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歩行支援ロボットを介して「こころ」を整える実証実験を高野山にて実施

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公開日:2022.12.09

歩行支援ロボットを介して「こころ」を整える実証実験を高野山にて実施

東京工業大学とANAグループ(以下「ANA」)は、情報理工学院の三宅美博研究室が研究・開発を進め、東工大発ベンチャーのWALK-MATE LAB株式会社が製品化した、「間」を合わせてくれる歩行支援ロボット「WALK-MATE」を装着して歩く実証実験を、10月12日に和歌山県の高野山において実施しました。

WALK-MATE:東工大発ベンチャーのWALK-MATE LAB株式会社にて製品化された、人と「間」が合う歩行支援ロボット。一般的なパワースーツとは異なり、四肢の動作のアシストだけではなく、人の運動リズムを検知してタイミングを合わせて支援することで、自然で活発な歩行に改善するための機器。総本山善通寺法主である真言宗善通寺派の菅智潤管長より「同行二人ロボット」と認定されている。

東工大とANAは、ロボットの歩行支援による新たな旅スタイルの創出を目指して2021年から連携しています。2021年に実施した実証実験では、香川県の善通寺市において歩き遍路への適用を行い、シニア世代における歩行運動の機能改善への有効性を確認しましたが、その際、「間」を合わせて一緒に歩くことで身体だけでなく心へも良い影響の及ぶ可能性を発見しました。そこで今回は、「間」を合わせるWALK-MATEを介して、歩行者の「こころ」も整える世界で初めての歩き遍路旅にチャレンジしました。これはウェルビーイング(Well-Being)の観点からも重要なことで、ANAが提供するツアーの中で行われたものです。

高野山では壇上伽藍と奥の院の二大聖地の参拝路において、6人の参加者がWALK-MATEを装着して約500mの歩行を行い、「こころ」が整うプロセスを体験しました。また体験後にアンケートを実施し、WALK-MATEによる歩行の改善がウェルビーイングの観点からどのように良い影響を及ぼすかを調査しました。参加者からは「間」を合わせることで、「一体感を感じた」、「楽しさを感じた」、「新鮮な体験だった」などのコメントがありました。本実証実験で得られたデータに基づき、歩行から「こころ」を読み取るAIシステムを三宅研究室で開発します。

お遍路とは、弘法大師に包まれながら一緒に歩くことであり、「同行二人」と言われます。本取り組みは、お遍路において最も重要な「同行二人」によって、「こころ」も整えられるはたらきをWALK-MATEによって再現することを目指すものです。近年、国際的にも注目されている日本の歩き遍路の文化と歴史が、このような日本らしいロボット技術を介してさらに注目され、多くの人々が日本を訪れるきっかけとなることが期待されます。

東工大とANAは、最新テクノロジーを用いた新たな旅のスタイルを創出することで、急速な高齢化が進む現代社会において、身体も心も元気なシニアを増やすための基盤を提供するとともに、健康寿命を延伸することでシニアの流動を促し、地域の活性化によって人と社会を元気にすることに貢献します。そして、世界で最も高い高齢化率と言われる日本から、新しい旅のスタイルを世界に向けて発信していきます。

WALK-MATEを装着して歩く実証実験

WALK-MATEを装着して歩く実証実験

WALK-MATEを装着して歩く実証実験

三宅美博教授のコメント

お遍路において杖(金剛杖)はお大師様(空海)の化身と言われ、杖とともに歩くことは、お大師様と一緒に歩くことを意味します。これが同行二人ということでもあります。その意味において、われわれは歩行支援ロボットという先端科学技術を用いて、現代の杖としてのWALK-MATEロボットを開発したことになります。そして、その過程で難しかったのは、人間と「間」を合わせて歩く制御技術でした。変化しない環境なら事前にロボットに目標軌道を組み込めますが、人間のように時々刻々と変化する環境の場合はそれができません。それができなければ杖とお遍路のような一体化した関係は生み出せないのです。われわれは身体の有するリズムが人を繋ぐ力を持つことを発見し、この問題を初めて克服することができました。ロボットがお遍路とつながることに意外さを感じる方は多いかもしれません。しかし、このように日本の文化に根差した科学技術には、大きい可能性が秘められているのです。

三宅美博教授
三宅美博教授

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