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「グローバル時代」の外国語教育とは

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2015.03.12

リベラルアーツが動き出す シリーズ講演会 第2回 開催報告

「東工大発、世界を見据えたリベラルアーツとはなにか。」多彩なゲストを迎え、さまざまな視点から考えていく全7回の講演会シリーズです。東工大は現在教育改革を進めており、2016年4月から新しい教育がはじまります。この改革の取り組みのなかで、東工大の教養、語学、健康教育などを司る「リベラルアーツ研究教育院」が同じく2016年4月に発足します。この講演会シリーズは同研究教育院の発足に向け、準備を進めている同研究教育院ワーキンググループが、スーパーグローバル創成支援事業の支援を受け、実施しています。

この講演会は東工大の大学院生、教職員を対象としていますが、東工大のリベラルアーツへの取り組みの一端を各講演会の様子を通じてご紹介します。

第2回
日時
2月24日(火)15:00~18:00
場所
西9号館ディジタル多目的ホール
タイトル
「グローバル時代」の外国語教育
講師&パネラー
斎藤兆史(英語、東京大学教授)
堀茂樹(フランス語、慶應義塾大学教授)
増本浩子(ドイツ語、神戸大学教授)

外国語教育に造詣の深い斎藤兆史教授、堀茂樹教授、増本浩子教授の3氏を講師に迎え、外国語研究教育センター長の山崎太郎教授の司会のもと、講師陣による報告とディスカッションが行われました。

語学教育の立場からグローバル時代の外国語教育についてお話いただきました

語学教育の立場からグローバル時代の外国語教育について
お話いただきました

まず斎藤・堀両氏の報告では、今日「グローバル化」の掛け声のもと、母語と英語さえできればこと足りるとする、貧しい「バイリンガリズム」が教育に弥漫しつつあることへの懸念が表明されました。とりわけ印象に残ったのは、「各大学で『英語だけで卒業できる』コースの設置が進んでいるが、それは(意義はあるにせよ)自慢すべきものではない」という堀氏の指摘です。大学教育が、目指すべきは「英語だけ」ではなく、その先、つまり学生・留学生が希望すれば多言語・多文化を学べる機会を広く提供することであり、そこに大学が本来誇るべき豊かさ、真のグローバル化があるという主張は、説得力あるものでした。

両氏の主張の背後にあるのは、外国語とは“他者の母語”に他ならず、それを学ぶことは文化的な驚きの経験だ、という古くて新しい認識です。自らの殻を破って他者と出会うスリリングな体験こそ、本当の意味での教養に必要なもので、文明にとっても不可欠だということを両氏は重ねて強調しました。

一方、増本氏は、海外への研究者派遣事業に自身が携わった経験をもとに、言語と力の問題、国際会議で何語を用いるかは参加者の力関係に大きく影響する、という事例を挙げ、学問的議論のできる英語力の必要性を述べました。一見、それは先の二氏の主張と対立するようですが、実はそうではなく、ごく単純化すれば、「実学的な、ツールとしての外国語習得の支援」と「異文化・他者との出会いとしての、教養としての外国語教育」とは二者択一ではなく、その両輪が大学教育に必要だということは、3氏から異口同音に確認することができました。

ディスカッションは、外国語担当教員の役割、多言語国家スイスの言語教育の現状、訳読という教授法の意義など、多岐に渡りました。また「他者との出会いとしての外国語教育」という見方に対し、聴衆からは「『他者との出会い』というが、大学教員自身はともすると“オタク的研究者”で、『他者』に開かれた姿勢をもっているといえるだろうか?」という質問が出され、会場が沸く場面もありました。

フロアからも核心をつく質問が出されました
フロアからも核心をつく質問が出されました

今回の講演会は、狭義の外国語教育のみならず、「大学とは、言語とは何か」について考える刺激と材料と得る機会となりました。このような機会を通じ、外国語教育の今日的意義を内外に向けてアピールすることの重要性を再認識するとともに、このような企画が今後も開催することされてゆくことが期待されます。

東工大教育改革

2016年4月、東工大の教育が変わります。現在推進中の教育改革の骨子と進捗をまとめた特設ページをオープンしました。

東工大教育改革

3月18日9:00 開催情報に不足があったため、追加しました。

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