東工大ニュース
東工大ニュース
公開日:2018.04.19
4月1日、益一哉学長が就任し、新執行部が発足しました。新執行部は世界最高の理工系総合大学の実現に向けて東工大改革の方向性を継承し、また指定国立大学法人として教育研究水準の著しい向上とイノベーション創出により、本学をさらに発展させるべく取り組んでいきます。
新体制の発足にあたり4月5日、益学長および理事・副学長4名は東工大大岡山キャンパス東工大蔵前会館で就任記者会見を実施しました。学長就任の挨拶と新執行部紹介の後、益学長が「世界最高の理工系総合大学を目指して-指定国立大学法人として-」と題して、本学の新たな教育・研究・社会連携等の取り組みについて発表しました。さらに出席した記者の質問に答え、具体的な運営方針を明らかにしました。
会見で益学長は、まず、本学が進めてきた教育、研究、ガバナンスにおける改革の概略と成果を紹介しました。そしてこの改革を基盤に、更なる飛躍を目指す指定国立大学法人構想について次のように説明しました。
今回の教育改革によって気概を持った学生が増えてきており、学生の興味・関心に最大限に応えるべく、教育内容の更なる充実を図ります。具体的には、リーダー人材を育成するための卓越した大学院の形成や産業界との共同研究の場を活用した新しい博士教育を導入します。また、学士課程のうちから博士を目指す特別プログラム「B2D(Bachelor to Doctor、バチェラー トゥー ドクター)プログラム」の構築等により、学生主体の学びを強化し、新しい社会や産業を切り拓くことができる人材を輩出していきます。
世界の大学に伍するためには、今後より一層の競争力強化、幅広い卓越性が必要です。そのために、本学の底力ともいうべき研究の強みを生かして、「新・元素戦略」「統合エネルギー科学」「ディジタル社会デバイス・システム」の3分野を重点分野と設定し、これらの分野における世界的な拠点の構築を目指します。さらに海外での産学連携や情報発信のための拠点「Tokyo Tech ANNEX(トーキョーテック アネックス)」を世界各地に順次設置するとともに、大学の根本となる基礎研究を推進するため、若手研究者が研究に専念できる「基礎研究機構」を整備します。
本学の研究成果等をもって社会に貢献するための一つの仕組みとして、学外に「Tokyo Tech Innovation(トーキョーテック イノベーション)」を設置し、戦略的な産学連携の推進とコンサルティング機能の拡充を行います。また、ベンチャーキャピタル等と連携したGAPファンドによるベンチャー支援を強化します。さらに、社会の進展に対応した新たな知の獲得を目指す社会人のための、高度リカレント教育を充実していきます。
本学の指定国立大学法人構想は、アカデミアとしての教育研究の充実のみならず、「科学技術のファシリテーター」として未来社会像をデザイン・提案していく役割を新たに付加していることが特徴です。その中核を担う組織として、「未来社会DESIGN機構」を設置します。未来社会DESIGN(デザイン)機構では、社会の専門家と連携して、豊かな未来社会像=“ちがう未来”を描き、そして実現するために求められる研究領域の創成に取り組みます。
上記の新しい取り組みを進めるため、経営力と財務基盤の強化も行います。産学連携の強化や資産の有効利用による自己収入の増加を図るとともに、学長の業務の一部を代わりに行う「総括理事・副学長」を設置しました。これにより、学長はこれまで以上に学外の業務に時間を充てることができ、組織的な産学連携の推進や同窓会との連携強化など、積極的な社会連携を展開します。そして、得られた資金を教育研究基盤に持続的に投入する好循環を構築します。
発表の最後に益学長は、「それぞれの自由な発想を尊重し、教職員・学生がそれぞれのベストなパフォーマンスを発揮できるような教育・研究環境を実現し、新しい時代を切り拓く、ワクワクするようなキャンパスをつくりたいと考えています。そして社会が必要とする課題に応え、その向こうにある社会(未来社会)にも貢献しようと考えています」と語りました。
本学はこれから新執行部体制のもと、教職員・学生がTeam東工大として広く社会と連携し、新しい価値の創造に努めていきます。
ちがう未来を、見つめていく。
役員・教職員・学生の参加によるワークショップを通じて、2030年に向けた東京工業大学のステートメント(Tokyo Tech 2030)を策定しました。