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次の時代を担う高校生が、“ありたい未来の形”を真摯に検討

科学イベント「サイエンスアゴラ2019」で、高校生を中心としたDLabのワークショップを開催

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公開日:2020.01.30

2018年9月に発足した東京工業大学未来社会DESIGN機構(以下、DLab)は、「人々が望む未来社会とは何か」を、社会と一緒になって考え、デザインしていくための組織です。その大きな特徴は、既存の技術のあり方や“こうあるべき”という思い込みにとらわれず、広く社会と語り合いながら、“こうありたい”という豊かな未来社会像をともに描いていくこと。今回DLabは、2019年11月16日にテレコムセンタービルで行われた科学イベント「サイエンスアゴラ2019」に出展し、高校生が中心となって未来社会を考えるワークショップを実施しました。

よりよい未来づくりへ向けて議論が弾んだ当日の様子をレポートします。

ワークショップ全景

ワークショップ全景

高校生が「未来シナリオ」を実現する仕組みを考える

DLabでは学内外の有識者、企業の方、学生や一般の方など、さまざまな方を対象としたイベントやワークショップを行いながら、未来社会のあり方を検討してきました。「サイエンスアゴラ2019」で実施されたワークショップの主役となったのは、この未来の社会の担い手となっていく高校生です。

サイエンスアゴラは、毎年秋に国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の主催で行われるサイエンスコミュニケーションイベントです。東京臨海副都心エリアにある複数の会場で、各地の大学、研究機関や企業、さらに高校生・中学生の科学クラブなどが研究発表や製品紹介などを行い、多数の来場者が訪れます。今回は11月15日から3日間にわたって開催されました。

今回のワークショップ「こんな未来社会ってどう思う?」には、10名の高校生と東工大大学院生3名、東工大卒業生1名が参加。これまでのDLabの議論をもとにまとめた20点を超える「未来シナリオ」から、テーマとして2点を取り上げ、そのシナリオを実現する技術や仕組みについて考えていきました。

自由な発想でディスカッションを進める

今回のワークショップの議論テーマに選ばれた「未来シナリオ」は、「食料不足が解消される」「失敗や不確実なことをあえて生み出して活用するようになる」の二つです。まず東工大物質理工学院の磯部敏宏准教授が、二つのテーマの内容について、肥料の原料となるアンモニア合成技術の発見が食料不足の緩和に貢献した例なども交えて説明した後、高校生がそれぞれ考えてみたいテーマを選んで4 つのチームを組み、ディスカッションに入りました。

「失敗・不確実なことの活用」を実現する仕組みを検討する1チームでは、開発失敗作が大ヒット商品に生まれ変わった「ポスト・イット」や、実験用具の片付け忘れが大きな発見につながった高校生の例など、失敗が思わぬ成功につながった例を考えてみることから話し合いが始まりました。

「食料不足の解消」というシナリオの実現方法を検討する3チームでは、「食料が足りない地域に食べ物を送るだけでは永続的な問題解決にはつながらない」「世界レベルでの問題解決を考えるのなら、食べ物に関する宗教上の規制も考慮する必要がある」など、食料問題を巡る状況について考えながら解決策を話し合いました。

ワークショップのファシリテーターを務める東工大環境・社会理工学院の鼎信次郎教授と磯部准教授が各チームを回りアドバイスをし、ディスカッション半ばではQ&Aコーナーも設けられました。参加者からの質問に対し、解決策につながる具体的なヒントのほか、「今ある技術に縛られずに、科学が飛躍的に進歩するという前提で考えても大丈夫」など、自由な発想を促すよう助言しました。

鼎教授
鼎教授

磯部准教授
磯部准教授

参加者による投票で「対乾燥地域用ビオトープ」が1位に

全体発表

全体発表

最後は各チームで検討してきた「食料不足の解消」「失敗・不確実なことの活用」を実現する仕組みについて細部を詰めて意見をまとめ、全体に発表します。今まで食べられなかったものを食べる技術、枯れ葉や食べ残しなどを養分として砂漠で食物を育てる技術などユニークなアイデアが発表された後、参加者全員の投票によって1位を獲得したのは、大気を通さないバリアを張ったドーム内で水を循環させながら食料を育てる「対乾燥地域用ドーム型ビオトープ」でした。また、失敗を共有し、良い失敗と悪い失敗を区別しながら活用していく「ミスジャッジシステム」には特別賞が贈られました。

クラフィックレコーディングの制作風景
クラフィックレコーディングの制作風景

完成したクラフィックレコーディング
完成したクラフィックレコーディング

結果発表に続いて、磯部准教授が「海水を淡水にしたり、サボテンで水を集める技術などは、今、東工大で実際に研究が進められています。皆さんの考える未来と大学の研究がつながっていったら、よりよい未来が築けると改めて感じました」と感想を述べ、鼎教授が「“こういうことができたらいいな”という、自由な発想に基づく意見を聞くことができ、私自身にとっても非常に勉強になりました」と締めくくりました。

その後は各賞の賞品や参加賞が全員に配られ、各チームの議論や発表の要点を、イラストを交えて分かりやすく記録したグラフィックレコーディングの前に集まって記念撮影が行われました。参加した高校生からは「未来や技術と社会のかかわりについて考える良い機会になった」などの感想が寄せられました。

参加者全員での集合写真

参加者全員での集合写真

DLabイベント情報

2020年3月7日(土)に共創ワークショップ「覆水、別の盆 ― 思い通りにいかないことの先に「ちがう未来」が見えてくる」を開催しますので、ぜひご体験ください。

関連リンク

未来社会DESIGN機構

社会とともに「ちがう未来」を描く
科学・技術の発展などから予測可能な未来とはちがう「人々が望む未来社会とは何か」を、社会と一緒になって考えデザインする組織です。

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お問い合わせ先

未来社会DESIGN機構事務局

TEL : 03-5734-3619

E-mail : lab4design@jim.titech.ac.jp

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