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第1回インペリアル・カレッジ・ロンドンとの博士後期課程学生交流プログラム (Imperial-Tokyo Tech Global Fellows Programme 2018)を実施

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公開日:2018.05.23

3月5日から3月9日にかけて、大学セミナーハウス(東京都八王子市)および東工大 大岡山キャンパスにて第1回インペリアル・カレッジ・ロンドン-東京工業大学博士後期課程学生交流プログラム(Imperial-Tokyo Tech Global Fellows Programme 2018)を実施しました。

本プログラムは、博士後期課程学生のリーダーシップ力およびコミュニケーション能力の養成、将来の共同研究に繋がる可能性を秘めた若手研究者間ネットワーク構築等を目的に、東工大と本学協定校のインペリアル・カレッジ・ロンドン(以下、インペリアル)によって共同開催された5日間の合宿型国際交流プログラムです。今回は、両校から選出された博士後期課程学生39名(東工大生19名、インペリアル生20名)および両大学の教職員が参加しました。プログラム期間中、参加学生達は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の17ゴールの1つである「貧困をなくそう(No Poverty)」に関連付けた「貧困撲滅につながるイノベーション(Innovation to Eradicate Poverty)」をテーマに、グループディスカッション、専門家による特別講義の受講、ポスター発表、フィールドトリップ等、さまざまなアクティビティーを行い、分野や国籍の垣根を超えた交流に勤しんでいました。

本プログラムの実施にあたり、教育・国際連携本部 教育推進部門に本プログラムのワーキンググループを設置し、主査の水本哲弥副学長(教育運営担当、当時)、同じく委員の猪原健弘教授、金子宏直准教授(共にリベラルアーツ研究教育院)がメンバーとして参画しました。長年インペリアルが世界のトップクラス大学と合同で行っていた学生交流プログラムを基盤に、リベラルアーツ研究教育院の博士文系教養科目「学生プロデュース科目」と「教養先端科目」の要素を大胆に取り入れて、発展させた形で実施に至りました。また5日間のプログラムには、リベラルアーツ研究教育院の小泉勇人准教授、鈴木悠太准教授、河村彩助教がコーチ役として参加しました。

集合写真

1日目

プログラムはインペリアル講師陣によるユニークなウェルカムアクティビティーで始まりました。ほぼ全員が初対面でしたが、参加者が一体感を感じられるよう工夫されたアクティビティーのおかげで、参加者は皆、程よく緊張がほぐれた様子でした。ウォームアップ後は、水本副学長(当時)から本学紹介およびプログラムテーマに関連する講話により、プログラムテーマへの導入が行われました。続いて、SDGsに関し造詣が深い環境・社会理工学院 融合理工学系の阿部直也准教授による特別講義「貧困とイノベーションの関係に関する批判的総説(Critical Review on the Relationship between Innovation and Poverty)」が行われ、学生達は世界の貧困についての多角的な視点を得ると共に、貧困とイノベーションの歴史から両者の関連性等についてより理解を深めました。

貧困問題について考えるレクチャー
貧困問題について考えるレクチャー

特別講義を行う阿部准教授
特別講義を行う阿部准教授

午後には、参加者が自身の研究内容や本プログラムで活かせる能力、趣味・特技などを事前にまとめたポスターを使い、自己紹介を兼ねたポスターセッションを行いました。その後、理工系学生ならではの方法でペアが組まれ、会場の全員に自分のパートナーを魅力的に紹介するペア紹介が行われた結果、最終日のポスター発表まで共に時間とアイデアを共有する東工大生・インペリアル生混合の4人組の10チームが決定しました。さらに、猪原教授より、「えんたくん」を使ったブレインストーミングとKJメソッドの手法や活用方法が伝授され、翌日から行われるグループディスカッションに向けた準備が整いました。

自己紹介ポスターセッション
自己紹介ポスターセッション

「えんたくん」を使ってアイデアを整理する学生
「えんたくん」を使ってアイデアを整理する学生

ペアを組んだパートナーを他己紹介
ペアを組んだパートナーを他己紹介

グループで行う竹を使ったアクティビティー
グループで行う竹を使ったアクティビティー

2日目

本プログラムの主目的の一つである、多様な学生が集う環境におけるコミュニケーション力向上とチーム力を養うアクティビティーが行われました。チーム・チャレンジと呼ばれるこのアクティビティーは、インペリアルが長年の学生交流プログラムで構築してきたグループワークスキームに則ったもので、頭脳と体を使った5種類のゲーム感覚のチーム対抗アクティビティーです。チームメンバーとの円滑なコミュニケーションやメンバーへの信頼等から生まれるチームワークが各ゲームをクリアするためには必要不可欠であり、学生たちはわかりやすく相手に伝えることの難しさを改めて感じると共に、共通のゴールに向けて互いの得意分野で互いの不得手を補い合うチームの協力体制が次第に出来上がっていく様子が見て取れました。さらに、コーチ役の教員から各グループ対して丁寧にフィードバックが与えられ、それぞれが課題や強みを認識することができました。このように結束力が十分に強まったところで、今度は金子准教授考案のQ&Aカードゲームが行われました。学生達は自ら調べた貧困に関するファクトを材料にカードを作成してプレイするうちに、おのずと貧困問題に関する知識を身に付けていきました。

