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2017 AOTULE 学生会議 参加報告

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公開日:2018.03.22

AOTULE(アジア・オセアニア工学系トップ大学リーグ)は、アジアとオセアニアの13大学からなる連盟です。加盟する大学間の合同ワークショップや、学生・教職員の派遣交流などを通して、工学系の教育研究の質を向上させ、国際意識を養うことが目的です。

AOTULEは年に一度、加盟大学の学生が集まり研究発表を行う「学生会議」を開催しています。2017年はベトナムのハノイ工科大学で行われました。参加した東工大の学生に、会議を振り返ってもらいました。

原田真梨

物質理工学院 応用化学系 修士課程2年

昨年の11月、ハノイ工科大学 (HUST) にて開催されたAOTULE学生会議2017に参加させていただきました。充実したプログラムの中で、各国の同世代の学生との交流を通じて様々な刺激を受けることができました。ハノイ工科大学で経験した日々についてご報告します。

私は2017年11月22日~11月25日の4日間、ベトナムのハノイで過ごしました。まずは日本から約5時間半のフライトを経てハノイに降り立ちました。ベトナムに来るのは初めてでしたが、日本より暖かい気候と2時間という僅かな時差のおかげで快適に過ごすことができました。初日はムオン タン ハノイ センター ホテルにてウェルカムディナーがあり、参加学生同士で自由に会話しながら食事をしました。東工大の学生同士であっても、様々な国出身の留学生や幅広い分野の研究をしている学生と話す機会はあまりなく、知らないことがたくさんあったため、お互いに質問し合うことで理解を深めることができました。

2日目はハノイ工科大学で、2部屋の教室に分かれて学生プレゼンテーションを行いました。ここではスライドを用いて各自が大学で行っている研究内容について5分ほどで発表し、続く2分で質疑応答を行いました。各国の学生の研究分野やテーマから、それぞれの国で力を入れていたり、関心の高かったりする分野や物事の相違を感じることができました。また、たとえ全く違う分野の発表であっても参加学生は積極的に質問しており、活発な質疑応答となっていたのが印象的でした。

プレゼンテーションでの研究発表

プレゼンテーションでの研究発表

学生プレゼンテーションを終えたあとは同じ建物にてランチを食べました。前日のディナーとは少し違い、先程の研究発表で疑問に思った点について詳細に尋ねたり、各大学での研究室の様子を聞いたりして、研究についての意見や知識を交換することができました。

2日目の午後は各国の学生が混じったグループに分かれて、3日目の学生会議でのプレゼン発表に向けての議論をしました(グループディスカッション)。5つのテーマから好きなテーマを決め、そのテーマに沿った内容のプレゼン発表をすることが要求されました。私のグループでは「現代の、そして持続可能な社会のための再生可能なエネルギー」というテーマを選びました。テーマ決定の後に各自の意見を自由に出し合い、そこから議論を重ねることで「ハノイに適した再生可能エネルギーを考える」という内容でプレゼンすることに決めました。どのようなイントロや内容にするか、そのためにはどのような調査が必要か意見を出し合い、各自がインターネットを用いた調査や調査結果を用いた計算、発表スライド作成などを分担しました。各学生の興味や関心は違うものの、実際にテーマを決めて作業し始めると同じ考えや意見を持っていることが多くあり、国や文化が違っていても工学的な観点からの意見は一致することが多いということは、新たな気づきであり新鮮な体験でした。

3日目は学生会議があり、全員が同じ教室にてグループディスカッションで準備した内容を発表する場が設けられました。どのグループも工夫し考え抜かれた発表となっていました。同じテーマでも様々な視点からの内容となっていて、楽しく聴くとともに、英語が第一言語ではない学生でも堂々とした発表をしていて、自分の未熟さを実感しました。今後、このような機会があれば、より良い堂々とした発表ができるよう努力することを改めて決意しました。各グループの発表後にハノイ工科大学の先生3人からなるレフェリー投票および全参加学生による投票が行われ、レフェリー投票のグランプリおよび学生投票のグランプリが選出されました。ディナーでグランプリの2チームが表彰され、幸運なことにレフェリー投票のグランプリとして私たちのグループが選ばれ、表彰状と記念品をいただき、大変心に残る学生会議となりました。

学生会議表彰の様子

学生会議表彰の様子

3日目の午後のシティツアーおよび4日目の午前中の自由時間にはハノイでの観光を楽しむ機会もありました。3日目はハノイ工科大学の学生達に観光地や名物料理を丁寧に紹介してもらい、直にベトナムの文化に触れることができました。日本が古くからの歴史ある伝統的な文化を有しているのに対し、ベトナムはフランスや中国等の文化が入り混じっていて、何とも言えない不思議な感覚を味わいました。ハノイ工科大学の学生は、4日目の自由時間をどのように過ごすとよいか、お土産はどんなものがおすすめか等細かいことまでとても親切にアドバイスをしてくれ、彼らの優しさに触れることができました。今後、他国の学生が日本に来た際には、今回自分がベトナムの学生にしてもらったように、細かい配慮を大切にしたいと思いました。

学生会議を通して、海外の教授や学生の前で自身の研究を発表して意見交流を行うとともに幅広い分野の発表を聞くことで、研究に対する国際的な姿勢を学ぶことができました。また、学生会議の準備および発表では、出身国によって様々な視点や思いを持っているものの、工学という観点から物事を考える際には国を超えた共通の認識や考えが多くあることを学びました。さらに、ベトナムの文化に直に触れることで稀有な「日本」という国を再認識し、日本文化を大切にしていく重要性を感じました。AOTULE実行委員会の方々、引率の先生方、ハノイ工科大学の方々の支援に支えられ、大変充実した4日間を終えることができました。

お問い合わせ先

工系国際連携室

E-mail : ko.intl@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3859

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