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電子デバイスの雑音特性を広帯域で計測可能に

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公開日:2013.06.10

要 点

  • 独自の雑音プローブ技術に新たに開発した低雑音アンプを搭載することにより、簡便な方式で、既存の機器では計測できなかった周波数帯域の雑音計測を可能にしました。
  • これにより計測可能となった周波数帯域の雑音特性から、回路設計上重要な情報を得ることができ、電子デバイスの迅速な開発と信頼性向上につながります。

概 要

国立大学法人筑波大学【学長 永田恭介】(以下「筑波大学」という)数理物質系【系長 金谷和至】大毛利健治准教授らのグループは、ディー・クルー・テクノロジーズ株式会社(本社 横浜市、代表取締役 石川明彦)、国立大学法人東京工業大学(学長 三島良直)とともに、トランジスタ(MOSFET*1)の雑音を広い周波数帯域にわたって簡便に計測する技術を開発しました。これにより、MOSFET雑音特性のより深い理解と共に、開発段階での迅速な特性のモデリングが可能となり、より信頼性の高い電子デバイスの実現が期待されます。

MOSFETに代表される電子デバイスは、微細化を行うことで性能を向上させてきましたが、それに伴い、特性の揺らぎ(雑音)の発生という問題が生じます。雑音は、回路中の電流量を変動させ回路の誤動作の原因となります。

雑音は、その要因が特徴的な緩和時間を持つため、周波数依存性で計測されます。従来の測定機器では、数百kHz 以下の低周波数帯域と1GHz 付近以上の高周波数帯域での雑音計測は可能でしたが、これらの中間の周波数帯域については対応する計測機器がありませんでした。しかしながら、その帯域には、集積回路の設計に重要な幾つかの現象が現れることが知られています。

本研究では、独自に開発した雑音プローブに、雑音を増幅するための専用IC(集積回路)を搭載しました。被測定素子と増幅器の距離を短くすることにより測定帯域を拡張し、従来、計測が困難であった100kHz~800MHzの広い周波数帯の雑音特性の計測ができるようになりました。

本研究成果は、京都で開催されるVLSI Symposia on Technology and Circuitsにおいて2013年6月12日16時35分(日本時間)に発表されます。

詳細はこちら⇒ プレスリリースPDFファイル

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