東工大ニュース
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公開日:2016.12.27
12月10日はアルフレッド・ノーベルの命日であり、ノーベル平和賞を除く各賞の授賞式がスウェーデンで行われます。12月6日から12日は「ノーベルウィーク」と呼ばれ、ストックホルムを中心に各地でノーベル賞を祝う様々なイベントが行われます。大隅良典栄誉教授のノーベル生理学・医学賞受賞決定を受け、ノーベルウィークに合わせて学長をはじめ、本学教職員が現地に同行しました。
2016年のノーベル生理学・医学賞の受賞が決定した大隅栄誉教授は、授賞式等のイベントに参加するため、本日、ストックホルムに到着しました。
宿泊するグランドホテルの前には朝8時頃から多くの報道陣が集まり始めました。
到着予定時刻を過ぎてもなかなか到着せず、現地に同行している本学職員も不安に感じる中、10時を過ぎたところでようやく大隅栄誉教授を乗せた車が到着しました。報道陣に囲まれながら、「これから頑張ります」とのコメントを残し、萬里子夫人とともにホテルへ入っていきました。
午後、大隅栄誉教授はノーベル賞授賞式や晩餐会で着る正装(燕尾服)を借りるため、ストックホルム市内の仕立屋ハンス・アルデに向かいました。店主は、創業者3代目となるラース・アルデさん。3年連続で日本人がノーベル賞を受賞することをとても喜んでいました。
同日夜、大隅栄誉教授のゲストとして授賞式や晩餐会に招待されている三島学長がストックホルムに到着しました。ゲストは、グランドホテル内に設置されたノーベルデスクでプログラムやチケットなどのゲスト用キットを受け取ります。
ノーベルウィークの2日目となりました。今日は、ノーベル賞受賞者が自らの研究成果などを講演するノーベル・レクチャーが行われます。大隅栄誉教授は受賞が決まった今年の10月からずっと、このノーベル・レクチャーのために発表内容の推敲を重ねていたそうです。
会場となるカロリンスカ研究所のアーラ・メディカホールは、周辺に伝統的な建物が並んでいる中で近代的で斬新なデザインの建物として、その存在感を発揮しています。会場入り口には、講演前から長蛇の列ができており、関心の高さを物語っていました。講演の時間が近づくと、広い講堂の中はすぐに満席となり、会場の熱気に包まれながら、大隅栄誉教授の講演が始まりました。
レクチャーは、大隅栄誉教授の生い立ちから始まり、受賞理由となった「オートファジーの仕組みの解明」について丁寧に説明したあと、現在のオートファジー研究の世界的な広がりへと続いていきました。
約1時間の講演が終わると、満席の聴衆のスタンディングオーベーションのうちにノーベル・レクチャーが幕を下ろしました。
ノーベル・レクチャーの後は、ノーベル財団によるレセプションが行われました。大隅栄誉教授は講演を終えて安堵した様子で、多くの関係者の方々と談笑したり、笑顔で写真撮影に応じたりしていました。
午前中、大隅栄誉教授はノーベル博物館に向かいました。毎年恒例となっているノーベル博物館のカフェの椅子にサインをするためです。
大隅栄誉教授は、昨年、ノーベル生理学・医学賞を受賞された北里大学の大村智特別栄誉教授と同じ椅子に日本語と英語でサインしました。ノーベル博物館のカフェで、どなたでも座ることができます。
また、大隅栄誉教授は、ノーベル博物館への記念品として、自身が大隅研究室関係者一同から贈られた品2点を寄贈しました。ミニチュア人形は、大隅栄誉教授のガードナー国際賞受賞と古希をお祝いして2015年6月に開かれた祝賀会でプレゼントされたもので、オートファジーを起こしている酵母の細胞を大隅栄誉教授が初めて顕微鏡で観察した瞬間を表現したものです。2点目は、大隅栄誉教授が発見したオートファジーに重要なタンパク質の分子模型で、これは2012年11月に開催された京都賞受賞祝賀会にて贈られた品です。
ノーベル博物館のショップには、大隅栄誉教授が発見したオートファジー関連タンパク質の立体構造(構造を決定したのは共同研究者です)を再現した銀製のネックレスが約3万円で販売されていました。大隅栄誉教授をはじめとする東工大関係者は、ノーベル賞メダルチョコをお土産として購入しました。
お昼からは、在スウェーデン日本国大使館が主催する祝賀レセプションに出席しました。大隅栄誉教授は萬里子夫人とメインステージ反対側のテラスから登場し、まるで結婚式の新郎新婦入場のようでした。その後、大隅栄誉教授はノーベル・レクチャーを終えての心境などをスピーチし、会場は大いに盛り上がりました。
挨拶を終えた大隅栄誉教授は、山崎純駐スウェーデン日本国特命全権大使に、オートファジーのデザインをラベリングした日本酒※を手渡しました。
その後は、国内外からの招待客が大隅栄誉教授へ祝福の言葉を述べられたり、記念撮影したり、が続きました。大隅栄誉教授の前には長蛇の列ができ、やはり結婚式を彷彿とさせました。
祝賀レセプションを終えた大隅栄誉教授は、萬里子夫人とともに日本人記者向けの会見に臨みました。会見の中で、大隅栄誉教授は、「ノーベル・レクチャーでオートファジーについて話したが、研究フィールドが広いので、限られた時間の中に収めることは大変だった」、「素晴らしい研究仲間がいることはとても幸せなこと」、「『レッスンズ・フロム・イースト』をキャッチフレーズにしていて、まだ酵母から多くのことを学んでいる」、「ボスを抜くような若手研究者が増えないとサイエンスは進まない」などと述べました。また、萬里子夫人は、「ノーベル・レクチャーが終わってホッとしている」、「(残りのノーベルウィークを)エンジョイしたい」などと話しました。
同日夜には、ストックホルム市内のコンサートホールで行われるノーベル賞コンサートに参加しました。指揮者のダイナミックな指揮やバイオリンの素晴らしい音色に聴衆は魅了され、大隅栄誉教授も「楽しく過ごせました」と満足そうでした。
大隅良典栄誉教授が「オートファジーの仕組みの解明」により、2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。受賞決定後の動き、研究概要をまとめた特設ページをオープンしました。