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田中克典教授がアステラス病態代謝研究会の「2022年度最優秀理事長賞」を受賞

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公開日:2023.01.18

東京工業大学 物質理工学院 応用化学系の田中克典教授が、公益財団法人アステラス病態代謝研究会の研究報告会において最優秀理事長賞を受賞しました。最優秀理事長賞は、アステラス病態代謝研究会からサポートを受けた者の中から、特に優れた研究成果を挙げたと認められた者に対し与えられる賞です。

受賞した研究テーマ

「マウス内での芳香環合成によるがん治療研究」

田中克典教授のコメント

賞状とトロフィーを手にする田中克典教授
賞状とトロフィーを手にする田中克典教授

このたびは栄誉ある賞を頂戴し、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。私達の研究室では、がんを始めとした体内の疾患部位で薬剤を「現地合成」し、疾患の現地で選択的に機能を果たすことによって副作用なく治療することを目指して研究を行ってまいりました。「生体内合成化学治療」と名づけたこの戦略に、当初は「クレイジーな考え方である」、「君には絶対に不可能だ」と叱咤激励いただきましたが、研究室の学生や研究員が努力を重ねた結果、(1)血中や臓器、あるいは細胞内でも触媒的に反応を起こすことのできる遷移金属触媒システム、そして(2)体内の臓器に触媒を自在に運搬できる糖鎖デリバリーシステムを開発し、ここ数年でマウス体内の標的の臓器や細胞で反応を行うことが可能となってまいりました。最近では、薬剤の骨格に普遍的に存在する芳香環を金属触媒反応で自在に合成することが可能となり、さらにマウス体内のがん部位で触媒的に薬剤骨格を「合成」して、がん治療することに世界で初めて成功いたしました。本結果によって、多くの医学部の先生や製薬企業の方々に興味を持っていただき、多くの皆様に使用していただける汎用的技術を目指して研究を展開しています。この「生体内合成化学治療」は、新しい化合物を生み出すのではなく、これまで副作用のために制限されてきた薬剤を現地で調達することによって、古き良き化合物群を見直し、復活させる新モダリティー、「分子ルネッサンス」です。10年後には、薬剤開発の有力な戦略となることを目指してさらに研鑽いたします。

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お問い合わせ先

物質理工学院 応用化学系 教授 田中克典

Email tanaka.k.dg@m.titech.ac.jp

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