東工大ニュース
東工大ニュース
在日インドネシア留学生協会東工大支部(PPI Tokodai)は、「2021年東京工業大学インドネシア・コミットメント・アワード(TICA 2021)」を東京工業大学と在日インドネシア共和国大使館の後援で、9~12月にわたり開催したすべてのプログラムを終了しました。TICAは、インドネシアの学生と東工大、あるいは日本のトップレベルの研究者とのつながりが、インドネシアにおける研究およびイノベーションを推進することを目的としています。TICA 2021は、近年の課題を踏まえ、「持続可能な開発目標(SDGs)に影響を与える科学」をメインテーマとしました。現在進行中の新型コロナウイルスの感染拡大は、影響力のある科学(つまり現実世界での使用につながる科学)、社会に広く適用できる科学的取り組みが明らかに必要である鮮明な事案です。インドネシアは、日本などの国々と協力して、自国の研究者が重要な役割を果たし、影響を与える科学を通じて将来のグローバルで共通課題に取り組むことを確信しTICAの支援を行っています。
TICA 2021 委員会
学術論文大会は在日インドネシア共和国大使館のユスリ・ワルディアトノ教育部長(Prof. Dr. Ir. Yusli Wardiatno) の開会あいさつにより9月4日に開始しました。審査員は提出された論文について選考を重ね、最終的に10チームのファイナリストを選出しました。12月11日、ファイナリストのチームは、バーチャル会議で東工大の教員と卒業生からなる審査員に作成した論文を発表する機会を得ました。
10月16日には東京大学のアズィッズ・ムハンマッド准教授(Dr. Eng. Muhammad Aziz)によるアカデミック・ライティングに関するセミナー、10月23日には、インドネシアの科学コミュニケーター、アブドゥル・ハリム博士(Dr. Abdul Halim)と東工大 物質理工学院 応用化学系のアンバラ・ラクマット・プラディプタ助教(Dr. Ambara Rachmat Pradipta)による「研究と持続可能な開発目標」の公開講座が開催されました。
研究室ツアーは11月20日に開始しました。過去には、論文大会の優勝者は、東工大の研究室や様々な研究を実際に見るため、全額出資の日本への旅行の機会を得ていました。今年のツアーは、参加者が東工大とその研究室をバーチャルに探検し、実際の東工大の研究室を再現した各バーチャル研究室では、インドネシアから留学中の東工大生や卒業生が、それぞれの研究テーマを紹介しました。コロナ禍にもかかわらず、TICA2021では、インドネシアの学部生および多くの人々に東工大とその研究室を紹介することができました。
バーチャル研究室ツアー1
バーチャル研究室ツアー2
12月12日のメインイベント「グランド・セミナー」は閉会式として開催され、在日インドネシア留学生協会東工大支部の代表である物質理工学院 応用化学系のアウギ・アトコ(Augie Atqa)さん(修士課程2年)のあいさつの後、東工大の益一哉学長とヘリ・アフマディ駐日インドネシア特命全権大使(H.E.Mr. Heri Akhmadi)が参加者を迎えるために演説しました。益学長はインドネシアと日本の緊密な二国間関係について、ヘリ全権大使がSDGsを達成するために国際協調が重要であることを話しました。
最初のセッションでは、東工大 物質理工学院 応用化学系の一杉太郎教授による「正式研究に基づく実生活のイノベーション」をテーマとして講演が行われました。一杉教授は「全固体電池の界面におけるイオン・電子輸送の特性」と「機械学習とロボットを用いて新しい科学を探求する自律的な実験」として自動化研究のイノベーションを紹介しました。
続いて、「研究を実用化する」というテーマで、基調講演者の3人がインドネシア語でパネルディスカッションを行いました。講演者は、インドネシア文部科学省プログラムコーディネーターのアフマド・アディティア氏(Achmad Adhitya, Ph.D.)、インドネシアのナノテク起業家のラディウム・イコノ氏(Radyum Ikono Ph.D.)とバンドン工科大学のシギット・プジ・サントサ教授(Ir. Sigit Puji Santosa, M.SME., Sc.D.)です。各講演者はトリプルヘリックスモデル:大学・産業界・政府の代表として発言をしました。
TICAグランド・セミナー(左上から ユスリ・ワルディアトノ教育部長、TICA 2021委員会長の生命理工学院 生命理工学系のムラワキル・アル・ムコダシ(Mutawakil Al-Muqadasi)さん(修士課程1年)、ヘリ・アフマディ特命全権大使、益学長、アウギ・アトコさん
最後には、学術論文大会の授賞式が東工大70周年記念講堂で開催されました。受賞者の氏名と論文のタイトルは以下のとおりです。
ジョン・フェリサル・タンバ、アラフィフ・ザルサ、ダニエル・レイモンド・マヌルン、フォーツナ・ハーダ・ダウラユ、ジョスア・マヌルン、ムハンマド・ラフリ・デッリアンシャー
「グリセロールを添加した高分子電解質オレンジピール-PVAのバイオ電池」
Jhon Ferisal Tamba, Arafi Zalsa R, Daniel Reymondo Manurung, Fortuna Khalda Daulay, Josua F. Manurung, Muhammad Rafli Derriansyah "Biobattery from Polymer Electrolyte Orange Peel-PVA with Addition of Glycerol"
TICA 2021 学術論文大会 1位
ペルナンド・プラタマ、モハマド・アッラフィ・アザール、ムハンマド・フマム・サフィー、ムハンマド・アクマル・マウラナ・リズキ、ディオン・アディ・サントソ
「CFDシミュレーションに基づく隔離室内の空調設計と使用電力量」
Pernando Pratama, Mohammad Arrafi Azhar, Muhammad Humam Safi’i, Muhammad Akmal Maulana Rizqy, Diyon Adi Santoso "HVAC Design and Energy Used in Isolation Room Based on CFD Simulation"
アミヌル・ソリヒン、ラヴィタ・ヌルアヴィアナ、イサ・アンショリ、ムハンマド・ユスフ、シルミナ・プラスツリヤチ、インタン・タウフィク
「SARS-CoV-2 RBD検出のためのscFvと共役した金ナノスフィアによる局在プラズモニックバイオセンサー」
Aminul Solihin, Lavita Nuraviana, Isa Anshori, Muhammad Yusuf, Silmina Prastriyati, Intan Taufik "Conjugated Gold Nanosphere with scFv as Localized Plasmonic Biosensor for SARS-CoV-2 RBD Detection"
プラセチヨ・ヌグロホ、デンナヤ・クマラ、ムハンマド・ファンディー・ヌール・アジス
「トリプルネガティブ乳がんにおけるマルチターゲット化学療法の候補となるクルクミンアナログについて」
Eri Prasetyo Nugroho, Dennaya Kumara, Muhammad Fandy Noor Azis "Curcumin Analogue as Candidate for Multi-target Chemotherapy in Triple-Negative Breast Cancer"
TICA2021は、多くのインドネシアの学生や一般の人々の参加と在日インドネシア大使館、東工大や研究所などの協力により有意義なプログラムを提供し、全プログラムを終了しました。
職名・所属・学年は開催当時のものです