東工大について

益学長就任インタビュー

益学長就任インタビュー

2018年4月1日より学長に就任した益一哉(ます・かずや)新学長に、自身の半生、日ごろ大切にしていること、これからの東京工業大学について語ってもらいました。

情熱あふれる高専時代の恩師との出会いが、半導体の研究者になるきっかけに

なぜ益学長は、理工系の道を志すことになったのでしょうか。エピソードなどあれば教えてください。

私の専門分野は半導体ですが、小学生の頃の夢は、電気技術者か建築家でした。理科の実験教室で乾電池を分解する機会があり、その仕組みを観察するのがとても面白く、ワクワクしたことを覚えています。

「人と同じ道は歩みたくない」というあまのじゃくな性格から、中学校卒業後は早いうちから専門的な内容を学びたいと思い、高等専門学校に進み、電気工学を学びました。その高専で、当時大学を卒業したばかりの若くて情熱あふれる先生と出会いました。その先生から半導体の面白さを学んだことが、私が半導体の研究者になるきっかけとなりました。時代は、Intelが世界最初期のマイクロプロセッサ4004を開発し、江崎玲於奈先生が半導体の業績でノーベル物理学賞を受賞する等、半導体が新しい時代を切り開こうとしていた時でした。

東工大での最先端の研究、一流の研究者との出会いは人生の大きな財産に

益一哉学長

益学長はその後、東京工業大学に進学しました。学長にとって、東工大はどのような学び舎だったでしょうか。

高専卒業後、東工大の工学部電子物理工学科に編入しました。入学して感じたことは、1つのことに、とことん没頭する尖った人が多いということでした。これは東工大特有の気質であり、この気質は今でも変わっていないと感じています。

学生時代、一番印象に残っているのは、大学3年生のときに受けた「バンド理論」という半導体に関する講義の内容が全然わからなかったことです。ショックでした。その講義を担当したのが、のちに私の指導教官となる高橋清助教授(当時、現名誉教授)でした。私は絶対に理解したいと決意し、必死に勉強しました。その努力の甲斐あってか、運良く高橋先生の研究室に入れていただきました。この高橋先生との出会いが、私の人生に大きな影響を与えたと思います。中でも、高橋先生と一緒に学会発表に行き、世界最先端の研究に触れ、多くの世界最高レベルの研究者の方々と交流を重ねられたことは、一生の財産となりました。刺激的な環境の中で、学部から修士課程、博士後期課程へと進み、私は大学の研究者になりました。

研究者として、また大学教員として日ごろ考えていたこと、大切にしていたことはありますか。

大学で研究する醍醐味というのは、自分のやりたい研究を自由にできるという点にあります。私も研究者としての道を進むにあたり、そのことが決め手になりました。

一方で、特に半導体は、産業界とのつながりが強い分野であり、単に自分の興味のおもむくままに研究をしていればよいというものではありません。そのため、私も自分の研究成果が社会にどのように役立つか、貢献できるかを強く意識しながら、これまで研究を進めてきました。

座右の銘は、「思いは必ず届く」です。たとえば、研究をしていても、「この難問を自分の手で解明してやるぞ」と強く思わなければ、解明することなどできないでしょうし、「よい論文を書きたい」と強く思わなければ、多くの研究者に認めてもらえるような論文を書くことはできません。何事にも熱い思いをもって取り組む。それが大切であり、「思いは必ず届く」と今でも信じています。

また教員として多くの学生の指導にあたってきましたが、自分の教え子が自分とは異なる研究テーマを自ら見つけ出し、自分の道を進んでくれることに、実は一番のやりがいと喜びを感じます。教員が想像もできなかったようなことをやり遂げる人材を育てること、これこそが大学における教育だと思っています。

自由な発想と協調により、革新的創造を生み続ける大学を目指す

2016年4月、東工大は大きな大学改革を行い、それに伴い、私は新設された科学技術創成研究院の長に任命されました。組織の長として常に意識してきたことは、複数の研究所、研究センター、研究ユニットを有する科学技術創成研究院において、多様性を重んじながら組織をまとめていくということです。

東工大ではこれまで、研究者が各々の分野で尖った研究ができるような環境づくりを心掛けてきましたし、この自由な発想を尊ぶ文化こそが、東工大の伝統でもあります。さらに今後は、異分野融合など他の研究分野との連携もますます重要になっていきます。多様な研究が集まり融合していくことで、より大きな研究、新しい研究領域を生み出すことができるからです。

益一哉学長

これから東工大をどのように発展させたいと考えていますか。

学長就任にあたっては、東工大のあるべき姿、果たすべき役割として、「自由な発想と協調により、革新的創造を生み続ける大学」を掲げています。ここには、自律性が高く、尖った人材の才能をさらに伸ばしていくと同時に、そういった人材同士が共鳴し合うことで、さらなる高みを目指していきましょう、という願いを込めています。東工大がこれからも革新的な創造を生み続けるためには、学生、教員、職員全員が「Team東工大」として、自律しながらも協調し合うことが大切です。

東工大は2018年で創立137周年を迎えましたが、これまで日本のみならず、世界の科学技術の発展に大きく寄与してきました。この伝統と実績を絶やすことなく、今後も世界に大きな貢献を果たす大学でありたいと強く願っています。

最後に、東工大を目指している中高生や受験生にメッセージをお願いします。

高校までとは異なり大学は、自ら学び、自ら育つ場所です。我々は、そういった学生が育つように、今後も魅力的な教育・研究で活気あふれる環境づくりに尽力していきますので、ぜひ一緒に、科学技術が切り拓く明るい未来を創造していきましょう。

学長就任挨拶動画

SPECIAL TOPICS

スペシャルトピックスでは本学の教育研究の取組や人物、ニュース、イベントなど旬な話題を定期的な読み物としてピックアップしています。SPECIAL TOPICS GALLERY から過去のすべての記事をご覧いただけます。

2018年4月掲載