東工大ニュース
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公開日:2024.04.11
東京工業大学イノベーション人材養成機構(IIDP)は、博士後期課程に在籍する留学生を対象に「博士留学生向けキャリア支援セミナー(CAREER SUPPORT SEMINAR~Job-hunting and Job Interview in Japan for International Doctoral Students~)」を2月にオンラインで実施しました。
東工大では、博士後期課程修了後に日本で就職する留学生の割合は4割を超えており、これは出身国で就職する留学生の割合よりも大きく(2022年度実績)、例年多くの留学生が日本での就職活動を行っています。
その一方、日本独特の就職活動に関する知識不足や日本語の習得不足、日々の研究等に追われて就職活動の機会を失うなどの理由から、希望通りに日本で就職できない留学生もいます。
そのような状況を踏まえ、「日本で就職すること」「日本で就職するにあたり必要な能力や準備」「博士の就職活動の特徴」などに関する知識と技能の向上を目的として、博士留学生を対象としたセミナーを説明会と日本語就職面接講座の2部構成で実施しました。
セミナー第1部は、日本における就職活動についての全体的な情報提供と東工大におけるキャリアパスの傾向についての説明、さらに東工大の先輩からの経験談がありました。
はじめに、東工大学生支援センター 未来人材育成部門の福岡和歌キャリアアドバイザーが「東工大博士の進路」と題して話しました。
東工大の博士後期課程を修了した先輩留学生たちはどのような進路(企業や組織)を選択しているか、日本語力と就職活動には関係があるか、いつ頃から・どのような手段で・誰に相談しながら就職活動を始めるべきかなどを、先輩たちの実際の声や、東工大の具体的なキャリア支援の話を交えながら説明しました。
続いて、株式会社エマージングテクノロジーズの深澤知憲氏から、「博士の就活」全般についての講話がありました。深澤氏は、博士人材に特化したキャリア支援事業を立ち上げ、産学官のあらゆる視点・立場で博士人材の育成・キャリア支援に取り組んでいることから、「博士の就活スケジュール」「企業が博士に求めているもの」「就職先でのキャリア設計」「留学生が企業等を探す方法」などについて詳しく説明しました。話題はアカデミアのキャリアパス、研究内容の説明方法、日本語能力の必要性などにおよび、参加した留学生は熱心に話を聴き、活発に質問しました。
最後は、東工大で博士後期課程を修了し日本で就職した留学生2人が、自身の就職活動、就職先に選んだ理由、就職活動や仕事での日本語の必要性などを話し、これから就職活動を行う後輩たちへエールを送りました。
参加した約100人の博士留学生は先輩の経験談に興味深く耳を傾け、先輩が話し終えると、「どうしてアカデミアの道を選んだのか」といったキャリアに関する質問に加え、「3年で博士後期課程を修了できるためのアドバイスはあるか」「国際学会での発表や論文の件数は就職活動に生きたか」など、幅広い質問があがりました。当日は全ての質問に回答する時間がなかったため、後日、回答をまとめて参加者全員に共有しました。
任期の定めのない教員としての資格のこと。
博士の学位を修得したのちに、任期付きで大学等に採用されて研究業務に従事するポジションのこと。
参加者アンケートでは9割以上の留学生が「役に立った」と回答し、「特に役に立った内容」として、以下が挙げられました。
セミナー第2部は、博士留学生20人の希望者が模擬就職面接に日本語で臨みました。面接官役は、イノベーション人材養成機構などの教員、東工大キャリアアドバイザーが務めました。
留学生は、セミナー第1部の内容を踏まえ、事前に「自身の研究内容」「研究で特に工夫した点、それによりブレークスルーした経験」「研究活動で得られた成果や能力」「志望企業とその理由」などについて、日本語による「課題シート」の作成に挑戦しました。
模擬面接では、留学生が自身で作成した「課題シート」の内容を説明した後、面接官の質問に答える練習を行い、その場で面接官役から助言を受けました。さらに後日「面接評価シート」を一人一人に返し、今後の就職活動やキャリア開発に役立ててもらうようにしました。参加した留学生からは、「『評価面接シート』のフィードバックはとても参考になりました。これを基に今後、面接でうまく話せるように練習していきたいと思います」などの感想がありました。
東工大では、一般的な就職情報をガイダンス等で学生に提供するとともに、多様化するキャリアプランにきめ細かく対応し、学生自身が思い描いたキャリアを実現できるように支援しています。特に、「博士」「留学生」という支援が手薄になりがちな学生の可能性を広げるために、今後もさまざまな支援活動を続けていく予定です。
組織名称は開催当時のものです。