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ASPIREリーグ副学長・シニアスタッフ会議2020をオンラインで開催

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公開日:2020.07.29

東京工業大学は7月2日、「ASPIREリーグ 副学長・シニアスタッフ会議」を議長校としてオンラインで開催しました。ASPIREリーグ※1は、アジア地域の理工系トップ大学のコンソーシアムで、アジアにおけるイノベーションハブを形成することを目的に、2009年に東工大主導により設立されました。2010年以降毎年、副学長・シニアスタッフ会議、学生ワークショップ、シンポジウムで構成されるASPIREフォーラムを開催してきましたが、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の状況に鑑み、副学長・シニアスタッフ会議のみをオンラインで開催しました。ASPIREリーグに加盟する清華大学(中国)、香港科技大学(中国)、南洋理工大学(シンガポール)、韓国科学技術院(韓国)と東京工業大学の5大学から副学長・教職員29名が参加しました。

オンラインで集まる副学長・シニアスタッフ会議2020参加

オンラインで集まる副学長・シニアスタッフ会議2020参加者

新型コロナウイルス対応 各大学の取り組み

会議の議長である水本哲弥理事・副学長(教育担当)からの開会の挨拶に続き、加盟5大学の副学長が、新型コロナウイルス(COVID-19)対応についてそれぞれの大学の取り組みを紹介しました。

まず、香港科技大学のチャールズ・ンー(Charles Ng)准副学長より、COVID-19発生時からの学内での体制や対応状況について説明がありました。また、それらの取り組みに関する社会へのアウトリーチ活動や、数々のウェビナー(オンラインセミナー)を実施し、同大学の関係者及び他大学と活発に情報共有を行っていることなどについて紹介がありました。

続いて、韓国科学技術院のマン・サン・イム(Man-Sung Yim)准副学長より、大学併設のクリニックとの連携による学生・教職員向けの健康管理支援や、アートクラス、オンラインギターレッスンなど「コロナうつ」を乗り切るための様々な工夫を凝らした授業などの取り組みの紹介がありました。また韓国科学技術院でのCOVID-19関連の研究として、再利用可能なナノファイバーフィルターマスクの研究について説明がありました。

南洋理工大学のジミー・シア(K. Jimmy Hsia)副学長からは、学内の専門家によるタスクフォースの設置、COVID-19関連の研究のほか、MOOCs(ムークス、インターネット上で誰でも無料で受講できるオンライン講座)受講による単位認定、バーチャルインターンシップや卒業生・社会人を対象としたミニ・マスターコースの実施など工夫して対応したことについて説明がありました。

清華大学のヤン・ビン(Yang Bin)副学長からは、医学部で研究されているCOVID-19抗体ベースの治療法や呼吸器ウイルス検出キットなどの研究成果について紹介がありました。また、3月の習近平国家主席の清華大学訪問やCOVID-19関連の研究や医療機関との連携を促進するために設立された「春風基金」について説明がありました。

最後に、本学の取り組みについて水本理事・副学長から、COVID-19への対応が学事暦の切り替え時期にあたり、学位記授与式や入学式等の行事への対応が必要だったと説明がありました。オンライン授業の準備も短期間で進めましたが、学生の理解と教職員の努力で全てのオンライン授業が順調に実現でき、学生アンケートでは、予想以上に好意的な評価を学生から聞くことができた、と紹介しました。

水本理事・副学長による本学の取り組み紹介

水本理事・副学長による本学の取り組み紹介

共同メッセージの採択

加盟大学の副学長のプレゼンテーションに続き、加盟大学の学生に向けての共同メッセージが採択されました。これは、COVID-19の影響を受けて、活動制限が続く学生達を励まし、リーグとしての結束を再確認するために、水本理事・副学長の提唱により実現しました。ASPIREリーグの使命である科学の発展と地球規模課題の解決に、国際連携が不可欠であること、このような困難な状況下でこそ世界中の仲間や研究者たちと繋がり、協力していく努力を継続することの大切さを学生たちに呼びかけるものです。

共同メッセージに賛同する加盟大学副学長

共同メッセージに賛同する加盟大学副学長

加盟大学学生に向けた共同メッセージ

加盟大学学生に向けた共同メッセージ

共同メッセージ(日本語訳)

ASPIREリーグ学生諸君へ

COVID-19の世界的な流行によって、私たちの暮らし、学び、仕事、人と人との繋がり方に至るまで様々な変化がもたらされています。その影響は大学間の国際交流活動にもおよび、本年度、ASPIREフォーラムの主要な活動である学生ワークショップを開催することができませんでした。

