東工大ニュース

再エネ/廃プラ水素を混合 100 kw水素燃料電池-デジタルツインの運用を開始

カーボンニュートラルと持続可能な経済成長の両立を目指す

RSS

公開日:2023.03.31

東京工業大学InfoSyEnergy(インフォシナジー)研究/教育コンソーシアム(コンソーシアム代表:物質理工学院 応用化学系 伊原学教授)、エネルギー・情報卓越教育院(教育院長:伊原教授)は、株式会社東芝および、東芝エネルギーシステムズ株式会社、ほか数社と、共同で再生可能エネルギー水素と廃プラスチック水素を混合し、カーボンニュートラルと経済性の両立を目指す100 kw水素燃料電池-設計/制御最適化プラットフォーム(100 kw水素燃料電池-デジタルツイン)を開発し、東工大大岡山キャンパスの環境エネルギーイノベーション棟(以下、EEI棟)に導入して運用を開始しました。

カーボンニュートラルに向けて再生可能エネルギーによって生成する水素は、その導入が期待されているものの、現時点では水電解装置が高価、あるいは設備サイズが合致しない等の理由から導入が思うように進んでいません。本システムでは、水素導入のインセンティブを向上するため、小容量の水電解装置にEEI棟の太陽電池からの電力を供給し水素を製造するとともに、廃プラスチックから製造された水素(廃プラスチックの熱分解、水蒸気改質、シフト反応、精製プロセスによって製造、技術提供:株式会社レゾナック)を適切な割合で混合して水素燃料電池に供給します。水素燃料電池からの電力をEEI棟およびキャンパス内に供給するとともに、EEI棟の中央熱源タイプの空調システムに廃熱を供給して、廃熱を高度利用します。

カーボンニュートラルと持続可能な経済成長との両立を目指して、再生可能エネルギー水素と廃プラスチック水素とを混合して燃料電池に供給し、ビルの空調システムと接続して電力と熱の高度利用を行うシステムは世界初です。今後、グローバル水素[用語1]ローカル水素[用語2]などを適切に混合して最適化する都市型の水素エネルギー活用モデルとなることを目指します。

本システムは、大岡山キャンパスのピークカット制御などを行うインテリジェントエネルギーシステム“Ene-Swallow®️(以下、エネスワロー)”に接続され、その詳細なリアルタイム運用データは、データベースに蓄積され、エネルギービッグデータとして教育や産学連携での共同研究に活用します。また、燃料電池に供給する再生可能エネルギー水素と廃プラスチック水素の混合割合を、エネスワローからリアルタイム制御して供給することができます。

今後、詳細なデータを取得することで、システムのデバイス容量設計、リアルタイム高度制御等が可能となります。また、3台の電気自動車、1台の燃料電池自動車もエネスワローに接続され、カーボンニュートラルと持続可能な経済成長を目指して統合的に連携できるプラットフォーム、“カーボンニュートラルデジタルツイン(エネスワローデジタルツイン)”として、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業「次世代情報社会の実現」領域(運営統括:東京電機大学 前田英作教授)“エネルギービッグデータをコアとするカーボンニュートラルデジタルツイン”における研究開発の一貫として、さらに推進し、発展させます。

図1. 水素燃料電池(東芝H2RexTM)
図1. 水素燃料電池(東芝H2RexTM

図2. 水電解装置
図2. 水電解装置

図3. 廃プラスチックから生成した水素のカードル庫
図3. 廃プラスチックから生成した水素のカードル庫

図4. 再生可能エネルギー水素/廃プラチック水素等を混合するリザーバー
図4. 再生可能エネルギー水素/廃プラチック水素等を混合するリザーバー

図5 再生可能エネルギー水素/廃プラスチック水素を混合して供給する100 kW水素燃料電池システムの排熱利用概要と接続されているエネルギー機器の概要

図5. 再生可能エネルギー水素/廃プラスチック水素を混合して供給する100 kW水素燃料電池システムの排熱利用概要と接続されているエネルギー機器の概要

エネスワローに接続された水素を燃料とする燃料電池自動車

電気自動車

図6. エネスワローに接続された水素を燃料とする燃料電池自動車と電気自動車

図7 エネスワローデジタルツインの概要

図7. エネスワローデジタルツインの概要

本システムの担当

基本設計・情報システム設計/実装(燃料電池/水電解セル/情報システム)・設計/実装統括

東京工業大学 エネルギー・情報卓越教育院
東京工業大学 InfoSyEnergy研究/教育コンソーシアム
東京工業大学 物質理工学院 応用化学系 伊原・Manzhos研究室

水素燃料電池 製造/実装/データ取得

株式会社東芝
東芝エネルギーシステムズ株式会社

情報システム実装支援

株式会社NTTデータビジネスシステムズ
NTTデータカスタマサービス株式会社

水素燃料電池システム 水素供給装置設計/実装

株式会社ウエキコーポレーション
株式会社レゾナック

水素燃料電池システム ビル高度排熱利用設計/実装

株式会社日本設計
アズビル株式会社

電気/機械/建築 設備実装

東京工業大学 施設運営部 施設整備課

用語説明

[用語1] グローバル水素 : 海外の安価な再生可能エネルギー電力等で大量に製造し、輸入した水素

[用語2] ローカル水素 : 比較的小規模な電力ネットワーク内で太陽電池などの再生可能エネルギー等から国内製造した水素

お問い合わせ先

東京工業大学 InfoSyEnergy研究/教育コンソーシアム 代表
エネルギー・情報卓越教育院 教育院長
(物質理工学院 応用化学系 教授)

伊原学

Email mihara@chemeng.titech.ac.jp

東京工業大学 InfoSyEnergy研究/教育コンソーシアム、エネルギー・情報卓越教育院
マネジメント統括室

Email office@infosyenergy.titech.ac.jp
Tel 03-5734-3262 / Fax 03-5734-2642

取材申し込み先

東京工業大学 総務部 広報課

Email media@jim.titech.ac.jp
Tel 03-5734-2975 / Fax 03-5734-3661

RSS