東工大ニュース
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2月27日、東京工業大学の大岡山キャンパスで「東工大教育賞」の授与式を行いました。
この賞は、教員の教育方法および教育技術等の向上を図り、より優れた教育を推進することを目的として制定されたもので、今回で20回目となります。
授与式では、最優秀賞に選ばれた学生支援センターの伊東幸子教授をはじめとした受賞者に対して、益一哉学長から賞状及び報奨金(目録)が授与されました。
教育に関して優れた業績を挙げたとして、次の20人(10件)が選ばれました。
所属・職名は受賞時のもの
学生支援センター 教授 伊東幸子
学生支援センター未来人材育成部門にて、新しい学生支援体制の構築を行っている。これらの活動は、全学学生を対象とし、教職員、同窓会、卒業生、企業と連携している。学生スタッフ(学修コンシェルジュJr.等)を雇用、育成し「学生が学生を支援する」「学生が大学運営に関わる」体制の構築を行っている。未来人材育成部門のこれらの活動は、授業ではなく課外活動の枠組みで、入学から卒業時を見越し、学生の成長、成功に働きかける特徴を持つ。
理学院 教授 石谷治
光化学は、光機能材料や太陽エネルギー変換などの応用分野に加え、光物理過程と化学素過程の研究などの基礎分野で幅広く研究されている。光化学の素養がなければ、光がかかわる科学技術について行くことは難しい状況である。そこで私は、学士課程の学生向けに「光化学」の授業を独自の内容で開始した。光の性質、光化学の実験手法、光励起状態の特徴と各状態における代表的な反応、その応用事例を、基礎部分から応用まで学生が理解しやすい筋道で教える工夫を行い、光化学という総合科学分野の知識を身につけさせている。
理学院物理学系での物理学リーダーシッププログラムの内容は多岐にわたる。各種演習科目では、大学院生の国際会議研究発表・国際共同研究・国際研究集会の企画・開催等の活動に単位を与える。申請書・報告書に活動内容を詳細に記してもらい教育効果を高めている。海外渡航等の機会確保のために渡航費援助も行っている。また外国大学院生の招へいや外国人講師による専門科目の英語講義も行っている。これらを通じ、物理学系学生の国際的リーダーシップ涵養に大きな役割を果たしている。
理学院 教授 山田光太郎
数学の講義を「問題」を軸に構築し、宿題―コメント―講義の形で実施した。問題により復習・予習を自動的に促し「実質的アクティブラーニング」とするものである。一部の学生は楽しんで取り組んだ一方、一定数の「定義―定理―証明形式が嬉しい」学生からの不満もある。課題に取り組む時間がない、と履修を取り消す学生が多かったのは残念。手軽にGPAをあげられないので忌避されたのかもしれない。取り消しても聴講できる機会があるとよい。
「ものつくり」は、内発的動機づけによる活動の典型であり、学生が主体的に取り組める「ものつくり」環境の構築は、本学が推進するStudent-Centered Learningの実現に有効である。本取り組みでは、講師のサポートのもと、少人数の学生が集まって「手を動かし」「ものをつくり」「動くことに感動」できる「IoT導入教育セミナー」を中心に、学生が自ら考え手を動かすことで主体性や創造性を醸成する「ものつくりセミナー」プラットフォームを構築した。
情報理工学院 助教 中村誠希
最近、国外内において「競技プログラミング」が盛んであり、これを支えるのがプログラミングコンテストである。国際大学対抗プログラミングコンテストICPCは、最も伝統があり、また大学対抗であることから、プログラミングという側面からの大学ランキングとなっている。対象者は、本学在学中の2015年から多年にわたり、ICPC国内予選実施やICPC世界大会・アジア太平洋地区大会の海外派遣引率を担当した。その他に本学実施のプログラミングコンテストSuperConの問題作成を担当する等、本学学生のICPCへの支援および能力向上に貢献があった。
ゲームプログラミングを題材とした演習を設計・実践した。学生が互いに学び合いながら自身の力を伸ばせるよう、グループワークや自由課題を取り入れた。また、授業形態にかかわらず学生・教員間の頻繁なやり取りを実現するために、クラウドベースのコミュニケーションツールを活用した。演習では高度な機能の実装に挑戦したり、自発的に仲間を助けたりする学生の姿が多く見られたほか、「こんなに手厚い演習は初めて」という声も聞かれた。
環境・社会理工学院 准教授 アニール・ウィジェヤウィクレマ(Anil C. Wijeyewickrema)
ノースウェスタン大学(米国)やアジア工科大学院(タイ)で教育・研究の実績を持つアニール・ウィジェヤウィクレマ准教授は、2000年から東京工業大学環境・社会理工学院の学士課程の学生を対象に、2学期制時は「土木英語I・II」、クォーター制導入後は「土木英語I~IV」の指導を行っている。これらは必修科目ではないが、多くの学生が受講している。
これらの講義は、土木工学や環境工学をベースにした実践的な英語を、質問・議論・発表を通して主体的に学べるように実施している。研究室入室後の研究活動や、卒業後の実務家・研究者としても役立つように工夫されている。また、2007年から毎年、東工大―台湾国立中央大学 土木・環境工学英語セミナーを開催している。CEE I-IVコースの導入により、2008年からは、環境・社会理工学院のほとんどの学生が学士論文を英語で発表し、質疑応答も英語で行っている。
東京工業大学ライティングセンターでは、アカデミックライティングの指南訓練を受けた文章チューター(学生)が、論文作成に悩む学生の相談に応じる。文章チューターは高度な対話力を駆使することで、書き手に明確な思考を促し、論を書き進められるよう的確な助言を行う。当ライティングセンターはTaki Plazaの学修相談ブース(B1)にて開室しており、東工大生の文章力のレベルアップを日々支援している。
教育革新センター 准教授 畠山久
学修支援システムT2SCHOLAの本格運用に向け、システム基盤と運用体制の構築を進めた。機器拡充と並行して、安定性・可用性を向上させるチューニングや監視システムの構築を進め、安定稼働に向けた基盤を整備した。このほか、2022年度に向け学務部教務課学務ICTグループと教育革新センター(CITL)が連携して運用する体制を確立した。本取り組みは学務ICTグループとCITLの皆様の協力で実現できた。