東工大ニュース
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本学学生チームが、iGEM世界大会(The International Genetically Engineered Machine Competition)で、今年も金賞を受賞し、金賞制度の創設以来の11年連続受賞の世界記録を更新しました。この連続記録を持つチームは全310チーム中、東工大とフライブルグ大(ドイツ)の2校のみです。
本大会は、国際的な合成生物学の大会であり、高校生や大学生主体(高校生、学部生、大学院生に区分)のチームがBioBrick(バイオブリック)と呼ばれる規格化された遺伝子パーツを組み合わせることにより、新しい人工生命システムの設計・構築 を行い、その成果をプレゼンテーションして審査されます。今年度は11月9日~11月13日に米国ボストンで開催され、マサチューセッツ工科大学(米国)、ルプレヒト・カール大学ハイデルベルク(ドイツ)、清華大学(中国)など世界各国から310チームが参加し、10の部門に分かれて競い合いました。近年iGEMでは、デザインした生命システムの社会貢献性や製品化なども大きな評価項目になってきており、iGEM活動を通してベンチャー企業を立ち上げる海外チームなども増えてきています。
今年度の東工大チームは、生命理工学部・生命理工学院の学生11名、工学部の学生1名で構成されており、ヒト細胞と大腸菌の共培養システムの開発に取り組みました。簡単そうに思われるかもしれませんが、実験において、ヒト細胞培養環境中に細菌が混入してしまうと細菌が急激に増加し、ヒト細胞は死滅してしまいます。しかし、私たちの体内では腸内を始めとして様々な器官で細菌との共生関係が成り立っているように見えます。この共培養技術の開発は、共生関係を「つくる」という視点から解析するだけでなく、より生命らしい生命システムの構築にも貢献できると考えています。また、来年度以降はこの共培養技術を応用したデバイスの開発も計画しており、医療応用も予定しています。先述したようにiGEMでは社会貢献性の高い「もの」の開発が部門賞や特別賞獲得の必要条件になりつつあり、今年度の技術をもとに応用技術・デバイスを開発することで、来年度以降は特別賞の受賞も目指しています。
田川陽一 准教授(生命理工学院)
林宣宏 准教授(生命理工学院)
中島信孝 准教授(生命理工学院)
山村雅幸 教授(情報理工学院)
太田啓之 教授(生命理工学院)
西田暁史(情報理工学院 情報理工学系 博士後期課程 3年)
安田翔也(情報理工学院 情報理工学系 博士後期課程 3年)
グローバル人材育成推進事業
東京工業大学基金
相澤基金
蔵前工業会 本部
蔵前工業会 神奈川支部
バイオ創造設計室
理科教育振興支援
株式会社医学生物学研究所(MBL)
Integrated DNA Technologies(IDT)
コスモ・バイオ
プロメガ株式会社-株式会社リバネス
株式会社メタジェン
独立行政法人日本学生支援機構 (JASSO)
学外:Robert F. Whittier (順天堂大学 医学部 医学教育研究室 特任教授)
長谷川葉月さん(生命理工学部 生命科学科 生体機構コース 3年)
iGEMの醍醐味は「チームで目標に向けて作り上げていくこと」だと思っています。ただ、学部生だけでは難しい点が多く、指導の先生方始め、本当に多くの方に支えていただきました。実験や発表などの活動を行ったのは2、3年生で、7人という少人数ながら今年度も金賞を獲得できたのは支援してくださった方々、そして何よりチームメンバーのおかげだと思っています。後輩たちにとって、来年度も記録を途絶えさせないようにというプレッシャーはとても大きいと思います。また、東工大チームの支援体制は国内チームの中では非常に恵まれていますが、海外チームではより多くの支援を大学から受けていることや、企業から大きな支援を受けていることもあります。そんな中戦うのは簡単なことではありませんが、何より楽しんで活動してほしいと思っています。