日と11日に「Tokyo Tech OPen innovation(TTOP)2022」をオンラインにて開催しました。
TTOPは、次世代型の産学連携プラットフォームの在り方について考える、東工大最大級の産学連携イベントです。
2022年度のテーマは「エコシステム(Ecosystem)」とし、延べ700人を超える参加者が2日間のライブ配信を視聴しました。
Session1 あいさつ&特別講演&基調講演
Session2 オープンイノベーションを支える様々なエコシステム
Session3 東工大が展開する企業参加型のアクティビティの紹介
本学の渡辺治理事・副学長(研究担当)が開会のあいさつを、文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課の井上睦子課長が来賓のあいさつをした後、特別講演として本学の益一哉学長が「東工大の描く成長」を、基調講演としてJapan Innovation Networkの紺野登代表理事が「イノベーション経営のためのエコシステム思考」としてエコシステムに関する類型化、世界の潮流等について話しました。
スウェーデン大使館の科学イノベーション部のマッツ・パーソン参事官より「National Innovation Ecosystem in Sweden(スウェーデンにおけるナショナル・イノベーション・エコシステム)」、北九州市の北橋健治市長より「北九州市における産学官連携のエコシステム」、Wellspring Worldwide(ウェルスプリング ワールドワイド)のロバート・ロウCEOより「デジタルマーケティング:学術機関・企業間の共創 ベストプラクティス」、WiLパートナーの久保田雅也氏より「Web 3 - why it matters」についてご講演いただきました。
Session3では6つの講演の形で、東工大がそろえている各種企業参加型のコンソーシアムやプロジェクト等を紹介し、本学のアクティビティを訴求し、大学城下町構想を具現化するエコシステム形成に向けた企業とのコラボレーションの可能性を提示しました。
「Green Transformation from Tokyo Tech」
加藤之貴所長(科学技術創成研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所)
「『細胞デザイン拠点』が作る新しい細胞価値の創成」
村田昌之拠点長(マルチモーダル細胞解析拠点)
「地球と宇宙の研究所による産学連携の試みと意義」
関根康人所長(国際先駆研究機構 地球生命研究所)
「集積Green-niX」
若林整拠点長(集積Green-niX研究・人材育成拠点)
「Transdisciplinary innovation for enhancing ecosystem service and regional resilience」
吉村千洋教授(環境・社会理工学院 土木・環境工学系)
「オープンイノベーションのためのエコシステム」
大嶋洋一副機構長(オープンイノベーション機構)
Session4 エコシステム3.0「世界を変える、アカデミーの役割」
Session5 東工大発スタートアップセッション
東工大 研究・産学連携本部の真尾淑子特任教授をモデレーターとして、東京大学の各務茂夫教授、早稲田大学の島岡未来子教授、本学の辻本将晴イノベーショデザイン機構長をパネラーとして「GTIE※(Greater Tokyo Innovation Ecosystem)の目指す世界」をテーマとしたパネルディスカッションを行い、東京におけるスタートアップ・エコシステムの形成を目指したGTIEの活動について議論を交わしました。
その後、「エコシステムを牽引する大学城下町の姿」と題し、インタビューセッションを実施しました。参加者として、出光興産株式会社の西村公一執行役員、ユニバーサルマテリアルズインキュベータ株式会社の木場祥介代表取締役パートナー、株式会社みらい創造機構の岡田祐之代表取締役社長、本学の細野秀雄特命教授と辻本将晴機構長が一同に会し、アカデミー発技術(アンモニア合成)によるディープテックスタートアップが世界に伍する変革のトリガーになるために必要な役割等について、活発な意見交換を行いました。
GTIE(ジータイ):東京大学・東京工業大学・早稲田大学を主幹機関とした「世界を変える大学発スタートアップを育てる」プラットフォーム
株式会社Synspectiveの新井元行代表取締役CEOによる「世界を変える、メガベンチャーを目指して」と題した基調講演の後に、東工大発ベンチャー企業(12社)によるピッチイベントを行い、本学の技術、人材を活用した様々なベンチャー企業について幅広く紹介しました。
ピッチの終了後には、視聴者からの投票結果と会場の審査員による審査をもとに、以下の企業を表彰しました。
東工大発ベンチャー大賞:株式会社digzyme
審査員総評:只熊憲治氏(トヨタ自動車株式会社 先進技術開発カンパニー先進プロジェクト推進部AD-ZERO 室長)
digzymeはAIアルゴリズムを使った酵素情報の探索、抽出に強みがあり、技術面での優位性はもとより、廃プラスチック問題への対応や新素材創出など社会への応用可能性の大きさが今回の受賞の主な理由です。技術者としての強いこだわりも感じることができ、非常に頼もしく思いました。受賞を機にますます大きく飛躍されることをお祈りしています。
受賞者コメント: 渡来直生氏(株式会社digzyme 代表取締役)
この度は数あるスタートアップの中から大賞に選ばれたこと、非常に光栄です。また、我々の専門分野である「合成生物学」や「バイオインフォマティクス」という言葉はまだまだ一般に馴染んではいませんが、今回このような賞をいただけたという事実は、皆さんに興味を持っていただけたということでもあると思いますので、大変嬉しく思います。これからも一層成果を出すことで、お世話になった方々に還元していきたいと考えています。
特別賞:レフィクシア株式会社
審査員総評:川上登福氏(株式会社先端技術共創機構 代表取締役)
基板、筐体※、アンテナ、スマホアプリなど全ての開発、製造・実装を自社で行える体制は素晴らしい。IoTデバイスの現場の多様なニーズへの対応、一貫してすべてを行っているからこそ、現場に全体視点で最適なソリューションを提供することが出来、今後のデジタル時代で大きな競争力を持つものと思います。既にビジネスも自走しており、今後のさらなる飛躍を楽しみにしたいと思いますし、応援していきたいと思います。
※ 筐体(きょうたい):機器類を収める箱形の容器
受賞者コメント:高安基大氏(レフィクシア株式会社 代表取締役)
特別賞をいただきましてありがとうございます。オンラインでご視聴の皆様、審査員ならびにイベントを企画していただいた皆様へ御礼申し上げます。高精度GPS測位を簡単にできるように、今後も高精度GNSS端末のLRTKをハードからソフトウェアまで垂直統合で開発していきます。自社での設計、都内自社工場での製造にこだわって、ものづくりの技術力を高めていきます。皆様へもっと驚きと感動を届けられるように、引続き努力してまいります。
ピッチイベントにご参加いただいた東工大発ベンチャー企業(登壇順)