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特別シンポジウム「国際エネルギー機関でのキャリア形成について」開催報告

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公開日:2017.09.19

参加者に向けて講演するIEAのバロー氏
参加者に向けて講演するIEAのバロー氏

2017年7月13日、大岡山キャンパス EEI棟にて、国際エネルギー機関(International Energy Agency、以下IEA)※1のチーフエコノミストであるラズロ・バロー氏※2による特別シンポジウムを、外務省後援のもと本学エネルギーコース※3主催で開催しました。

本シンポジウムは、エネルギーや気候変動問題に関心を持つ学生、研究者、教員にIEAの業務内容やIEAでのキャリア形成について理解を深めてもらうことを目的として行われました。

はじめにバロー氏から地球温暖化の現状や将来必要とされるエネルギー政策について講演があり、その後IEAにおけるキャリア形成などについて質疑応答を行いました。

講演の中でバロー氏は、地球温暖化による気候変動が世界中で脅威となっており、これ以上悪化させないよう、低炭素社会の実現に向けて各国がエネルギー政策を転換していく必要があると訴えました。また、低炭素社会に向けた技術開発の分野で、日本の企業は国内のみならず海外でも強いリーダーシップを発揮していると評価しました。そのようなエネルギー政策の大幅な転換のためには、政界や学術界、産業界だけでなく、一般の国民などさまざまな立場から積極的に政策意思決定の場に参加し、議論を重ねていく必要があると指摘しました。また、近年の大学では、工学、環境学、デザイン、建築学、経済学、社会科学などの分野の垣根を越えて学ぶことのできる融合系プログラムが増えてきていることを説明しました。

シンポジウムの最後には質疑応答が行われ、途上国での自然エネルギー政策やIEAにおけるキャリア形成や人材採用などに関する学生からの質問にバロー氏が回答し、参加者たちはさらに理解を深めました。

地球温暖化について説明するバロー氏
地球温暖化について説明するバロー氏

講演後、積極的に質問する参加者たち
講演後、積極的に質問する参加者たち

※1
国際エネルギー機関(IEA)・・・第一次石油危機後の1974年、キッシンジャー米国務長官(当時)の提唱を受け、OECD内の機関として発足しました。現在の加盟国は29か国、事務局所在地はパリです。
※2
ラズロ・バロー氏(Dr. Laszlo Varro)・・・2011年からIEAにて、ガス・石炭・電力課長として、電力・ガスの市場や供給の安全性、LNG市場、各国の電力・ガス市場改革やインフラ政策などの分析に携わっています。2016年から新設された経済投資室のヘッドとして、現IEA事務局長ビロル氏の後任のチーフ・エコノミストに就任しました。バロー氏はハンガリー出身で、ケンブリッジ大学、ブダペストコルヴィヌス大学にて修士号を取得。IEA以前は、ハンガリー国立銀行、石油企業MOLなどにて要職を務めています。
※3
エネルギーコース・・・エネルギーコースは、融合系コース(異なる学問領域を融合し、新たな学問領域を確立した上で教育にあたる先駆的なコースであり、複数の学院や系にまたがっている)の一つです。エネルギー分野において、物理、化学、材料、機械、電気の各専門分野を基礎とする高度な専門性を修得します。さらに、エネルギー諸問題を多元的エネルギー学理の視点から判断できる俯瞰力、自立的課題抽出・解決力、および国際的リーダーシップ力を兼ね備え、社会に貢献する高い志を持ってイノベーションを牽引できる人材を養成しています。エネルギーコースは、理学院化学系、工学院機械系、工学院電気電子系、物質理工学院材料系、物質理工学院応用科学系、環境・社会理工学院融合理工学系に置かれています。

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