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打田准教授、土方准教授が2023年度「東工大の星」特別賞【STAR】に決定

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公開日:2024.04.09

東京工業大学は、2023年度(第11回)「東工大の星」特別賞【STAR】(Special Award for Tokyo Tech Advanced Researchers)の受賞者として、理学院 物理学系の打田正輝准教授と工学院 機械系の土方亘准教授の2人を、学長および研究・産学連携本部長の協議により選考し、3月1日に発表しました。

授賞式での集合写真(後列左から)渡辺治研究・産学連携本部長、益一哉学長 (前列左から)土方准教授、打田准教授

授賞式での集合写真(後列左から)渡辺治研究・産学連携本部長、益一哉学長 (前列左から)土方准教授、打田准教授

「東工大の星」特別賞【STAR】とは、東工大基金を活用し、将来、国家プロジェクトのテーマとなりうる研究を推進している若手研究者や、基礎的・基盤的領域で顕著な業績をあげている若手研究者へ大型研究費の補助を行い、次世代を担う本学の輝く「星」を支援していくものです。

受賞者の研究概要とコメント

打田正輝 理学院 物理学系 准教授

研究概要 「トポロジカル半金属における異常磁気伝導現象の開拓」

打田正輝准教授

物質中の電子を量子力学的に記述するためにはバンド構造が用いられますが、近年そのトポロジカルな性質に焦点を当てた、トポロジカル物質と呼ばれる新しいクラスの物質の研究が非常に盛んになっています。トポロジカル物質の中でも、バンドギャップが一点で閉じたトポロジカル半金属と呼ばれる物質群では、もともと素粒子物理の分野で提唱されていた状態が低エネルギーのバンド構造として実現していることが明らかになりつつあります。私たちは、分子線エピタキシー成長と呼ばれる手法を用いて非常に高品質なトポロジカル半金属の薄膜を作製し、そこにおける電子の伝導現象を調べています。本研究では、この点に由来した変わった伝導現象を調べ、将来的なエレクトロニクス応用へとつなげたいと考えています。

受賞のコメント

このたびは「東工大の星」特別賞に採択されましたこと、大変光栄に存じます。東工大基金の寄附者の皆さま、ならびに選考委員の皆さまに心より御礼申しあげます。また、これまでご指導くださった先生方、共同研究者の皆さま、共に研究を進めている研究室メンバーにも、この場をお借りして心より感謝申しあげます。大学が行う支援としては他に類を見ないこのような大型支援のもと、研究により一層まい進したいと思います。

理学院

理学院 ―真理を探究し知を想像する―
2016年4月に発足した理学院について紹介します。

理学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

土方亘 工学院 機械系 准教授

研究概要「人と機械の融合を目指した人工心臓および生体組織の工学的応用に関する研究」

土方亘准教授

医療技術の発展に伴い、過去200年にわたって人類の平均寿命は大きく延伸し続けています。一方、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間とされる健康寿命は、平均寿命に対して短く、日本においては約10年もの乖離が見られます。このような背景から、単なる平均寿命の延伸のみならず、人々の豊かな人生の礎となるべく健康寿命の延伸や生活の質の向上を視野に入れた科学技術・医療技術の発展が求められていると考えています。私の研究では、人と機械を融合し、万一の疾病の際も健常者のように生活できる医療技術の実現をコンセプトに、重症心不全患者の治療に使われる人工心臓の研究を遂行しています。従来の人工心臓はあらかじめ設定したモータ回転数で定常流を発生していましたが、患者の運動状態に合わせた流量の増減が行えないので安静を強いられる、拍動が無くなることによる血栓症のリスク増加などが指摘されています。そこで、人工心臓に使われる電磁石等を利用して疾患心臓が発する拍動をリアルタイムで推定することで、拍動のタイミングに合わせた心拍同期制御が行える人工心臓を開発しています。また、人と機械の融合を目指した別のアプローチとして、骨格筋などの生体組織を利用することで、将来的に自己修復可能なパワーアシストスーツなどの新規医療・福祉デバイスの創出を目指しています。特に、生体組織の設計や制御を工学的手法で実現する技術を開発しています。

受賞のコメント

「東工大の星」特別賞に採択いただき、誠に光栄に存じます。東工大基金の寄附者の皆さま、ならびに選考委員の皆さまに厚く御礼申しあげます。本研究は私ひとりの力で遂行できるものではありません。日頃よりご指導いただいております先生方、共同研究者の皆さま、そして研究室のメンバーにもこの場を借りて御礼申しあげます。このご支援を生かして、今後とも挑戦的な研究を推進してまいりたいと考えております。

工学院

工学院 ―新たな産業と文明を拓く学問―
2016年4月に発足した工学院について紹介します。

工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

「東工大の星」特別賞【STAR】の概要

目的

東工大基金を活用し、本学における優秀な若手研究者への大型支援を実施することにより、本学の中期目標である基礎的・基盤的領域の多様で独創的な研究成果に基づいた新しい価値の創造を促進し、もって、学長の方針に基づく本学の研究力強化に資することを目的とします。

対象者

公募によらず、さまざまな業績を勘案し、学長および研究・産学連携本部長の協議により決定します。

観点

  • 将来、国家プロジェクトのテーマとなりうる研究を推進している若手研究者
  • 基礎的・基盤的領域で顕著な業績をあげている若手研究者

役職等

准教授以下(原則40歳以下)とします。

2023年度から名称が「東工大の星」支援【STAR】から「東工大の星」特別賞【STAR】へ変更されました。

関連リンク

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お問い合わせ先

研究企画課総務グループ

Email ken.award@jim.titech.ac.jp

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