メンバーで協力して複数のパズルを解く課題に挑戦
メンバーで協力して複数のパズルを解く課題に挑戦

アクティビティーをクリアして喜ぶ学生
アクティビティーをクリアして喜ぶ学生

チーム・チャレンジで勝利したグループ
チーム・チャレンジで勝利したグループ

カードゲームスタイルで貧困について学ぶ
カードゲームスタイルで貧困について学ぶ

3日目

朝一番のセクションで、猪原教授から研究倫理についての講義が行われました。最終日のポスター作成を前に、意図せず研究倫理に違反する作品を作ってしまう危険を回避するために気を付けるべきポイント等について説明があり、皆いつもに増して真剣に受講している様子でした。 

また、プログラム中盤のこの日は、日本への理解を深める企画が行われました。午前中は、八王子の地で発展してきた伝統芸能、西川古柳座八王子車人形のワークショップに参加しました。車人形とは、演者が3つの車輪がついた小さな箱の上に座って縦横無尽に舞台上を移動し、演者1人につき小学校1、2年生ほどの背丈の人形1体を操る独特のスタイルの人形劇です。ワークショップでは、車人形の歴史や日本古来の文化・風習との結びつき等について学ぶと共に、東海道中膝栗毛の一場面などを観劇したうえで、車人形の仕組みや操作の仕方を習って体験するという盛り沢山な内容でした。両手両足、頭までを同時に使って、人間に近いスムーズな動きやコミカルな表情まで表現する車人形に、参加者達はすっかり魅せられていました。

午後は、フィールドトリップを行いました。東工大生が高尾山、お台場、秋葉原等を目的地とした散策プランを計画し、インペリアル生が選択した行き先で東京を案内して過ごしました。

家元・西川古柳氏による車人形ワークショップ
家元・西川古柳氏による車人形ワークショップ

初めての車人形体験に沸く参加者達
初めての車人形体験に沸く参加者達

高尾山散策チームの登頂記念写真
高尾山散策チームの登頂記念写真

散策で体験したことをポスターに
散策で体験したことをポスターに

4日目

ゲストスピーカーに一般社団法人 コペルニク・ジャパンの天花寺宏美代表理事を招き、講演が行われました。コペルニク・ジャパンは途上国の人々の生活向上を目指し、最も支援が届きにくい地域に、非営利とビジネスの両方の手法を組み合わせて革新的なテクノロジーを届ける活動をしている団体です。持続可能な支援とするために、いかにしてビジネスモデルを作り上げたか、さまざまな事例を織り交ぜた紹介があり、貧困問題に対する科学技術とビジネスの関わりについて参加者がイメージしやすいプレゼンテーションでした。学生からの反響が非常に大きく、質疑応答は当初予定していた時間を超えて、休憩時間まで続きました。

その後、チームごとに分かれて貧困問題に対してどのような解決策が考えられるか、ブレインストーミングやディスカッションを入念に行い、必要に応じてコーチ役の教員にアドバイスを仰ぎながら、翌日のポスター作成に向けてドラフト作りに取り掛かりました。

コペルニク・ジャパン天花寺代表理事による臨場感溢れる特別講演

コペルニク・ジャパン天花寺代表理事による臨場感溢れる特別講演

コペルニク・ジャパン天花寺代表理事による臨場感溢れる特別講演

サンプルポスターの問題点を洗い出す
サンプルポスターの問題点を洗い出す

ポスターのドラフト作りの様子
ポスターのドラフト作りの様子

5日目

最終日は、大岡山キャンパスの石川台7号館(ELSI-1)にて朝からポスター作成が活発に行われ、会場は学生の熱気に溢れていました。短時間でこの5日間の集大成となるポスターをグループ内で協力して完成させるため、誰もが真剣です。あっという間に時間が過ぎ、お昼前には5チームずつに分かれてポスター発表の予選会が行われました。各チームの発表後には必ず質問が飛び交い、予選会から接戦を極めました。最終発表会には、岡田清理事・副学長(企画・人事・広報担当、当時)のほか、水本副学長、関口秀俊副学長(国際連携担当)、上田紀行リベラルアーツ研究教育院長が参加し、決勝に進んだ上位4チームがアイデア溢れるポスターと共に渾身のプレゼンテーションを披露しました。岡田理事・副学長、水本副学長、インペリアルのポール・セルドン講師の3名による判定によってナンバーワンが決まり、優勝チームにはトロフィーと両校の大学Tシャツが贈られました。その後、石川台8号館(ELSI-2)にて懇親会が行われ、晴れやかな顔で1週間を振り返りつつ、苦楽を共にした仲間と今後も連絡を取り合うことを約束しながら別れを惜しみました。

グループごとに最終ポスターを作成

グループごとに最終ポスターを作成

グループごとに最終ポスターを作成

最終ポスター発表
最終ポスター発表

優勝チームの表彰
優勝チームの表彰

なお、終了後のアンケートでは、参加者の約95%が「分野横断的なグループの中で協働する能力が身についた」と回答し、また、約97%の参加者から「他の学生にこのプログラムを勧めたい」との回答を得ました。教育的効果の高い有意義なプログラムとなったことから、早くも次回開催を望む声が上がりました。

えんたくんとは、円型の段ボールでできた1枚の板であり、それを参加者の膝に乗せながら自由にアイデアを書き込む対話促進ツール。
KJメソッドとは、本学の川喜田二郎名誉教授(1920年 - 2009年、文化人類学)が考案したデータ整理の手法を指す。カードにデータやアイデアを書き、グルーピングしていきながら、情報や新たな発想をまとめていくもの。

東工大基金

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お問い合わせ先

学務部 留学生交流課 交流推進第1グループ

E-mail : intl.sgu@jim.titech.ac.jp

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