東工大ニュース
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6月8日、大岡山キャンパス百年記念館にて、「JCHM第4回シンポジウム―日本人腸内環境の全容解明と産業応用プラットフォーム―」が開催されました。
JCHMは、日本ヒト共生菌叢研究協会(Japanese Consortium for Human Microbiome)の略称です。ヒトの腸内には 1,000種100兆個体の微生物が共生していると言われ、 それらの腸内細菌の乱れは多くの疾病に関わっている事が知られています。 欧米では腸内細菌解析の重要性が早くから認識され、 大型予算が割り当てられ多くの研究者が携わっていることから、 日本においても日本人腸内環境の全容解明は急務と言えます。 そこで、東京工業大学は日本人腸内環境の全容解明をテーマに掲げ、 日本人腸内微生物データベース構築による「日本人固有の腸内環境及び腸内代謝系の発見」と 「疾病マーカーの発見」を目指したプロジェクト活動を推進しています。
JCHMは、当研究に関心を持つ関係機関・団体・企業との連携によるコンソーシアムです。本学生命理工学院 生命理工学系の山田拓司准教授が代表を務めています。
4回目となる今回は、腸内環境を中心に研究とその応用、最新の成果と今後の展望について、学外の先生方に講演していただきました。学内外含め110名の研究者、協賛企業、学生が参加し会場は満席となりました。
シンポジウムに先立ち午前中には、菌叢解析パイプライン※1の実践を、ワークショップ形式で開催しました。実際のデータを用いた解析は回数を重ねるにつれ、その内容も基礎から応用編へと発展し、参加者のスキルアップに貢献しています。
またシンポジウム冒頭では、JCHM代表の山田准教授より昨年度の活動報告を行いました。本年度以降の展開として学術的な発展にとどまることなく、今後は臨床応用、産業への活用に向け邁進することを宣言しました。
その後、以下の講演が行われました。
「食由来腸内細菌代謝産物と宿主代謝機能」
東京農工大学 テニュアトラック特任准教授 木村郁夫氏
「大規模メタゲノム解析による遺伝子のデータベース KEGG MGENES / RefGene の開発」
京都大学 准教授 五斗進氏
「パプアニューギニア高地人の低タンパク適応における腸内細菌の役割」
東京大学 准教授 梅崎昌裕氏
「野生動物の比較栄養学と腸内細菌研究:域内保全と域外保全をつなぐ鎖」
京都府立大学 教授 牛田一成氏
参加者からは大変興味深い内容であったとの感想を数多くいただきました。
シンポジウム終了後は、スピードネットワーキング※2や意見交換会が行われました。参加者間の交流を深め、和やかな雰囲気のなか、閉幕しました。
JCHMは今後も定期的にシンポジウムを開催し、パートナー同士の連携を深め情報共有が出来る場を提供していきます。