このような未曽有の状況を目の当たりにし、これまで私たちが考えてきたグローバル社会が、それを支える根底から揺らいでいる、と感じた学生諸君も少なくないかもしれません。 しかしこの困難の中でも、君たちが忍耐力、柔軟性、創造力をもって学習を続けてくれたことに、心から感謝しています。

困難な状況が続きますが、これは私たちが国際協力、国際共同の価値を再確認する機会であると受け止めましょう。ASPIREリーグの使命は、教育と研究において高い成果をあげ、科学の発展と地球規模課題の解決に貢献することです。この使命を遂行するためには、国際的な連携が不可欠であり、これは、今、世界中の研究者が互いの英知を分かち合い、ウイルスの収束に向けて努力を続けていることからも明らかでしょう。

今年度のASPIRE学生ワークショップでは、「イノベーションを通してあらゆる人により良い暮らしを」をテーマに取り組むことを予定していました。それは、ASPIREリーグ加盟大学の学生として、君たちがすでに持っている専門知識や興味をさらに発展させ、より良い世界に向けて貢献してほしいという願いから来ています。我々ASPIREリーグ加盟大学の教員たちはこれからも、君たちが将来のグローバルリーダーとして必要なスキルや人脈を拡げていく機会を提供するために、より一層、力を注いでいくつもりです。

学生諸君には、ぜひともそのことを念頭に、世界中の仲間や先生たちと繋がり、協力していく努力を継続してほしいと思います。ポストコロナ時代、より良い暮らしの実現のためのイノベーションは君たちの手にかかっているのですから。

君たちの健康と安全を願って

ASPIREリーグ副学長一同

共同メッセージは、オンラインの画面越しに各大学の副学長が賛同のゼスチャー(サムズアップ)をして承認されました。

協定更新の調印式

続いて、2020年7月で更新時期となるASPIREリーグの活動実施に関する協定更新の調印式を行いました。各大学の副学長が、会議中に調印を行い、画面上で協定書を掲げ承認しました。

サインした協定書を掲げる加盟大学副学長

サインした協定書を掲げる加盟大学副学長

ASPIREリーグの今後の活動について

協定書の調印式に続き、今後のリーグの活動の方向性について意見交換が行われました。まず、今年、本学で開催予定であったASPIREフォーラムがCOVID-19の感染拡大の影響を受け延期となったことを受け、2021年も本学が引き続き議長校を務め、ASPIREフォーラムをホスト校として本学で開催することを提案し、加盟大学から承認されました。

続いて、2019年度より新しく開始されたASPIRE League Partnership Seed Fund(ASPIREリーグ加盟大学間共同研究のスタートアップ支援)に応募のあった申請書の審査が行われました。

その後、韓国科学技術院よりリーグの教育プログラムの一つである学部生向け交流プログラムUndergraduate Research Academy(アンダーグラデュエイト・リサーチ・アカデミー)を、2021年度は韓国科学技術院で開催することについて提案がありました。また、ヨーロッパの理工系大学のコンソーシアムであるIDEA リーグ※2との交流で行われているサマースクールについて、今年は4つのサマースクールがオンライン開催となり、ASPIRE加盟大学学生も招待されていることの報告がありました。

本会議の議長を務めた水本理事・副学長は、充実したディスカッションが行われたことに感謝の意を表し、「2021年6月に皆様を本学にお迎えすることを今から心待ちにしています」と話し、会議を締めくくりました。

※1
ASPIREリーグ
本学が発案し、2009年に設立された科学技術の発展と人材の開発を通してアジアにおけるイノベーションのハブを形成することを目的とした、アジア地域における理工系トップ大学のコンソーシアムです。加盟大学は、清華大学(中国)、香港科技大学(中国)、南洋理工大学(シンガポール)、韓国科学技術院(韓国)と東京工業大学の5大学。東工大は、設立当初より事務局を務めています。
英語名はThe Asian Science and Technology Pioneering Institutes of Research and Education (ASPIRE) Leagueです。
※2
IDEA リーグ
デルフト工科大学(オランダ)、スイス連邦工科大学チューリッヒ校、アーヘン工科大学(ドイツ)、シャルマーズ工科大学(スウェーデン)、ミラノ工科大学(イタリア)のヨーロッパ理工系5大学で構成されたコンソーシアム。ASPIREリーグとIDEAリーグでは、2011年より各サマープログラムに学生の相互派遣を行っています。

お問い合わせ先

国際部 国際連携課

E-mail : kokuren.kik.cho@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2982

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